2012
08.30

2012年8月28日、島根経営品質研究会 特別講演会が開催されました。

テーマは、「凡事一流で実現する最幸の生き方、働き方」と題し、株式会社ビスタワークス研究所 代表取締役社長 大原光秦氏を講師に招いて開催しました。同社は、日本経営品質賞受賞企業でもある、ネッツトヨタ南国の人財開発を担当する企業です。大原さんは、島根経営品質研究会の特別講演会講師として、5年連続お向えしており、島根における経営品質向上活動に対して絶大なご支援を頂いています。

昨年度の講演でも大変示唆の多いお話をたくさん頂きましたが、今回はさらに内容を充実させ、大変多くの学びを頂くことができました。講演内容の一部ではありますが、主要なテーマとなったところを整理しておきます。

講演する大原光秦さん

1.一流と三流~地域、時代を超えて存在する“規範”に立ち戻る~

今回の講演テーマでもある“凡事一流”という言葉。当たり前のことを、一流にやる。では一流とは何なのか。講演では、一流と三流の比較という観点で、地域や国を超えれば認識の違いがあるのか、時代を超えれば違いがあるのか、といった検証を行われました。“一流”と聞いてどんなイメージを浮かべるのか。仕事に関して言えば、一生懸命働く、仲間と協力し合う、感謝する、他者を思いやる、苦労があってもやり遂げる、失敗を反省する、自分を磨く、実力があっても謙虚、夫婦仲が睦まじい、地域社会に貢献する、等々、誰も異論がないところでしょう。そして、こういった価値観や認識は、国や地域、時代を超えても共通します。さらに、能力の違いではなく、行動の選択の問題である、ということが分かります。

もう一つ、今回の講演を通じて出てきたキーワードが「規範」です。辞書で調べると、「行動や判断の基準となる模範。手本。」といった説明ですが、この規範こそ、“一流”という言葉からイメージされる行動そのものと言っていいでしょう。規則ではなく規範。現在、世の中には規則やルールが溢れています。仕事でもすぐに規則化、ルール化を進めようという時代です。しかし、規則で仕事をする時代から、規範に基づいた行動への転換が大事だと言うのが今回の大きなメッセージの一つです。転換と言うよりも、規則やルールに縛られ過ぎてきた日本全体の価値観を、かつては当たり前だった“規範”に基づい行動に引き戻そう、という趣旨だと理解しています。

だから、前述の一流となるための「行動の選択」は、“規範”によらなければならない。日本人が古くから大切にしてきた「規範」。善きこと、当たり前のこと、そこに今一度目を向ける。大原さんは、職場、家庭、地域生活、そこでの生活をきちんとするだけで大きく変わってくる、とおっしゃいます。家庭が荒れて仕事がうまく行って意味があるのか、職員が疲弊させて会社を伸ばして意味があるのか、国や地域は廃れて会社が発展して意味があるのか。そういう問題意識を改めて認識させて頂くことが出来ました。

2.自分で考えて、善きことを実践し、尊敬される人

講演の中で、「今まで重視されてきた人材」と「これから重視される人財」について話がありました。これは企業のアンケートに基づいたもので、時代背景によって変化がみられるということです。分かりやすくするため、前者を「波風立てずに、言われたことだけ、ちゃんとやる人」、後者は「自分で考えて、善きことを実践し、尊敬される人」と表現されました。能力の観点からみると、前者は、“反復的・作業遂行能力(静的能力)”、後者は、“創造的・対人影響力(動的能力)”となるそうです。

これから重視される人財像として示される、“自分で考えて、善きことを実践”。これは、行動の選択ですから、やりさえすればいい話です。しかし、実際には中々出来ない。なぜやらないのかと言えば、今の日本が、“規則と罰”で人を動かす仕組みに学校教育の時からどっぷりと浸かっており、今回のキーワード“規範”に基づいて行動するように育てられていないからだというのが話の本質だと理解しています。だから、後者は“採用では迎え入れることのできない人材”(もちろん全くゼロではない)で、育成するしかない。

そのためにどうするのか。その答えは「事上摩錬」。難しい言葉ですが、“実際に行動や実践を通して、知識や精神を磨くこと。”という意味で、会社や組織で言えば、仕事を通じて自分を磨くことのできる職場づくりが大事だということです。そのためには、地域や時代を超えて存在する“規範”に基づき、人間が持っているきれいな心、美しい心に働きかけるように仕向けて行く。そして、それが出来るようになった人は、おのずと“尊敬される人”となるのでしょう。

