2012
07.24

今回は、私の通っている松江市の美容室Rendez-Vous(ランデブ)の話です。

美容室ランデブは、先日10周年を迎え、記念イベントが開催されました。私は、島根にUターンしてから約3年通っており、ずっとオーナーである多久和崇士さんにお願いしています。私が通い始めた時にはすでに多くのお客様を持つ、松江市内でも知名度の高い美容室の一つでした。「松江のカリスマ美容師がいる」と聞いて興味を持って行ってみたのがきっかけですが、技術や提案力もさることながら、訪れるたびに、多久和さんの仕事に対する熱意、姿勢に刺激と気付きを頂いています。

現在、松江市内で2店舗を経営。26名のスタッフを擁する美容室に成長しています。事業を創業し、ここまでたどり着くためには大変なご苦労もあったと思います。今回、10周年記念イベントに招待頂いたのをきっかけに、この美容室、そしてオーナーから得た学びと気づきの一部をまとめさせていただき、これまでのお礼と今後に向けたエールにしたいと思います。

イベントで挨拶するオーナーの多久和さん

1.地方から発信する~大都市からの情報ばかりじゃつまらない~

私の会社も、ランデブも地方で商売をしています。私の会社は、基本的に地元完結型の商売をしていますし、ランデブも基本的にはそうです。美容室ですから、少なしそのお店の近傍にお客さんが居る。この場合、ビジネスのそのターゲットは地元であり、そこを見ていくのが通常です。

しかし、ランデブは違っていました。多久和さんと話をしていると、地元の業界情勢をほとんど気にしていないことが分かります。もちろんお客さんは地元の方ですが、地元の同業者のことは見ていない。横目に同業他社との比較ばかりしている私とは正反対です。

つまり、たまたま松江で店を開いているが、提供する技術やサービスは全国レベルと比較してどうなのか、ということを追求している。さらには、“東京並みの技術です”というレベルに留まるのではなく、コンセプト、スタイル、情報、など島根から新しいものを発信しようとしている。東京や大阪など大都市からの発信ばかりじゃつまらない。地方から、地方だからこそ、発信していこう。そんなアグレッシブで前向きな、そしてすさまじい闘争心にあふれた事業への取り組み。その姿勢こそ、最も学びたい、学ぶべきところです。

だから、ランデブでは、全国的なコンテスト等への大会へ積極的に参加されています。その目的は、大会に出場すること自体が人を育てるからでしょう。無理せず、ほどほどにやっていく方向性もあるかもしれません。しかし、常に高みを目指し、その歩みを止めない。すさまじい熱意、そしてそれを継続できる動機づけ、ほんとうに素晴らしいとしか言いようがありません。それこそが、このお店の大きな魅力ではないでしょうか。

2.安心して働き続けることのできる美容室を目指す~美容業界の慣習に挑む~

このお店はとにかく新規採用を続けています。それは、地元に雇用を生むということもあるし、人を育てることが未来につながることだと確信されているからにほかなりません。一方でその仕事は過酷です。特に感心するのは、美容室は通常月曜日が休みな訳ですが、その月曜日を使って県外へ研修に出かけると言うのもざら。よくみんな付いていくなと思っていましたが、それは美容師という仕事の特性。みな好きで美容師をしているから、自分を高めるための研修には積極的に参加する。自社の仕事に置き換えて、果たしてそんな風になれるのか、いつも考えさせられます。

しかし、それが仕事の根本の一つ。仕事を好きになるということ。好きだからこそ苦にならない。もちろん、苦しい時もあるでしょう。だけど、続けられるのはその仕事が好きだから。仕事を通じて得られるものに、かけがえのないものがあるから。日頃厳しいかもしれないが、そういう仕事の喜びを見つけてあげるための環境づくりを、妥協を許さず継続する。その姿勢を大いに見習いたいと考えています。

そして、経営的にみると、昨年度、株式会社化を果たされました。大きな決断と、スタッフを大切にするやさしさが見出す一つの結論。私も知らなかったのですが、美容業界というのは多くの場合個人事業主で、社会保険等を事業者側が負担しない(できない)のが当たり前なのだそうです。社会保険料を負担するためには、一般的な一人当たり売上を大きく上回る額を確保しないと事業的に成り立たない。株式会社化は、これに対する挑戦です。

