島根県中小企業家同友会

島根同友会 平成26年度合同入社式~新卒者が加わるからこそ、会社の未来が見えてくる~

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2014年4月4日(金)、島根同友会として初の試みである「合同入社式」が開催されました。島根同友会の会員企業12社の新入社員19名が参加し、合同で“入社式”を実施したものです。島根県商工労働部、島根大学、島根県立大学、からご来賓をお招きし、地域の宝とも言うべき新入社員に対してエールを頂きました。当社からも1名、平成26年度の新入社員が参加しました。また、当社の前年度新入社員には、同友会企業の先輩社員として、後輩へのエールを送る役目を頂きました。迎える側と、迎えられる側、それぞれの立場で社員を参加させたことで、今後への期待を膨らませるとともに、若い社員のこの一年での成長を垣間見る機会ともなりました。今回の合同入社式を経て、新卒採用の意義を改めて感じるとともに、同友会運動が地域にもたらす可能性について、感じたことをまとめてみます。

挨拶する島根同友会 小田代表理事

1.合同で“入社式”を開催することの意義とは

限られた人員で事業を営む中小企業では、一年あたりに入社する社員は限られます。中小企業と一口に言っても規模感はさまざまですが、島根同友会で言えば、数人から数十人規模ぐらいまでが中心です。当社もそうですが、毎年新卒1名を雇用するのも大きな決断であり、同期入社が複数人いる、という状況には中々辿りつけません。

一方、私自身は、学校を出て最初に就職した会社では同期が29名いました。年齢は多少違えど“同期”という括りでまとまれば、会社生活を続ける中でいいライバルとなったり、悩みを相談したりする仲間となります。中小企業の新入社員にも、そういった仲間を創ろう、というのが趣旨の一つです。その流れは、昨年度から実施している新入職員研修でスタートしています。

この“会社・業種が異なる同期”という考え方、大きな可能性を秘めていると感じています。同じ会社の同期であれば、良くも悪くもその会社が持つ価値観を中心に成長していく事になります。それはそれで悪くはない訳ですが、その閉じた世界に留まってしまう可能性も含んでいます。そうではなく、入社した当初から、業種の異なる様々な会社で働く同世代と交流を図っていく。外に出て、自社以外の価値観に触れることを当たり前として育つ。中小企業だからこそ、その効果は大きなものがあると考えています。

そして重要なのは、この同期は、同友会が目指す大きな理念を共有する会社の中の同期だと言う点です。単に異業種が集まっただけでない、同友会という組織が持つ理念や運動に共感している企業であるというメンタリティーが根底にありますし、一定の共通言語もあります。その中で、お互いに成長していく仲間を得る最初のきっかけとなる。そこに合同入社式の意義があると考えています。

集合写真

2.新入社員へのエールから一年の成長と気づきを垣間見る

今回の合同入社式では、昨年度当社に入社した新入社員に対し、入社式に参加する19名の新卒者に対するエールを送る役目を頂きました。この社員も、昨年度の島根同友会新入欲員研修に参加しており、同友会として迎え入れた新入社員の先輩、ということになります。どのような内容のエールを送るのか、すべて当人に任せて当日に臨みましたが、本当に素晴らしいエールを送ってくれました。その内容、大きく二つの話を紹介させて頂きます。

一つは、「社内に対する笑顔の大切さ」という話です。お客さまに対する笑顔はもちろんだけれども、社内の仲間に対する笑顔が大切だ、という話をしてくれました。その趣旨は、新入社員は誰しも自分が職場に対応できるのか、仕事をしっかりこなせるのか等、たくさんの不安を持って入社後の仕事にあたっている。しかし、不安なのは新入社員だけではなく、周りで見守る先輩も、その新入社員がしっかり仕事ができるのか、職場に慣れてくれるのか、不安を持っている。お互いに不安を持つ中でコミュニケーションを取っていくために大きな役割を果たすのが笑顔。多少の不安はあっても笑顔で振舞い、接する。その笑顔が先輩社員に安心感を与え、そのことを通じてお互いのコミュニケーションが図られていく。それが一年目の大きな気づきだと、後輩たちに語ってくれました。