ネッツトヨタ南国の事例として、駐車場に線を引かない(社員がお客様から車を預かって停車することが前提)、といった取り組みを紹介されました。ルールどおり繰り返すのではなく、敢えて不便な状況に設定し、常に最善を考えて行動するようにさせるための環境づくりです。例えば、お客さまが多い日は通常よりも詰めて停めるとか、時間がかかりそうなお客さまは奥に、直ぐに帰られるお客様は前に、など、各人が最善を判断して行動するように日々訓練されるということです。それが、事上摩錬の実践。一見簡単そうでとても高いレベルの取り組みです。わが社なりの事上摩錬の参考事例として真摯に受け止めたいと考えています。

3.目的・志の共有化~仲間との共鳴が、強烈な目的意識を生み出す~

昨年の講演会でも少し話があったのですが、例えば今回の講演会でいい話を聴いて、“明日から変わるぞ!実践するぞ!”と思っても、その気持ちは持って3日。なぜ、気持ちが続かないのか。その理由に、“日本人の特性”という観点から説明がありました。日本人には、“場”(自分の属する組織やグループ(家庭、職場、地域、友人づきあい、サークルづきあい等))の影響を受けやすく、今、その場でふるまうべき行動を取ってしまうという特性があるそうです。今時の言葉で言えば“空気を読む”ということでしょうか。3日で冷めるという現象は、例えば、自分が聴いて帰った話と、自分の職場の状況やメンバーの意識にあまりに距離があると、脳がそのことを理解してしまい、行動に移せなくなる、と説明できる訳です。

それを回避する方法として示されたのが、「強烈な目的意識」です。先日のオリンピックでメダルを取った選手たちが、異口同音に述べた感想を事例に説明されました。「すばらしい仲間たちに感謝したい」「応援して頂いたみなさんのおかげ」「最高のステージに立てたことに感謝」、といった共通するコメント。一流の選手たちは、なぜ口々に同じことを言うのか。彼らは自分のためではなく(少しは自分のためもあるでしょうが)、応援して頂いた方々、一緒に努力してきた仲間のために頑張っている。彼らを喜ばせたい、彼らと一緒に喜びたい、彼らに恩返ししたい、という強烈な目的意識で取り組んでいる。それが一流ということだと。

それは、仲間と支えてくれる人たちと“共鳴”している状態。お互いに分かち合っている状態。仕事で言えば、自分の会社・職場が何のために存在しているのかをお互いに理解し合い、その仲間たちと目的を達成したいと心から願っている状態。そのような状況では、一人一人の行動が“規範”となり、皆がさらに本氣で取り組み続ける。組織の状態としては、とてつもなく高いレベルですが、それを目指し、達成すれば、係わり合う全員にすばらしい人生が待っていることは間違いないと理解できます。

もう一つ、大原さんが最後に口にされたのは、「愛する努力をする」ということ。それは、いい所を探して讃え、感謝を実践する。悪いところを指摘してお互いをよくしていく。とても難しい事ですが、そのレベルになった組織は、本当に素晴らしい力を発揮するのでしょう。まずは、「人間とは他人との摩擦や挫折、失敗、修羅場経験を乗り越えて成長する。」という認識をお互いが深く理解し合い、切磋琢磨していける職場を作りたいとの思いを強くしました。

会場は180名の参加で超満員

島根経営品質研究会の特別講演会は、大原さんにお越し頂く事が恒例となっていますが、今年はなんと180名ものみなさんにご参加頂きました。私が講演を伺うのは4回目ですが、年を追うごとに理解が深まりますし、大原さんの講演そのものも進化しています。また、懇親会の席ではさらに突っ込んだ話をさせて頂くことも出来、大変有意義な一日となりました。大原さんに、そして参加頂いたみなさんに改めて感謝申し上げます。このブログが、講演会の理解の一助になれば幸いです。

2012
08.23

社長の温泉めぐり48 海潮温泉(桂荘) 島根県雲南市大東町

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

今回48箇所目は、島根県雲南市大東町の「海潮温泉 桂荘」に行ってきました。訪問日は、2012年8月19日です。海潮温泉は、出雲国風土記にも記載がある、およそ1300年の歴史を有する古い温泉です。民間旅館と共同浴場がありますが、今回入浴したのは共同浴場である「大東農村環境改善センター 桂荘」です。この施設には元々入浴施設があったのですが、2012年2月にリニューアルオープンしています。

施設外観(奥が増築された入浴施設棟)

海潮温泉は、協和地建コンサルタントが古くから開発に携わってきた温泉であり、ボーリングによる温泉開発はこれまで4回にわたって実施されています。桂荘も含めて、海潮温泉で現在使用されているのは“4号泉源”と呼ばれる泉源で、平成17年に当社が開発させて頂きました。比較的浅い深度(300m)から45℃以上のお湯が豊富に湧出しており、コストパフォーマンスの高い、良質な温泉井と言えます。