働く者がより安定した環境で、安心して技術やサービスの向上に取り組める環境づくりを行う。言うは易し、ですが、そのためには、より高付加価値のサービスによる高い客単価の維持や、多くの顧客の獲得とリピートの達成など、非常に事業のハードルを高くします。しかし、そうするのだと決めて、それを実現し、さらなる高みを目指すその姿は、経営者としてとても尊敬できるし、今後とも益々頑張ってもらいたいと心から願っています。

スタイリスト達がステージで技術を披露

3.着実に進化した3年間の軌跡~ワンマン美容室から“Rendez-Vous”ブランドの確立へ

私は、島根にUターンしてから3年と少し、この美容室に通っていますが、この3年間で着実に進化しています。それが「目に見える」というのが素晴らしいと感じています。最もわかりやすいのは、ワンマン美容室からの脱却です。3年前は、まだ多久和さんのワンマン美容室だっと思います。ほとんどが多久和さんのお客さん(今でも多いとは思いますが)で、周りのスタッフはそのお客さんをいかにさばくかに傾注する。

しかし、今では2店舗にそれぞれ数名のスタイリスト(カットを任されるスタッフ)が居て、それぞれに多くのお客さんを持っている。そこに専門性を持ったスタッフが施術の内容に合わせて的確にフォローしていく。10周年イベントでは、たくさんのスタイリストさんたちがステージ上で施術を披露しました。「ああ、こんなにたくさんスタイリストが育ったんだ」と、なにやらうれしい気持ちになったのは不思議なものです。まさに、ワンマン美容室から脱却し、“ランデブ”という美容室のブランドが確立したことを感じさせます。

別の例をあげると、この3年で、待ち時間が劇的に改善した(たまに長い時もありますが)ことからも分かります。平日昼間に行ってもものすごく待たされていたのが、休日に行ってもほどほどになりました。これは、若いスタイリストの台頭によるお客さんの適度な分散と、各種スタッフの成長や仕組みの改善により、施術の流れを効率的に改善し続けた結果だと思います。

また、昨年度2号店として新店舗をオープンしたのは象徴的なことです。高級感あふれるつくりの新店は、より高付加価値のサービスを期待させる、素晴らしいしつらえです。そこをオーナーではなく、新しい店長に任せている。先日、いまや新店の売り上げが本店を上回っているということも聴きました。これは、オーナー自身が過度なプレイングマネージャーからの脱却を図るべく、努力されてきた結果であり、今後はさらに事業の発展、人財の育成等、目指すべき未来に向けた仕事に傾注されていくのでしょう。その将来を大いに楽しみにしたいと感じます。

イベントエンディングでステージ上に集まるスタッフ

美容師という仕事は、職人的な技術とサービス業としての接客・コミュニケーション技術の両面に長け、さらには、“美”、“美容”についてお客さまに提案していく、という高度な能力を求められる、難しい仕事です。特に、情報があふれ、趣味や嗜好が多様化する今日では、以前とは比べ物にならないレベルで前述の能力が求められるのだろうと感じます。その難しい仕事に夢と希望を持って立ち向かい、この島根から、新しい美容の世界を発信していく。そういう志に満ちたランデブのみなさんの次の10年、非常に楽しみに感じ、また、明るい未来を描ける若さに溢れた素晴らし職場を羨ましくも思い、イベントを拝見しました。仕事は全く違えど、「私も頑張ろう!」と気持ちを奮い立たせてもらえる、すばらしいひと時を過ごさせて頂きました。多久和さん、これからも頑張って下さい!

