人財塾

平成25年度「人財塾」 自分自身の振り返りと立ち位置の確認~次のステージに向けて~

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2013年11月13日(水)、島根県商工労働部雇用政策課が主催する、平成25年度「人財塾」にて、経営体験を報告させて頂く機会を頂きました。この塾は“地域産業の振興を牽引する次世代リーダーの育成”を目的に企画されており、県内外の魅力的な経営を行っている中小企業経営者や、「日本でいちばん大切にしたい会社」著者の坂本光司・法政大大学院教授による講義、優良企業視察等から構成される経営の勉強会です。私も、平成23年度、平成24年度と参加させて頂いており、OBとして体験報告させて頂いたという形になります。このような機会を頂いたことに感謝し、今回の報告を通じて感じたことをまとめておきます。

報告の様子

1.自分自身の振り返りと立ち位置の確認~社員満足度把握で次のステージへ~

昨年度、島根同友会松江支部7月例会にて、経営体験を報告させて頂く機会がありました。それから1年4カ月が過ぎ、それ以降の取り組みを踏まえて再度報告させて頂くこととなります。改めて感じるのは、「報告者が一番勉強になる」ということです。1年4カ月前から比較して自分自身、そして自社にどれだけの進展があるのか。経営指針に定めたことがどれだけ実践できているのか。まとめて振り返る大変よい機会となりました。

振り返りを通じ、出来ていること、出来ていないこと、明確になるがゆえに、大いに反省しなければならない点も見えてきます。自分自身が怠けていた、逃げていた、と思える部分が多々ありました。また、経営を担うようになってまだ5年足らずですが、この間の、自分自身の気持ちの変遷をたどることで、現在の自分の立ち位置を把握できます。1年目、2年目よりは間違いなく自分自身がよくなっているという自負はあります。しかし、会社は、社員はそこまで感じているのか、実感出来ているのか、という疑問も同時に湧いてきます。

今回、報告だけでなく、その後のグループワーク(グループ討議)にも参加させて頂きました。その際に、ある会社の経営者の方から「従業員満足度調査」を毎年実施しているという話を伺いました。その中では手厳しい意見も多々あるそうですが、一つ一つ受け止め、少しずつであっても改善につなげているというお話でした。それを聴いて感じたのは、「経営指針を策定した」「経営指針に則って取り組みを進めた」ということの結果、社員はどのように感じているのかを把握するステップが、当社にも必要ではないかということです。

経営指針によって、経営の方向が見えない不透明な状況からは脱した。その次は、社員の満足を高めさらなる飛躍に向けた一体感をつくり出していかなければならない。そういうステージに進む時期が近付いていると感じています。正直、社員と向き合い、社員の声を聴くのは、勇気が要ります。しかし、それに向わなければその次のステージもない。そう感じさせて頂く、貴重な機会となりました。

2.経営指針の実践と学び続けることの重要性

1年間を通じて計6回開催される人財塾の最終成果は、参加者各人が作成する「経営ビジョン」です。これを次回(第6回)に発表する予定です。今回の私の報告は、それに向けた内容をという要望を頂き、私自身が経営指針を策定した経緯などについて話をさせて頂きました。呼び方は色々あれど、人財塾においても“経営の方向性を示す”ということを最終のアウトプットとしています。どのような学びの場であれ、経営者が経営の方向う性を示すことの重要性は変わらないと言う事です。しかし、方向性を示して終わりではありません。

今回、私の経験を通じて人財塾のみなさんにお伝えしたことの中に、経営指針の実践と学び続けることの重要性、ということがあります。当たり前のことですが、経営の方向を定めても、その実現に向けた様々な実践が伴わなければなりません。立派なビジョンも机の中にしまっていては、意味が無い訳です。そして、そのためには、「継続して学び、実践し続ける環境をつくることが大切」だと、実感しています。人間だれしも弱い部分があります。実践すればいいのは分かるけど、ついつい先送りしてしまう。私も、様々な仕事が重なってくると、新たな事への挑戦や改革に手をつけるのがおっくになることが多々あります。それを打破してくれるのが、学びの場への参加です。同友会等で定期的に開催される例会に参加することで、「やらなければならない」という、挑戦する勇気をもらうことが出来ます。

人財塾は年間6回、2年目まで継続参加できるというルールで運営されています。それが終わった後はどうするのか。人財塾OBで引き続き学びの場をつくるという選択肢もある(実際、「人財塾ネクスト」というOB会があります)でしょうし、自らのスタイルや考え方に合った学びの場に参加するという選択肢もあるでしょう。いずれにしても、人財塾という場で気が付いた学びの重要性を継続する環境は、塾生のみなさんでそれぞれ創り出さなくてはなりません。そうしてお互いが切磋琢磨していくことで、島根の素晴らしい会社が増え、引いては島根全体の活性化につながるのではないかと考えています。

3.新たなご縁をつなぐ場~経営者の視点、社員の視点~

前述のとおり、今回、報告だけでなく、グループワーク、さらに懇親会の場でも塾生のみなさんと交流させて頂きました。そこで感じるのは、まだまだ私の知らない素晴らしい島根の経営者の方々がいらっしゃるということです。考えてみれば当たり前なのですが、私が日頃活動している経営の学びの場では出会えない方々がたくさんいらっしゃいました。そういった方々に時間をとって頂き、当社のことを紹介できること自体が、大変価値のあることです。本当に感謝します。

そしてもう一つ、塾生の中には一般社員の方々が含まれている点も大きなポイントと感じました。その方々は、各社における将来の幹部候補として参加されている訳ですが、現時点では経営者ではなく、一社員に過ぎない。その立場で全国の優れたたくさんの経営者の話を聴き、また、その会社を訪問して現場を見る。その刺激や気づきを各社に持ち帰ることで、それぞれの会社が変わり、飛躍していくきっかけになるでしょう。そして、そういった社員の方々とグループワークで意見交換することで、社員の視点からみてどう感じるのか、率直な意見を聴くことができる点にとても意義があります。

それは、「立場は違うが利害関係はない者どおしの議論での気づき」という観点です。自社の経営者から言われると何か裏があるのではと勘繰る人もいるかもしれません。自社の社員から言われると、我がままに聞こえる場合もあるかもしれません。そういった利害関係を抜きにして、かつ、会社を良くする、いい会社をつくるという、共通の認識を持った上で話をする。当社の社員も今後このような場に参画し、様々な立場の考え方を学んでもらうことが必要ではないかと感じたところです。

全体の様子

今回の報告内容は、2012年7月10日に島根県中小企業家同友会の松江支部7月例会にて報告させて頂いた内容をベースにしています。当時は、経営者になってから3年3カ月、今回は4年7カ月です。わずか1年と少し経験が長くなっただけですが、この間にはやはり大きな変化があります。それは、「経営指針」を策定し、それに基づいて事業運営をしているという点です。経営指針があるからこそ、自信を持って取り組める、迷いなく進むべき道を進めます。もちろん、経営指針に示した当社の方向性が絶対的に正しいとは限りません。軌道修正が必要な時もあるでしょう。しかし、目的を明確にした上でチャレンジした結果と、やみくもに思い付き取り組んだ結果とでは、後に残るものが全く異なるはずです。わずかな期間、わずかな経験ではありますが、私なりの取り組み経緯が、島根の将来を担う経営者のみなさんに少しでも役立てば幸いです。そして、意欲ある人財塾のみなさんから刺激を受け、私もまた気持を新たに経営に取り組みたいと考えています。

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