泉質は、「ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉」です。施設内には、なぜか成分分析表の掲示がありませんでした。配布されていたパンフレトに泉質の概要のみが記載されています。源泉温度は45.9℃、仕様位置は43.0℃となっており、リニューアルに合わせて“源泉かけ流し”が採用されています。硫酸塩・塩化物泉の特徴とですが、硫酸塩泉は傷や火傷等の治癒効果が高いとされ、ナトリウム-硫酸塩泉は肌に皮膜をつくる“しっとり肌効果”が期待できるとされます。また、湯冷めしにくい温まりの湯である塩化物泉の効果も加わります。一方で、成分濃度はさほど高くないため、湯あたりの心配も少なく、入浴しやすい温泉と言えます。さらに、源泉かけ流しで鮮度のいいお湯が供給されていますので、泉質が持つ特性がより有効に機能する可能性が高い温泉と言えます。源泉かけ流しの採用は、施設としても大きなアピールポイントとして意識されているようで、浴室入口の扉にも「源泉かけ流し」という大きな掲示がしてありました。

浴室内は、黒基調の石張り(女湯は色合いが異なるようですが)が特徴的で、高い天井に木の梁を通した空間が作られ、柔らかく広々とした印象を与えます。風呂は、長方形の浴槽のみというシンプルな構成で、サウナと水風呂が備わっています。目に付いたのは、浴槽の角から風呂の中央部にかけて一本木を切り抜いてお湯が通るようにしてある水路のようなもの。恐らくは、源泉かけ流しによる浴槽内の温度調整に際して、元々浴槽の角からお湯を加えるようにしていたものを、より適切に温度管理するために中央部に注ぎ口を映すように、後から調整で付けられたものでしょう。しかし、これが石張りの浴槽内のいいアクセントになっており、質感を高めているように感じました。

洗い場は11箇所あり、仕切りのあるタイプでスペースにもゆとりがありました。リンスインシャンプーとボディソープが備えてあります。脱衣場はやや狭い印象で、鍵付ロッカーが無く、棚に籠がおいてあるタイプです。ロッカーとしては30箇所程度で、貴重品は入口脇にあるロッカーに預けるスタイルです。洗面は3箇所、ドライヤーも3つ備わっており、施設規模的には妥当な数ではないかという印象です。

ロッカーに鍵が無い点ですが、車で訪れることが前提の施設でしょうから、貴重品は車中に置いておくということでよいのかもしれません。しかし、ロッカーに鍵が付いていないのは中々使いにくいところです。近年、残念なことではありますが、田舎の施設でも脱衣場での盗難が頻繁に起こるようです。別の温泉施設で聞いた話ですが、そこもロッカーには鍵が無く貴重品は別途保管する方式だそうですが、例えば女性用の上着など、衣類で高級なものが籠の中から盗難されることがあるそうです。温泉に携わる者としては残念でなりませんが、ロッカーを鍵付にするというのは、時代の要請になってきていると言えそうです。

施設内の休憩コーナー

利用料金は大人300円。シンプルな温泉施設ではありますが、リーズナブルな価格設定です。ちなみに、隣接する松江市の温泉施設の入浴料は、市民利用で300円だったのが400円に値上げとなっており、島根県東部地域での安さは際立ちます。また、この施設は“大東農村環境改善センター”と名づけられているように、雲南市大東町地区の地域交流施設の位置づけも有しています。会議室や大集会室(小規模な体育館)も備わっています。また、温泉の入口にはマッサージの受付もありました。最近は、多くの温泉施設でマッサージが併設されることが多くなっています。それだけニーズがあるということなのでしょう。宿泊機能はありませんが、近傍において民間の旅館が営業されています。それぞれの宿が趣向を凝らした露天風呂を備えており、隠れ家的な秘湯の雰囲気を味わうこともできるようです。

私が訪れたのは、日曜日の午後。猛暑のさなかにも関わらず、そこそこの人出がしていました。施設としては古さも感じさせますが、地元密着のシンプルさは好感を持てます。自前の入浴セットを手にした地域住民の方々が施設内を行き交う姿が見られ、地域の交流施設・健康増進施設として、有効活用されている様子が伺い知れます。 新しい、近代的な施設もいいですが、こういった施設が醸し出す何とも言えない温かみもいいものです。