2012
07.19

島根経営品質研究会の活動に際してお世話になっている㈱ブロックスさんの「組織と人の向上セミナー」に参加してきました。2012年7月12日、松江テルサで開催されました。

事例と話し合いを通じて、一人一人が自分を見つめ、あるべき姿を深めていくための研修です。人のやる気を高める組織風土づくり。当社においても課題であり、もっと取り組みが必要な事項の一つです。今回のセミナーの中で、いきいきとした職場づくりに向けては、“こうすればいいい”という結論めいたことよりも、そのためのプロセスが大事だということについて、示唆を頂くことができました。

今回のセミナーは、仕切り役となるファシリテーターの進行のもと、映像とグループディスカッションを繰り返すというスタイルで進められました。映像で話をされるのは、組織風土改革の第一人者 人と経営研究所 所長 大久保寛司氏で、3時間のセミナーで計6回の映像を見て、その間に5回のディスカッションを行いました。この6回の映像を聴くだけでも大きな気づきを頂きました。大久保氏の語られた事項について簡単にまとめさせて頂き、今後の実行、継続に向けたきっかけにさせて頂きます。

ファシリテーターはブロックス西川社長

1.気づきのポイントは“素直になること”

セミナーの冒頭、導入の映像において、“気づき”についての話がありました。

まず理解しなければならないのは「人は言われたとおりには動かない」ということ。言われたことに対して「そうだ!」と納得しなければ動かない。それが“気づき”。気づきがあれば行動が継続し、成果につながる。では、気づくためのポイントとは何なのか。その答えは「素直になること」。難しいことだけども、あらゆることを素直に受け止める。そのことが気づきを得るための早道だということです。この、“素直にきく”ことの難しさは、同じことを言っても、誰が言うかによって相手の受け止めは全然違うということです。中には誰の話でも素直に受け取る方も居るでしょうが、多くの場合は、「誰が言うのか」に左右されます。これは、後段で話が出てくる「信頼される人とは?」という問いかけと大きく関連してきます。

そして、伸びている会社に共通する3つの要素について話がありました。それは、明るい(雰囲気がいい)、きれい、挨拶ができる、だといいます。雰囲気がいいというのは漠然としているようですが、いい会社の持つ雰囲気というものがあるそうです。会社に入った瞬間感じられる雰囲気。確かに、いい職場に伺ったときに受ける、何とも言えないすがすがしい雰囲気。上手く言葉では言い表せませんが、感じる事があります。そして、雰囲気=仕事力とも言えるそうです。空気には力があり、それは-10~+10ぐらいの範囲である。前述の素直な気持ちで働く方々が持つ空気がプラスの空気で、それに満ちた職場に、“イキイキとした組織”が生まれるのでしょう。

2.自分と相手との関係性 ~聴ききる、言わせきる~

自分と相手との関係性に関する説明の中で、「相手の話を聴く」という行為について、興味深いお話がありました。それは、「相手を認める」ということ。相手を認めると言うことが人間関係の根本にあるというのは分かります。しかし、それをどこまで深めることが出来るのか。

例えば、中々やる気の出ない人がいる。その人のことをどこまで認めているのか。話は聴いているが、どうせやる気がないからと諦めていないのか、という話だと理解しています。「人は理解された時、意に沿うように動く」という言葉あるそうです。では、「その理解される」とはどのレベルなのか。その答えが、「聴ききる、言わせきる」ということなのだそうです。ただ話を聴いて、聴いた気になっていないか。本当にその人の本心を引きだしたのか、彼は、彼女は言いたいことを全て言いきったのか。そのために、その人の話をゆっくりする。時間をかける。本人が言うだけ言った、もう言うことは無い、というレベルまで聴く、言わせる。まず、そこからだという話です。

「聴ききる、言わせきる」という言葉。社員と定期的な面談をして、何かその人を理解した気になっていた自分に大きな衝撃を受ける一言でした。簡単な事ではありませんが、話を聴くことに時間を惜しまない。そういう心掛けを今一度持ちたいと感じさせて頂きました。

3.信頼される人とは?~自分自身を認めて理解してくれる人~

“信頼される人”とはどういう人なのか。冒頭に述べた「素直になる」という話と関連します。信頼できる人の話は素直に聴ける、ということは言えるでしょう。実は、調べてみると、その問いかけに対する答えは、「自分の話をよく聴いてくれる人」「自分を分かってくれる人」「自分をよく見てくれている人」という結果が出ているそうです。普通に考えれば、有言実行、リーダーシップがある、丁寧に説明してくれる、など、色々とありそうですが、実際のところは“どれだけ自分のことを理解してくれているか”。これがほとんどの人間の本心であり、実態ということでしょう。自分に当てはめてみても、自分のことを気にかけてくれない人のことを好きになることはあまりありません。