もう一つの話は、「自分を奮い立たせる、頑張っていこう、と言う気持にさせる言葉に出会って欲しい」というものです。誰しも一人の人間です。仕事が上手くいくときもあれば、壁にぶつかる時もある。一方、いい時には調子に乗ってしまうこともあるだろうし、悪い時には必要以上に落ち込むこともある。そんな時、自分自身に対して、勇気づけ、もう一度気持ちを高めてくれる“言葉”が必要だと言う話です。私も、経営者になって以降、自分自身を勇気づけてくれるたくさんの言葉に出会いました。節目節目には、その言葉を思い起こし、自分自身を律し、次に進む気持ちを持つようにしています。そして最後に、その言葉に出会うために、様々な価値観を持った方とたくさん話をして、自分自身ものとして消化して欲しい、とも話してくれました。この多様な価値観との出会い。社員数も少なく、行動範囲も限られがちな中小企業にこそ、大いに必要とされる観点だと大いに同意したところです。

このエールの内容、当日初めて聴いたのですが、入社一年でそんな風に気づき、考えていてくれたのだと思うと、本当にうれしく思いました。私自身の学びとするとともに、参加した新入社員のみなさんのこれからの社会人生活に役立てば幸いです。

新入社員にエールを送る岡崎さん(協和地建C)

3.合同企業説明会、そして共同求人へ

この合同入社式、その次のステップは、この入社式に参加したメンバーによる、新入社員研修へと続きます。島根同友会会員企業における同期として、大いに切磋琢磨し、成長していってもらいたいと思います。

その一方、同友会の組織としての活動は、入社の前の段階、すなわち採用の段階まで同友会として合同で実施するステージへと進んでいきます。島根同友会では、平成26年度に合同企業説明会を企画し、近い将来、「共同求人」へと展開していく計画です。合同の企業説明会は今日では一般的に行われている催しではありますが、定期的に新卒採用を行わない中小企業にとっては敷居が高い印象があるのも確かです。だからこそ、一社では出来ないことを、同友会という組織で実施する。同友会が他の経済団体等と一線を画するところでもあります。新卒を採用するかどうかは一先ず置いておき、まず、自社のこと、地域に存在する中小企業のことを若者に知ってもらうために合同会社説明会に出席する。それが島根同友会及び会員企業の次のステップだと考えています。

というのも、今回の合同入社式、当社も含めて新卒者を参加させたのは12社に過ぎません。既に200社を越える会員を有する島根同友会でも、新卒採用を行っている企業はその程度しかない訳です。地域の雇用は中小企業が支えています。その中小企業が新卒を採用しなければ、地域に雇用の場は広がらないし、地域の活力も高まりません。だからこそ、できるだけ多くの島根の中小企業が新卒採用というステージに立てるよう、そのきっかけを創っていく。それも、同友会としての活動であり、運動であると認識しています。そして、その先にあるのが共同求人。同友会として共同で求人し、採用していく。その実現に向けた第一歩としても、今回の合同入社式を開催した意義は大きいと考えています。

記念撮影(左 H25年度入社岡崎さん 右 H26年度入社長谷川さん)

今回の合同入社式、私自身も当然ながら経営者として初めて参加した訳ですが、子どもの入学式に参加する親のように嬉しくもあり、また今後に向けたプレッシャーもあり、不思議な感覚を経験しました。しかし、今回新卒者の参加が無かった企業の経営者の方も何名か参加して頂きましたが、「自分の会社でも新卒を採りたくなった」という声を聴きました。私も新卒採用を始めて3年が経ちました。新卒者が入るということだけで、会社の将来に向けて希望が膨らみ、“未来がある”という感覚が育まれてきます。それが、新卒採用を実施することの大きな意義でしょう。中小企業だからこそ、新卒の人財を求めていくという取り組みを継続しなければならないのだと、改めて感じたところです。

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