施設入口、ロビーの様子

由緒ある名湯を源泉かけ流し、かつリーズナブルな価格で体感できるお得な温泉施設です。他地域からの来訪者向けの施設ではありませんが、くせのない、鮮度の高い温泉を体感できます。現代のボーリング技術によって1300年の歴史を誇る貴重なお湯を、身近に活用できるようになりました。今後とも、温泉資源の有効活用と保全のバランスを保ちながら、末長く賑わい、活用され続けて欲しい温泉地の一つです。

2012
08.16

2012年8月14日(火)に、松江市八雲町の夏祭り「第13回やくもまつり おいでな祭」が開催されました。このまつりは、まつえ南商工会八雲支部の青年部メンバー(OBも含めて10数名)が中心になって、企画・立案し、毎年開催しているものです。今年で13回目になります。運営側で参加するのは昨年に続いて3回目、準備の仕事にも慣れてきましたが、今回は今回なりの気づきがありましたので、まとめてみます。(昨年度第12回の様子はこちら一昨年度第11回の様子はこちら

雨上がりにも係わらずたくさんの人出

1.あいにくの雨に、信じる気持で立ち向かう ~信じる気持が雨の切れ間をもたらす~

私がやくもまつりの運営に参加して、今回初めて本格的な雨に見舞われました。昨年度も、開始直前の17時頃に雨に見舞われ出足を悪くしましたが、今回は16時頃からかなり本格的に降ってきました。当日の開催決定は14時に実施済。町内の防災無線で開催決定の放送を流していますので、それ以降は、よほどの事が無い限りは決行することになります。

この雨によるイベントの開催是非の決断は非常に悩ましい問題で、各地でイベントを企画される方々の悩みがいかほどのことか、身にしみて感じることが出来ました。安全をみて中止にして晴れたりすれば「なぜやらなかったのか」となりますし、決行して土砂降りにでもなれば「なんでやるんだ」ということになります。しかし、少々の雨だろうが、決行して良かったと考えています。

昨年のブログでも書きましたが、この祭りでは、お盆休みやその帰省などで久々に顔を合わせたと思われる若者たちの集団があちこちにみられ、毎年盛り上がりをみせます。また、日頃八雲町内に住んでいても、日頃は顔を合わせない人が、この祭りの場で顔を合わせてお互いの近況を確認し合う。子どもの成長を知ったり、お互いの家族の様子を垣間見たり、まつりが地域の交流に一役買っていることは間違いありません。そして、それを積み重ねてきたからこそ、「8月14日には必ずまつりがある」「あそこに行けば誰かに会える」といった、地域の行事として定着した祭りの楽しみを生み出しています。

だからこそ、少々の雨が降っても決行し、まつりの間、せめて花火が終わるまで天気が持ちこたえてくれることを祈る。それを信じて決行しました。そして、それが本当のことになりました。みごとなぐらい、まつりのイベントがスタートする18時頃から、花火の終わる20時半頃まで、雨がやみました。“たまたま”と言ってしまえばそれまでですが、せっかく準備した年に一度の祭り、町内のみなさんが楽しみにして頂いている祭り、であるならば決行しよう。「きっと止むはずだ」と信じる気持ち。そのことが、雨の切れ間をもたらし、いい結果を導くことになったと“信じます”。

2.花火はやはり祭りの華 ~至近距離での体感こそ地域のまつりの醍醐味~

今年のやくもまつり、なんといっても、花火がすばらしかった。

今回、商工会のつながりで、奥出雲町商工会に属されている(有)タイノスさんに花火をお願いしました。自動車部品製造、食品製造販売が主力ですが、その傍らで島根県内の大小様々な祭りやイベントで花火を上げていらっしゃる実績豊富な実力派の花火師です。やくもまつりでは、これまで遠方の花火業者さんに依頼していましたが、せっかく地元に、しかも同じ商工会に属している方で花火を上げていらっしゃる方が居るのだから、そこにお願いしてはどうかという意見があり、また先方も引き受けて下さるとのことで、お願いすることになりました。

当日、期待半分、心配半分で始まった花火でしたが、静かなスタートから中盤の連続した盛り上がり、終盤に向けた多彩な花火の連続、ラストの大連発花火。すばらしい出来栄えで、終了後の余韻の中で大きな拍手が沸き起こりました。おいでな祭は、過去13回開催されていますが、初回から携わっている先輩方も「今回は過去最高だったと思う」とその出来栄えを評価されていました。本当に素晴らしい花火でした。