だからこそ、「理解する側に回れるか?」という言葉が心に残ります。経営者だから、経営者の想いを理解してもらえるか、どう説明できるか。これはこれで重要なことでしょう。しかし、社員から、会社を取り巻く様々な方々から信頼されるためには、相手を理解する側に回れるかどうかが大事になってくる。我々はついつい、自分の想いを伝えることに注力しがちです。もちろん、その努力は前提としてあるでしょう。しかし、相手に信頼されるためには伝えるだけでは足りないということです。前述の「聴ききる、言わせきる」を実践すること。それが自分自身の幅を広げ、ひいては組織の、会社の幅を広げることになると感じたところです。

話しあいの意見まとめ

最後の大久保さんの映像には、こういった学びや気づきを得るためのセミナーが避けて通れない課題について、明確に指摘がありました。「決意し、実行し、さらに継続しなければ成果は得られない。しかしそれは容易ではない」。このことは、様々な学びの場に出かける度に思うことです。

そして、それを解決するポイントは「指を自分に向ける」こと。全てのことは自分の中にある。世の中のせい、会社のせい、他人のせい、いずれでもない。そして、自分自身で思う姿は自分の姿ではない。他人から見える自分の姿が、自分の真の姿。そのことを常に認識し、行動できるかどうか。それが出来るかどうかが、自分と自分を取り巻く組織を、活気づける、イキイキとしたものにできるか否かの分かれ目だということのようです。再度自分に言い聞かせ、日々の行動、発言、に心がけたいと考えています。

2012
07.13

2012年7月10日、島根県中小企業家同友会松江支部7月例会にて、報告者として発表させて頂く機会を頂きました。経営者になって3年と3カ月、同友会に入会してまだ2年にも満たない私に、こういった機会を与えて頂き、大変感謝しております。

報告テーマは、『経営指針で未来を掴む!3代目社長が挑んだ経営革新の軌跡~存在価値の明確化と仕組みづくりで新しいステージへ~』と、大そうな表題となりました。というのも、今回、支部の方で私を報告者に選んで頂いた経緯として、「後継経営者」で「経営指針策定している」ということだった聞きましたので、そのことが伝わるようなテーマを設定させてい頂きました。そして内容は、経営指針を策定するまでの経緯と私なりのポイント、そして後継経営者として同友会をはじめとした経営の学びの場をどう捉えるのか、といった観点で、わずかな経験ではありますが、私なりにやってきたことや感じたことを報告させて頂きました。話したいことは、ある程度伝えられたと思います。今回頂いた貴重な機会。報告に向けた準備、そして実際に報告を体験してみて、どうだったのか、について整理しておきます。

報告の様子

1.短期間で振り返ることの意義~ブログで気づく想いや気持ちの変遷~

私は経営者になってわずか3年ほどでこういった機会を頂きましたので、経営体験も3年と3カ月。しかし、3年しかないからこそ、記憶や記録が新鮮なうちに振り返りを行い、それぞれの1年がどういった年だったのかを自分なりに整理することが出来たのは有意義でした。1年1年をより詳細に振り返る。数値的な事はともかく、当時の自分の気持ち、心のありよう、といったことは、時間が経てば記憶が薄れます。自分自身の記憶もある程度鮮明なうちに振り返りを行い、総括する。本来、自主的に実施しておけばいいことですが、こういった機会をきっかけにできるというのは、大変ありがたいことでした。

もう一つ再認識したことがあります。このブログです。ブログの記事は、最近は同友会活動など、学びの場について記載することも多くなっていますが、節目では自分の気持ちや、今後に向けた決意表明などを記載してきました。それを振り返ると、「ああ、当時はこんなことを思っていたんだ」と、昔の日記を見るように(日記は書いたことありませんが…)、思い起こされ、その時の気持ち・考えと現在との対比を行うことで、自分自身がどのように変わったのか、また成長した部分と足りない部分の明確化など、多くのことを認識することが出来ました。

ブログの週1回更新も3年近く続けてきました。正直プレッシャーだった時もありましたが、「継続は力なり」でした。タイムリーに発信することだけでなく、振り返りにも役に立つと気づかせて頂いたので、今後は、経営の総括やその時々の自分自身の考えなどもまとめるツールとして使っていきたいと考えています。

