2014年8月14日(木)、松江市八雲町の夏祭り「やくもまつり おいでな祭」が開催されました。このまつりは、まつえ南商工会八雲支部の青年部メンバー(OBも含めて10数名)が中心になって、企画・立案し、毎年開催しているものです。前回のブログで今回の気づきについてまとめましたが、2週連続でやくもまつりについて書いてみたいと思います。今年で15回目になる“やくもまつり”ですが、地元団体や露天商による出店、ステージイベント、花火、の3つから構成されています。今回私は、当日分担で「ステージイベント」の担当としてステージ脇のサポートを行いました。初めて経験だったのですが、それを通じて気がついたことがいくつかありましたので、まとめています。
1.地方で頑張り地方から全国を目指す若い力が地域を盛り上げる
今年のステージイベントには、地元(米子中心)で活動するグループ5組に参加して頂きました。藤本たから、Dr.YUBI、WHITE 4TH&Divr、だいやぁ☆もんど、カミソリクローバーZ、の5グループ。私はこういったことにほとんど関心がないので、いずれのグループも今回初めて知ったのですが、地元にも色々頑張っている若い人たちが居るものだと感心したところです。
地元を中心に地元を盛り上げたいと活動しているグループもあれば、地元からさらに大きな舞台を目指して頑張っているグループもあります。目指しているものはそれぞれでしょうが、悪天候にもかかわらず一生懸命取り組んでくれている姿を見て、ステージ脇で非常に感銘を受けました。そういった地元グループのパフォーマンスを一連で見せてもらってふと思ったのは、「なんだか中小企業に似てるな」ということです。中小企業は自らの地域を基盤にしていますが、目指す方向はそれぞれです。あくまで地域密着でいく方向もあるし、地域に根差しながら全国へ打って出るという方向もある。各社及び経営者の方針でそれはいかようにも決まります。
彼らも、自分達がどんなステージで、どんな風になっていきたいか、というイメージを持って活動されています。それは地方にいるから、まだまだメジャーな存在ではないからこそ、これからの方向を定められるのではないか、と考えています。だから、未来を夢見て必死に取り組めるし、日々楽しく活動できる。そんな風に感じました。
そう考えると、中小企業も、地方だから、マイナーだから、という発想からは抜け出さなくてはなりません。地方だからこそ色々な選択肢がある。マイナーだからこそメジャーになるという夢が描ける。飛躍した感じもしますが、今回のステージイベントを振り返ったとき、大きな力をもらったように感じます。彼らに負けぬよう、私自身も頑張っていきたいと考えています。
2.自分がそう思うから他人もそう思うとは限らない
今回のステージで感じたことの一つが「価値観は多様」ということです。当たり前のことだし、頭では分かっていることです。しかし、異なる価値観に納得する、という機会は意外に少ないように思います。
今回のやくもまつり、ステージイベントのリハーサル中、そして開始してから1時間後、かなり強めの雨に見舞われました。降雨にも関わらずステージに立って頂いたみなさんには本当に感謝しています。特に、地元系アイドルグループの「だいやぁ☆もんど」の3人が本番のステージに立つ時間は、かなりの雨になりました。雨中にも関わらず、笑顔で元気よく歌って踊ってもらいました。
ステージ係として脇にいた私は、降りてきた3人に、「せっかくなのに(雨で)悪かったね」と声をかけました。すると、「全然大丈夫です!雨の中でライブするのが夢だったんです!」との回答。社交辞令的に「大丈夫です」と言うにしても、「夢でした!」は大げさではないかと思いましたが、後でマネージャーさんに聴くと、雨の中のステージというのもライブをする人たちにとってはいいものなのだそうです。印象に残るというか、拍がつくというか。観客との一体感が出るという効果もあるそうです。なので、「夢でした!」というのも社交辞令などではなく、そういう経験をしてみたかった、という本心だったのでしょう。事実、後日記載された彼女たちのブログにもそのようなことが書いてありました。
まつりの主催者側からみると雨はいやなものです。当然、ステージで歌う人だって雨より晴れている方がいいはずだ、と思うのが普通だと思います。もちろん、毎回雨では困るでしょう。しかし、自分がそう思う(雨の中はいやだろうな)から、他人もそう思っているとは限らない。なるほどそういう価値観もあるのだ、と妙に納得できる経験でした。
3.必要とされることがあらゆることの原動力になる
今回のステージイベントに際し、いわゆる“追っかけ”のファンの方々が10人近く会場に駆けつけており、リハーサルの時間からずっと観覧されていました。“おっかけが居るんだ!”とびっくりしましたが、どうやら、だいやぁ☆もんど、藤本たから、の2組はこの辺りでは結構有名なのだそうです。
私はアイドルやバンドなどのおっかけをしたことはありませんし、そもそもライブやコンサート等にもあまり興味がありません。なので、なぜ「おっかけ」までするのか中々理解できない(というか興味がない)訳ですが、今回、ステージ脇で歌う側と聴く側(盛り上げる側)を見ていて、その理由の一つが分かったような気がしています。
要するに、追っかけの人たちがハイテンションでステージを盛り上げるからこそ、“アイドルのステージ”が成り立つ訳です。ステージの後ろから、盛り上げる人たち越しにみえる一般聴衆の方々をみてふとそのことに気が付き、妙に納得しました。ステージ上のアイドルは単に歌を歌って終わりではなく、会場に呼びかけ、リアクションを求めます。それにまた聴衆が応えることによって、盛り上がり感が作り上げられる。しかし、今回のやくもまつりのように、いわゆる営業廻りのイベントで聴衆全員がいきなり盛り上がるということはありません。むしろ、ほぼ全ての人が一歩引いた感じでステージを見ることになります。その中で、彼らのような存在が居なかったらどうなるか。全く盛り上がりに欠ける“寒い”ステージになることは間違いありません。
はたから見ると一見浮いているように見えるおっかけのみなさんのハイテンションも、実は、ステージを盛り上げ、そのイベント全体に盛り上がり感を出すために非常に重要な要素となっている訳です。そして、彼ら自身もそういう自分達の声援がアイドル達のステージにとって必要だと認識しているから、また次のステージに向けて追っかけていくのだろう、というのが私の理解です。ちなみに、当然ながら彼らは雇われでもサクラでもなく、純粋なファンのようで、イベント終了後は馴染みどおしとして色々な会話をし、写真をとり、次のイベントでの再会を約束し、帰って行かれました。我々スタッフに対しても非常に礼儀正しい、とてもいい方々でした。
「必要とされる」ということは、あらゆることの原動力になるのだな、と感じます。今回のまつりも何かの縁。参加して頂いたグループのみなさんの活躍を応援したいし、また、おっかけのみなさんの頑張りも合わせて応援したいなと感じています。
前回のブログでも記載しましたが、今回、私が関わって5回目にして本格的な雨模様の中の開催となりました。しかし、その結果として多くの学びや気づきがありました。中止しなくてよかったなと本当に思います。やくもまつりにお越し頂いたみなさん、携わって頂いたみなさん、ご支援頂いたみなさん、本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いします。