やくもまつりの花火の良さは、花火と会場との近さです。田舎のまつりで見る花火の醍醐味はそこでしょう。大規模なお祭りの花火ほど大きくは無いけれど、すぐ近くで見れる。今回の花火は、そのことにギリギリまで挑戦して頂いたという印象です。近くで見れば迫力があるからと言って、お客さんの真上に花火を上げる訳にはいきません。予め保安区域を定め、安全を確保するよう指導されています。しかし、花火とお客さんを離せば、それだけ花火の迫力は小さくなります。お客さんが、可能な限り間近で、多彩な花火を見れるようにしたい。その想いで、最善の対応と挑戦をして頂いたタイノスさんには、本当に感謝したいと思います。

花火を打ち上げるためには、消防や警察などの許可や検査を受けなければなりません。当日は、地元の消防団の方にも待機して頂きます。たくさんの方々の協力や縁の下のサポートがあってこそ、花火を打ち上げる事が可能になります。だからこそ、花火はいいものにしたいし、お客さんに満足して帰って頂きたい、それがまた来年の客足につながり、まつり自体の盛り上がりにつながり、地域づくりとして花開く。来年もぜひお願いし、すばらしい花火を見せて頂きたいと、私自身は決めています。

3.地域のまつりの意味~地域の方々の力添えで成り立つ地域づくりの集合体~

私がやくもまつりに携わるのは今年で3回目です。商工会の青年部が主催、運営していますが、何となく単発的なイベントのように感じる面も少なからずありました。当たり前のように商工会青年部がまつりを企画・運営しますが、祭りそのものは商工会に属している事業者の収益に直接影響を与える訳ではありません。だから、なぜ商工会が祭りを企画運営するのか、なぜ続けなければならないのか、疑問に思う点もありました。そんな肩肘張らずとも、みなさんに喜んでもらえればそれでいいじゃないか、という意見もあるでしょう。そんな中、今年運営側として3回目の祭りを迎えるにあたり、まつりとは“地域づくりの集合体”とでもいうべき概念なのかな、と感じるようになりました。

限られた人員でボランティア的に運営している祭りですので、これまで、いい方は悪いですが、“商工会青年部が祭りを企画・運営してやってる”的な意識がありました。ですが、実際には商工会青年部だけで祭りが出来る訳ではありません。第一には、寄付金。町内の自治会、町内の商工会会員、一般事業者・個人、様々な方々から寄付を頂きます。3年連続して寄付金の担当を受け持ち、毎年、当たり前のように寄付を頂けることのありがたさに、改めて気づかされます。ほかにも、毎年祭りのポスターを書いてもらっている八雲小学校の6年生のみなさん。まつりへの屋台出店や翌日のごみ拾いを手伝って頂いている八雲ジュニアサポーターズクラブのみなさん。他にも、毎年格安で設備の設営や準備を手伝って頂いている町内外の事業者のみなさん。携わるポイントはそれぞれで、ごく一部かもしませんが、それらが全て集合すると大きな“祭り”として具現化する。そして、それを目指して多くの町民のみなさんが集まり、夏の夜のひとときを楽しんでまた日常に戻る。

それは、長年続けてくると当たり前のように感じるけども、実は当たり前ではない。つまり、“地域の祭りが出来る”ということは、そこにいまだ“地域”と呼べる、自分達の町、ふるさとが維持されている、きちんとした形で存在していることの証明ではないかと思うのです。だからそれを絶やさぬようにしなければならない。一人一人の携わり方はわずかなものでも、それをまとまめて大きな力にしていくための努力、継続的な活動は続けていかなければならない。それは、その地域で事業を営む者の務めである。そんなように思って、今回のブログを書いています。

ステージを盛り上げて頂いたアクアマジックのみなさん

やくもまつり、3回目にしてまた色々な発見と学びがありました。まつりの面白さも、違う側面から理解出来てきた気がします。来年の祭りではどんな発見があるのか、どんなハプニングが起きるのか、それもまた楽しみの一つとして期待しながら、来年を待ちたいと考えています。やくもまつりにお越し頂いたみなさん、携わって頂いたみなさん、ご支援頂いたみなさん、本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

2012
08.09

2012年8月1日、かねてより導入を進めていた本社屋への地中熱ヒートポンプ空調システムが完成し、運転を開始しました。

思い起こせば、平成23年10月の「地中熱利用促進地域交流2011」への参加、そして同10月の経営指針の策定を契機に地中熱活用への事業参入を決意し、2012年2月の地中熱シンポジウムで地下水活用型の地中熱技術に着目、と地中熱への関わりを深めてきました。そうした中で、「島根で地中熱に取り組むにはまず自らやってみるしかない」と考えるに至り、本社屋への地中熱ヒートポンプ空調システムの導入に着手しました。国の補助金を活用したこともあり、それから半年をかけて遂に完成までこぎつけました。