2.経営指針の策定と実践~実践は現場でみてこそ意味がある~

当社は、昨年度末に創業以来初となる経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)を策定し、社内外に公表しました。今年度は、経営指針の実践元年となります。当社における経営指針に基づいた経営はまだ緒についたばかりですが、その一端を紹介させて頂くことで、諸先輩方からさまざまなご意見を頂く機会となるし、これから経営指針を策定しようとされている方、これから実践に移そうとされている方などに、少しでも参考になればと考えています。そして思いがけないこととして、今回の発表を受けて、島根同友会内の「経営指針研究会」から、ぜひ当社に来社して実際の現場を見ながら、経営指針について勉強する場を持ちたい、と声をかけて頂きました。大変ありがたいお話です。

社外の方、しかも経営者のみなさんに自社に来て頂き社内を見てもらう。社長になって1年目、2年目はとてもそのような気持にはなりませんでしたが、現在は、むしろ“見に来て頂きたい”という気持ちがあります。社外の方に会社を見て頂く。もちろん勇気が要ります。しかしそう考えるようになったのは、島根経営品質研究会のベンチマーキングで、やはり当社を訪れて意見交換し、さらに職員との意見交換などの取組みを実施し、そのことが、当社にとっても大変気づきになったという実感があるからです。

「現場を見る」ということ。仕事でも学びでも、それは一つの基本であり、現場に行ってこそ学べるものがたくさんあると考えています。さして実践が徹底している訳ではないですが、ぜひ色々な方に会社に来て頂き、率直なご意見を頂くとともに、私も色々な会社にお伺いして、各社なりの“実践ぶり”を学びたいと考えています。

3.後継経営者と創業者との対比から見えるもの~後継経営者こそ学びの場へ~

今回の報告では、経営指針とその実践に関する内容に加えて、「後継経営者」と言う切り口でお話をさせて頂きました。私も後継経営者ですが、同友会をはじめとする経営者の学びの場に参加するようになって感じるのは、創業経営者の方との違いです。

創業経営者の方と接する時、事業目的の明確さ、仕事に対する本気度、取組み姿勢、などあらゆる面で自分が劣っていることを痛感します。後継経営者の全てがそうではないでしょうが、息子なので「継ぐのが当たり前」であったり、「行きがかり上」という経緯があったり、人それぞれ事情は様々でしょうが、“これをやりたい!”と強く思って創業し、事業運営している方と、仕方なく・・・とまではいかなくても、当たり前に思って継承して事業運営している人とが同じ土俵で勝負したら恐らく勝負になりません。後継経営者は、先代や以前からの社員さんがつくり上げて下さった基礎があるからこそ事業運営出来ているはずなのに、それを忘れてしまいがちではないかと感じます。私だけかもしれませんが、経営指針策定の経緯の中で、そのような感覚が強くなってきました。

だから、後継経営者こそ、同友会をはじめとした経営の学びの場に出向う、と訴えました。経営のための手段、手法を学ぶということだけでなく、自らを律し、経営者、ひいては人間としての資質を高めるための努力を怠らないようにする必要があると感じます。同友会に入らずとも自分自身で出来る方もいるでしょう。しかし、誰しも弱い面があります。めんどくさい、あしたにしよう、またいつか、そういう気持ちと葛藤するときあるでしょう。それに打ち勝つための刺激を与えてくれるのが同友会であり、経営の学びの場です。同世代や、自分よりもっと若い経営者が努力して、変化し続けているのを目の当たりにできる場です。そのことが、後継経営者(特に継承して日が浅い方)にとって最も意義深いものではないかと、今回改めて感じたところです。

例会の様子(70名を超える参加を頂きました)

報告を終えて後日、例会に参加して頂いた、たくさんの感想、学びのポイント、メッセージを頂きました。一つ一つ読ませて頂きました。気持ちを新たに経営に取り組もう、もっと努力しなければ、もっとできる、と自分自身を奮い立たせて頂けるものでした。これを頂けるのが報告者となる楽しみの一つだと感じます。本当に感謝しております。そして、このメッセージは、私の報告を聴いてどのように感じて頂けたのか、どういった部分がみなさんに響いたのか、それを伺い知る貴重な資料でもあります。ご指摘・ご意見頂いた個々の内容を当社の経営に反映させて頂き、経営指針に掲げた理念を具現化し、目指す将来像を達成する、よい会社・強い会社をめざして邁進していきます。今回は、本当にありがとうございました。

