島根県中小企業家同友会

島根同友会松江支部・青年部会合同壮行例会~実践を通じて感じる“変化”こそ決断の源泉~

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2014年8月5日(火)、島根同友会松江支部・青年部会8月合同例会にて、報告をさせて頂きました。これは、2014年9月18日(木)~19日(金)にかけて開催される、「第42回青年経営者全国交流会in奈良」で報告する前の壮行報告会として開催して頂いたものです。全国大会で報告する内容として準備したものを報告させて頂き、今回の例会でのご意見を踏まえ、最終的な報告内容として取りまとめる予定です。先日、プレ報告での気づきをブログにまとめていますが、その後の精査や意見交換を通じて、さらに気がついたことを整理しておきます。

報告直前 吉岡座長による紹介

1.「本当はどう思っているのか」を話すことこそ本当の総括ができる

今回報告、最初のプレ報告に持っていった話とはずいぶん異なったものとなりました。

同友会の学びを通じて会社がどのように変わって来たかを報告するという点では同じですが、最初の話はどちらかと言うと“美しい話”で、教科書的な面が強かったように思います。当初は、同友会の全国大会で報告するのだから、同友会らしい、いい報告をしなければならない、という気持ちがありました。しかし、島根同友会のみなさんとの議論の中で、本当はどう思っているのか、どのような気持ちで経営に取り組んできたのかをもっと率直に話すことこそが、全国大会での問題提起であり、また、そこでたくさんの議論を交わすことこそが、わざわざ参加して頂いたみなさんの為になる。そのような方針のもと、大幅に内容の練り直しを行いました。

人間誰しも、「本音と建前を使い分ける」という機会があると思います。仕事の上でも、近所づきあいでも、家庭生活でも、多かれ少なかれ、ある方が普通ではないでしょうか。経営者の場合も同様で、経営者という役割を持っているからこそ話すこと、行動することがあり、それが、その人の本来の性質であったり、主義主張であったりとは異なる場合もあると思います。だから、建前の部分を前面に出して報告しても、果たして本質的な議論になるのだろうか、参加した方の学びになるのだろうか、という疑問もあります。そのため、今回は、私自身が「本当はどう思っているのか?」ということを報告のテーマに据え、まとめてきました。

その結果、一番学べたのは、私自身でした。自分の本心に問いかけるという時間を持つこと。日頃は中々できないことです。自分の本心と、現在の会社の状況。その間にある経営の実践。それらがどうつながり、現在に至っているのか。結果には必ず原因がある。だから、いい結果を生みだす原因を作りださなければならない、と言われます。いい結果を生みだす原因を作りだせた“きっかけ”は何か、私自身の経営体験の中で、いくつかの答えを見いだせたように感じています。それを全国大会当日に参加者のみなさんに伝え、そこからどのような意見を頂けるのか、しっかりと受け止めて来たいと考えています。

2.経営指針に関する勘違いを振り返る~理念・方向性ははじめの一歩に過ぎない~

今回の報告のまとめを通じ、改めて認識した経営指針に関する私の大きな勘違いがあります。それは、「理念や将来像、方向性をしっかり示せば、給料はあまり上がらなくても社員はついてくる」というものです。なぜそう考えていたのか、理由はいくつかありますが、いずれにしても勘違いであることは間違いありませんし、それを改めて認識する機会にもなりました。

本来行わなくてはならないことは、「会社の理念や将来像をしっかりしめし、社員一人一人の将来展望も明らかにする」といったことでしょう。最初につくった当社の経営指針は、会社としての理念や将来像については一定の姿を示したものの、それが社員一人一人の将来に、また処遇の向上にどうつながるのか、までは示し切れていませんでした。社員が経営指針を自分事として捉えられるかどうか。それは単に給料や賞与だけのことではなく、社員一人一人にどんな将来展望が開けるのか。それを一人一人が想像できるのか、ということでしょう。そこが経営指針の浸透、そして実践にあたって大変重要な事なのではないかと考えています。

同じような事は、経営指針を策定する前に実施した社員へのアンケートでもありました。社員に対して、「何のために仕事をしているか?」「大事にしている価値観」などについて問いかけたのですが、「何のために仕事をしているのか?」という質問に対する回答のほとんどが、「お金のため」「生活ため」というものでした。これに対して、私は、「これではだめだ、もっと社会のため、お客様のため、といった回答が出てくるようにしなければ」、と感じていたのですが、今は、それ自体が思い上がりだったと認識しています。

「生活のため」と社員が回答しているのだから、まずは、その部分をしっかりやることが大事なのに、そこを見つめ直さず、一足飛びに理念とか方針とかを考えていました。生活を安定させ、将来が展望できるような賃金・賞与の水準を確保し、それを担保する仕組みとセットで将来像を語り、そこに向って進めるよう、働きかける。それが、経営指針の策定と実践を通じて経営者の行う仕事のベースにあることだと考えています。

3.自分自身の人生の棚卸し~振り返れば自分も変わって来ている~

今回の報告をまとめるにあたり、自分のこれまでの“人生の棚卸し”のようなことをさせてもらい、気がついたことがあります。それは、現在の自分自身の性格や人間性は、これまで生きてきた環境に大きく影響されており、また、時期と共に変化してきているということです。当たり前のことのように感じますが、常に“今”の自分と向き合う我々は、現時点の性格や人柄が、ずっと昔から続いているように思ってしまいます。しかし、振り返ってみると色々な時期があったなと思い起こされる訳です。

少なし、私自身については、生来の性質というものは変わっていないのかもしれないが、人と人との付き合いにおいて現れる対外的な自分というものは、ずいぶん変わって来ていると感じます。その背景にあるのが、「自信とよりどころ」ではないかと考えています。

小学校から中学校にかけての私は、勉強はそこそこ出来る方でそこには一定の自信がある一方、スポーツが苦手でそこは自信がありませんでした。ところが高校、大学と進むにつれて、学力レベルは相対的に低下して人並み以下に、また部活もしていなくて得意なこともなく取り柄もない、といった環境変化が訪れます。そういったこともあり、高校・大学時代の私は、多くのことに自信がなく、自分を必要以上に低く評価していたように思います。その後、就職を経てまた転機が訪れます。前の職場は私に様々なことを経験する機会を与え、成功体験を通じて自信を持たせてくれました。しかし、一方で過剰な自信は思い上がりにつながり、人を思いやる気持ちに欠ける面が強く出るようになったとも感じています。

そして、ある程度の自信を持って会社を継いだのですが、当然ながら思うように行きません。再度自信を失いかけていたところを救ってくれたのが、同友会であり、経営指針であり、それに基づく実践という訳です。そして、再度私に自信を与えてくれた源泉は、実践を通じて感じる“変化”です。変化を感じることができるから、次の実践を決断できる。その気づきに到達することが出来たことが一番の成果であり、“報告者が一番勉強になる”とは、そういうことではないかと、実感するところです。

例会の様子

今回の例会の最後に、島根同友会青年部会の企画で、例会参加者のみなさんと一緒に壮行式を開催して頂きました。奈良青全交に向けては、応援団として、また、全国の学びへの参加に向け、島根同友会から50名の参加者確保を目標に取り組みを進めて頂いています。たくさんの応援して頂いているみなさんの期待に応えられるよう、また、島根同友会を代表して報告するという意識をしっかり持ち、引き続き準備に取り組み、自分自身にとっても納得のいく報告ができるよう、頑張っていきたいと思います。引き続きのご支援をよろしくお願いします。

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