今回、完成したシステムのPRも兼ね、このブログでその特徴や今後の可能性、自社に施工する中で見えてきた当社の立ち位置といったことについても整理しておきます。

制御盤に示されるシステム運転状況

1.ピーク時運転を継続しても従前の7割の消費電力~最大で約半分まで低減~

地中熱ヒートポンプを活用したシステム導入の魅力は、言うまでもなく「節電・省エネ」への貢献です。わざわざ地中に井戸を掘り、熱交換する設備を導入しても、それがエネルギーコストの縮減につながらなければ意味がありません。この点、地中熱ヒートポンプ空調は、明らかに節電・省エネに貢献します。

運転開始したばかりのデータではありますが、猛暑が続く中で最大限の運転を行った際の消費電力をみると、ピーク時運転を1カ月間連続で続けたとしても、昨年同時期の電力消費量と比較して、7割程度に留まる見通しです。このため、通常の運転になれば半分ぐらいまでは電力消費量が縮減されるのではないかと想定しています。稼働したばかりの速報値ですので、あまり大きな事は言えませんが、今後継続してデータを蓄積して把握し、検証していきたいと考えています。

一方で、導入に向けてはコスト縮減だけでなく、「費用対効果」が求められます。いくら電気代が安くなるとは言え、導入コストが回収不能では意味がありません。現状、地中熱活用のための設備にはそれなりのコストがかかります。その意味では、導入に適した施設や用途があると言えます。病院や福祉施設など、空調が必ず必要で、なおかつ年間を通じて常に運転が求められるような施設において導入効果が高く、費用回収も早くなると言えます。この点については、一般論ではなく、データを用いて素早く検証、提案できるような体制を早期に整えたいと考えています。

機械室の様子(手前がヒートポンプ)

2.予想以上の成果をもたらす井水活用型熱交換井~従来型タイプの10倍の能力~

地中熱ヒートポンプの空調システムは、大きく、熱源側(1次側)と設備側(2次側)に分かれます。当社が関与するのは主に1次側の熱源確保の部分になります。具体的には、ボーリングで地中を掘削し、熱交換のために不凍液を循環させるUチューブを埋設します。今回のシステムでは、一般的なUチューブ埋設型(ボーリング孔にUチューブを埋設して埋め戻す)と、井水活用型(井戸として仕上げてUチューブを挿入※井戸の中にチューブが浸かっているような形)を併設(100m×2本)しています。埋め戻すタイプが土を介して熱交換するのに対し、井戸式は水を介して熱交換します。どちらが効率が良いかは言うまでもありません。今回のシステムの大きな特徴の一つです。

これも速報値で恐縮ですが、井水活用型の熱交換井は、(あくまで当社システムの場合ですが、)一般的なUチューブタイプの熱交換井に比べて約10倍の能力を発揮していると推定されます。これが意味することは、「一般的な熱交換井10本分を1本の熱交換井で賄える」ということであり、1次側の熱源確保の施工費を大幅に削減し、より低コストで高効率の地中熱ヒートポンプシステムを構築できる可能性があるということです。今後データの計測を進め、その能力について精査したいと考えています。

ただし、この井水活用型の熱交換井は、どんな場所でも同じような性能を発揮できるとは限りません。そもそも水が出ないところもあるでしょうし、水量が足りないと場合もあるでしょう。また、出来るだけ深度の深いところで採水できるような条件が整わないと、高い能力は出にくい(井戸の中を地下水が循環しにくい)ということがあります。さらに、一般的なUチューブ埋設型の熱交換井よりも施工費が割高なため、掘削地の地質特性を踏まえて採水深度と掘削深度を揃えるなど、効率的な熱交換井に仕上げる工夫が求められます。そこに、地質の会社であり、さく井工事会社でもある当社の技術とノウハウ、データ蓄積が活きてきます。そのことをよく認識し、地中熱活用における当社の立ち位置を明確にしていきたいと考えています。

井水活用型熱交換井のピット

3.冷温水配管による空調がもたらす優しい風~費用面では改修よりも新築が有利~

地中熱ヒートポンプシステムによる空調の特徴として、熱交換のための触媒に水(不凍液)が使われるということがあります。一般的なエアコンの冷媒はガス(代替フロン等)であり、そのガスによって熱交換をします。ここに大きな違いがあります。

地中熱空調システムの冷風を体感すると、(現在は冷房ですので)一般のエアコンで感じられる、強烈に乾燥した肌に刺さるような冷風ではなく、適度に湿度を持った感覚を得られます。柔らかい風、優しい風、と言うこともできます。前述の地中熱システムが有効と考えられる病院や福祉施設などを利用する方のことを考えると、同じ冷房、暖房でも、適度に湿度を保った空気を供給することで、より過ごしやすい、体に優しい空間をつくっていくことにつながるのではないかと、その適性を感じています。