2012
07.04

2012年6月30日、広島市内で、ひろしま青年部会合同例会が開催されました。広島県青年部会連絡協議会の主催で、広島県内各地に支部がある広島同友会の青年部会(41歳までの若手経営者で構成)の全体会という位置づけです。今回、広島県内だけでなく、我々島根同友会のメンバーをはじめ、全国各地から参加者があり、参加者数220名という大例会となりました。

例会テーマは、「青年経営者の資質を問う!~今だからできること~」と題し、広島同友会青年部のOB経営者2名の方から報告がありました。一人目は、広島同友会相談役 元広島同友会代表理事 青年部OB 岸工業株式会社 代表取締役 岸英雄氏、二人目は、広島同友会代表理事 青年部OB 旭温調工業株式会社 代表取締役 粟屋充博氏、です。元そして現在の広島同友会の代表理事の報告、しかも青年経営者に対するメッセージとしてどのようなことを語られるのか、大変興味を持って聴くことが出来ました。その概要報告をベースに今回の合同例会での学びと気づきを整理しておきます。

報告する粟屋社長(広島同友会代表理事)

1.経営者として守っていかなければならないこと

最初は、岸社長からの報告でした。岸社長は、広島市内にある山陽高校の理事長も務められているそうですが、報告の冒頭、教育の問題について話をされました。戦後教育の問題、現在の日本人が近代史を習っていないという実情、日本人全体が日本の歴史を知らないと言う実態についてです。同友会の報告でそのような話を聞いたことはこれまで無かったので、最初は、保守的な右寄りの思想を強く持った方かという印象も持ちました。しかし、その意味するところは、日本人としての根本的なよりどころの有無が、経営者の覚悟、本気、といった根幹に係わってくる、ということをおっしゃりたかったのではないかと理解しています。

私は、「とにかく自社を良くしたい」という気持ちだけで同友会に入り、その学びを経営の改善に活かすことだけを考えてきましたので、戦後教育と経営がどういう関係があるのか直ぐには理解できなかったのですが、岸社長の「経営者は、日頃の生活信条の中でこの国を守るという意識があるのか?経営者として守っていかなければならないことについて意識のある人は少ないのではないか?」という言葉が強く印象に残っています。

企業経営が目指す大きな目的の一つに「従業員とその家族の幸せ」があります。当社の経営理念にも書いてあります。要するに、従業員と家族の幸せのためには、単に自社が存続発展すればいいのか、という話だと理解しています。それはもちろんだが、それだけではなく、地域社会が存続・発展しなければなりません、そして地域社会の集合である国、国家がすばらしいものでなければならない。その時に、地方の一中小企業経営者であっても、国のあるべき姿、この国はどうあるべきなのか、そういった事を考え、議論し、自分自身の中で、自分そして自社の立ち位置を見定めておかなければならない。

青年経営者だからこそ、若い時だからこそ、経営の事だけでなく、地域のこと、国のこと、自分はどうしたいのか、どうしたらいいのか、考えなければならない。そういったメッセージだったと理解しています。

2.“全体を見ていない”ことに気がつく・気づかせてもらう

続いては、粟屋社長からの報告でした。粟屋社長からは、同世代の経営者の集まりである青年部という活動について、積極的に携わるべきとの話がありました。自らも若い時に同友会の他、様々な活動に従事され、その中で先輩たちの姿を見て将来の自分を俯瞰する場になったという経験をお持ちだからです。

興味深かったのは、YEG(商工会議所青年部)、JC(日本青年会議所)との比較から、同友会について話された内容です。粟屋社長は、同友会の特徴は、各人の会社、明日の会社、自分と仲間はどうしなければならないか、経営者の人間性に目を向ける、という点が特徴だと指摘され、その一方、YEGやJCについては、各会の目的の達成に向けた各種行事の企画運営に参画し、その中でリーダシップを体得するという意味合いがある、と自らの経験を踏まえて話されました。私は、YEGもJCも経験がありませんが、同友会(青年部)とは似て非なるものだという認識はあります。青年経営者が参画する活動には様々なものがあり、どのような活動に、どのような目的を持って参加すべきか、示唆を与えて頂けるお話でした。