一方、設備的にみると、このことにより、施設内に「冷温水配管」を敷設することが必要になります。一般的なガス冷媒を循環させるための配管とは異なるため、既存の空調設備が一般の空気熱源エアコンで、その改修を行う場合、(当社もそうですが)屋内の配管ごと全てを交換することが必要となります。例えば、“空気熱源エアコンを省エネタイプのものに交換する”と言ったケースと比較すると、少なくとも屋内の配管工事については余計に費用がかかることになり、割高感が否めない結果となります。新築時の導入であれば顕在化しない問題ですが、改修ではコスト面で不利になることについて、認識が必要と感じたところです。

いずれにしても、このあたりはシステムとして2次側の話となり、当社の守備範囲からは少し離れてしまいます。しかし、地中熱を普及していこうとすれば、空調という分野は大きなウェイトを占めると考えられますので、専門ではないからと言って避けて通れません。基本的な知識やお客さまに対してお知らせしておくべき事項として、最低限の理解と知識を持った上で、様々な問題解決の場面に立ち会って行くことが必要と考えています。

屋内のファンコイル(既存エアコンから置き換え)…見た目は変わらない

最後に、導入にあたりシステム提案から設計、施工管理までトータルで支援して頂いた㈱アグリクラスターのみなさん、短い工期で屋内配管や機械室施工等を丁寧に仕上げて頂いた島根電工㈱シンセイ技研㈱のみなさん、熱交換井の掘削において泥水処理に苦労しながらも良好な井戸に仕上げて頂いた(有)サーマル設備商会のみなさん、改めてお礼申し上げます。また、社員のみなさんには忙しい中、熱交換井の掘削に際して色々と手伝って頂きました。また、7月後半からは酷暑の中、エアコン無しでの執務生活を2週間も耐えて頂きました。本当に苦労をおかけしました。重ねてお礼申し上げます。

様々な苦労を重ねたからこそ、いいシステムが出来上がり、当社の未来に向けて大きな一方を踏み出せたと考えています。しかし、これからがスタートです。このシステムを一つの広告塔として活用し、地中熱エネルギーのすばらしさ、有効性を、メリット・デメリットを世に伝え、その普及を通じて社会に貢献していく。そんな企業を目指し、日々取り組んでいきたいと考えています。

2012
08.03

2012年7月28(土)と29日(日)、松江市の夏祭り「水郷祭」に、まつえ南商工会青年部で出店しました。2日間のうち1.5日ほど(途中所用で抜けました)出店に出て、焼きそばと飲み物を売りました。私は、2010年に初めて参加して以来2回目。昨年は体制が整わず出店を見送りましたが、ことしは1年越しのリベンジを果たすべく、乗り込みました。なお、まつえ南商工会青年部と私との係わりについては、前述のブログを参照してください。

1.何を売るのか?~商品と売り方に反省を活かす~

一昨年の出店時には「お好み焼き」を売りましたが、数々の反省点が残る結果となりました。簡単に言うと、出来栄え自体はよかったのですが、一つ一つを作るのに時間がかかり、食事が売れるピーク時(花火前、18:00頃~20:00頃)にたくさんの商品を供給できず、かなりの機会損失が発生。短期決戦の限られた時間の中でそれを取り戻すことが出来ない、と言う状況でした。商品力はあっても、ニーズがあるときに必要な品物を準備できなければ商売として成立しない、という当たり前のことに気づかされました。

この反省を活かし、今回私は、「短時間で大量に生産出来て、小分けにして販売することができるもの」でなければ商売的には成功しないと考えていました。この代表例が「焼きそば」。だから夜店でみんな焼きそばを売るんでしょう。炊き込みご飯などもいいかもしれません。で、何を売ったのかというと、結局、「焼きそば」を売ることにしました。しかし、焼きそばは、例年他店も売っています。そこで、差別化を図るために目玉焼きを乗せることにしました。“肉玉入り焼きそば”というスタイルです。当初、私は機会損失の発生回避に気持ちが行き、目玉焼きを作るスピードが焼きそばを焼くスピードに追い付かず、商品供給が滞るのではないかと思い、反対の立場でした。しかし、実際には大型の鉄板の空きスペースやホットプレートを併用して目玉焼きを作ることで、十分な生産スピードを確保することができました。

実際、黄身がとろける目玉焼きを乗せた焼きそばは、かなりの美味しさを実現しました。他店で同じようにしているところはなかったので、“余所に負けてない”という自分達の気持ちが、より積極的に売ろうとする姿勢にもつながったと思います。「やってみなければわからない」という世界でした。まずはやってみる。理屈で考えることと現実は違う。現場でやりながら工夫出来ることもある。とかく机上で考えてばかりになりがちな自分を反省するいい機会になったと思います。

肉玉入り焼きそばで勝負

2.“何が何でも売る”という気迫が原点

商品と売り方に工夫を凝らしても、それだけでは売れません。今回改めて感じたのですが、大事なのは、「何が何でも売る!!」という気迫、熱意、です。特に、祭りの出店のような短期決戦の場において、“いいもの並べとけば客が来るだろう”、的な発想では競争に勝てないということです。特に、我々が出店する商工団体が店を連ねるエリアは、各店舗が工夫を凝らした商品を販売しており、激戦区です。いつもは控えめな我々のグループも、今回は、「とにかく売ろう!」と一致団結して望みました。その結果、2年前(前回)出店を上回る売上を達成することができました。商品の善し悪し、売り方の善し悪しもあるでしょうが、まずはじめに“売ろう”という熱意があり、それに戦術的、テクニック的なものが付いてくる。それがこういった商売で大事なことなのだと実感したところです。

その一方、こういった一時期に急激な人出がする場所での商売について、違う視点で考えさせられる機会もありました。2日目、一旦売り場を抜けさせてもらい、家族で花火を鑑賞しました。その際、いわゆる的屋さんから“たこ焼き”を買ったのですが、これが明らかに冷凍食品を温めたような商品で、「ああ、こんなもん売るんだ」という感じでした。花火見物で隣に陣取っていた方もたまたま同じたこやきを買われており(^_^;)、その品質にかなり文句を呈されていました。

面白いことに、このお店、店頭では鉄板でたこ焼きを焼いていたのですが、その焼いた商品では無く、あきらかに違うものを売っていました。さすがというのか?思わず感心します。いちいち焼いていたら間に合わないし、機会損失を避けるために予め準備した冷凍加温の商品を売る。的屋の商売的にはアリなのかもしれません。熱心に売らなくても、売ってくれという人が殺到しているのだから、何でも売ればいい。しかも、売り逃げ的な状況なので後々のことも心配しなくていい。まあ、祭りの売り物とはそんなものかもしれませんし、そこは、買い手側がしっかりと見定めなければならないということでしょう。みなさん、知ってる人、或いは商工団体のお店で買いましょう(笑)。

日中は暑過ぎで人出はまばら(夕方からバタバタで撮影できず)

3.地域の交流の場としてのまつり~幅広い出会いも出店のメリット~

今回、初日はフル(14:00~22:00)に参加しました。私は、2年前と同様、店先に出て焼きそばや飲み物を売ったり、呼び込みをしたりする係でした。1年ぶりに祭りに出てきて感じたのは、「ものすごく知り合いによく会う」ということです。一昨年、初めて出店した時には感じなかった経験です。

私も島根に帰ってきて3年が経ちますので、それだけ知り合いが増えたということもあるでしょう。また、日頃顔を合わせる方ばかりではなく、フェイスブックを通じて知り合った方々と現実にお会いする機会になった、ということもありました。こちらが店先で待っていれば、向うからたくさんの知り合いの方がやってきて声をかけてもらえる。そこで、旧交を温める機会になったり、顔見知り程度であった方との交流が深まったりする。新しい出会いもある。これは出店者として店先でウロウロする役目のメリットではないかと感じました。

また、店は違えど、同じ場所で一緒に商売をしたという経験が一つの一体感を生み出すような気もします。同じ商工会のメンバーだけでなく、普段の仕事とは異なる場面で、それぞれに頑張っているみなさんの姿をお互いに見ることで、お互いの理解が深まる。そこにも大きな意味があると感じるところです。土日2日間を祭りのために費やすのは中々大変ですが、商売として売上を稼ぐということ以外にも、色々と得るものがあるからこそ、皆が頑張って続けているのだろうと感じます。

花火は中々上手く撮影できません

例年のことですが、となりで営業する“氷屋(まつえ南商工会宍道支部)”にものすごい行列ができていました。とにかく暑かったこともありますが、一つのブランドとして定着しています。一般的なかき氷よりもきめ細かく氷砕いた食感と、女性好みの盛りつけ、店構えもオシャレな造りとするなど、様々な工夫と努力の結果です。祭りの出店のレベルで、その商品をブランド的に定着させるということは中々できることではありません。我々の商品も、いつかそのぐらいを目指したい。前年の反省を踏まえて常に改善する。それを地道に繰り返していくという、努力が今後必要なのではないかと感じたところです。