そして、印象に残ったのは、「群盲象を撫でる」ということわざについての話です。多くの盲人が象を撫でたとき、足であったり、鼻であったり、しっぽであったり、それぞれ自分の手に触れた部分だけで象を評してしまう。そのように、部分だけを見てそれが全体だと錯覚してしまうこと、青年経営者でなくとも陥りやすいと思います。その、足の事しか知らない人に、鼻やしっぽの話をしてくれるのが、同友会活動だという訳です。このことわざのポイントは、確かに全体を見れてはいないが、足も、鼻も、しっぽも、一つ一つは間違っていない、と言う点ではないでしょうか。全く間違っている訳ではないからこそ、全体を見れていないことに気が付かない。それを気づかせてもらえる場、意識して求めていく必要があると感じています。

そして最後に話されたのは、「本当に大切なことは目に見えないもの、形が無いもの」という指摘です。価値観、人間性、信頼関係、思いやり、人間としても重み、いずれも独学や本からは学べないもの、人との関わりの中で身に付けていくものだという指摘、まさにそのとおりだと感じます。青年経営者は、若いからこそ、小さくまとまらず思いっきり活動すべき。それがまさに人との関わりであり、同友会活動であり、青年部活動であるのだと改めて理解したところです。

3.利害関係のない人から認められるから価値がある

合同例会の最後に、まとめとして、2012年度広島県青年部会連絡協議会会長の早間雄大さんから話がありました。その中で印象に残った言葉あります。「作業をしない。仕事をする。同友会も、会社も。」

仕事ではなく、作業をしていませんか?この問いかけは経営者にとってこそ、大きな意味を持ちます。作業とは、いわゆるルーチンワーク、言われた通りにこなすこと。仕事とは、そのルーチンワークも含めて会社の目的を達成するための行動全体、価値の創出そのもの、とでも言えばいいでしょうか。ですから、経営者が作業と仕事を履き違えては、会社の先行きは不安定になると言わざるを得ません。もちろん、経営者もルーチンワーク的に日々やらなければならないこともあるし、プレイングマネージャーの方はなおさらです。しかし、そこを峻別し、常に会社の目的を達成するための仕事をしているか否かを自問自答する。そして、それは同友会活動でも同様。何のための同友会か。常に問いかけながら、“仕事”をしていくことが必要だと、気づかせて頂きました。

早間さんも様々な苦労をされてきている青年経営者ですが、最後に、同友会活動を通じた経営者としての成長について象徴的な言葉がありました。「利害関係のない人から認めてもらうことで自信がついた」、これは私もまさに感じるところであり、大事にしなければならない観点だと考えています。

利害関係のある人とは、社員、取引先、お客さま、など。これらの方々にも、もちろん認めてもらう必要があります。しかし、利害関係があるからには、本心を言いにくいケース、特に悪い点については、率直に指摘できないケースもあるでしょう。それを、利害関係がなく、さらに経営を良くしていく、地域を良くしていくという共通の目的を持った同友会のメンバーが評価し、認めていく。真剣に経営に取り組む者どおしが、認めてもいいと思った時に認める。それが価値ある評価だし、その評価を目指して頑張る。同友会で活動していくことの意義であり、だからこそ、会員一人一人が自分に、そして同友会会員に対しても厳しくあることが求められると、改めて感じたところです。

合同例会グループ討議の様子

ひろしま合同例会は、島根青全交実行委員会との共催として開催して頂きました。広島の同友会青年部も島根の青全交を全面的に応援して下さっています。2012年10月4日(木)、5日(金)の青年経営者全国交流会では、全国の青年経営者が島根の地に集い、大きな学びを共有します。そのことが島根の経営者にとって、島根の地域にとって、意義あるものとなり、ひいては我々の国、日本のためになるよう、実行委員会の一翼を担わせて頂いている私も、努力していきたいと決意を新たにしたところです。