島根県中小企業家同友会

島根同友会中堅社員研修~社員教育の機会を創り、変わるチャンスを提供し続ける~

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2014年11月21日(金)、島根同友会主催の中堅社員研修が開催されました。昨年の幹部研修に続き、今回は“中堅社員研修”という位置づけで企画されたものです。限られた人財の中で事業営む中小企業では、各社の仕事の中核をなす中堅社員のみなさんがどう活躍するかで、会社の業績が左右されると言っても過言ではありません。今回、講師陣として、(株)Woman’s 代表取締役 宮崎結花さん、はっぴいきゃりあ 代表 越野由美子さん、(有)willさんいん 取締役 金築理恵さん、の3名の講師陣(いずれも同友会会員)を迎えての本格的な研修会となりました。当社からは4名の受講者が参加し、中堅社員としてどうあるべきかを学びました。私も聴講参加していましたので、研修会前後の取り組みも含めて気づきをまとめておきます。

研修全体の様子~グループに分かれてワーク~

1.経営理念について語りあうことの意義~社長の想いは伝わっているのか~

この研修への参加に先立ち、「自社の経営理念についてその背景や趣旨について社長の考えを参加者がヒアリングし、その感想をまとめてくる」という事前課題がありました。これが非常に意義あるものだったと感じています。

この課題に対応するため、当社の参加予定者3名(1名は仕事の都合で不参加)に対し、私の口から改めて当社の経営理念策定の趣旨、策定時の想い、その後(策定後3年が経過しています)の社長自身の総括、について説明する時間を持ちました。そこで改めて感じたのは、経営理念を含めた経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)について、繰り返し語ることの重要性です。今までも経営指針発表会などの場で説明をしてきています。しかし、私の想いや考えは社員にはさほど届いていません。そういうものだと聴いていましたが、やはりそうでした。そして浸透には策定してから10年はかかる、というのが同友会でよく聴く話です。当社も策定から3年目ですので、順当なところかもしれません。

しかし考えるべきは、仮に浸透に平均的に10年かかるとして、そのスピード感で会社は大丈夫なのかということです。そして、「どうせ10年はかかるから」といって浸透のための努力を怠るいい訳にしていないか、ということではないでしょうか。浸透のための努力、それはあらゆる機会で、理念を策定した趣旨と想いを繰り返し説明すること。そして理念に即した経営を実践し、経営の変化として社員に示し続けることでしょう。そう考えた時、説明の一手法として、研修の事前課題等の形態を採って「経営理念」をテーマに社員自身が考えるきっかけを準備することは、とても効果的ではないかと感じます。

今回、少人数で当社の経営理念について説明をした結果、「社長の考えが初めて分かった」という、うれしいコメント(笑)を頂きました。3年前に理念を策定し、毎年経営指針発表会や社内会議等で説明していますが、それでもその程度ものだということです。だから、もっと社長が頑張らなければならない。それに尽きます。理念が浸透しないのは、社員のせいではなく社長の努力不足です。その力不足に気づかせて頂く、貴重な機会だったと考えています。

2.多様な業種の方々と社員が触れ合うことの重要性~機会を創り、提供する~

研修終了後、社内に戻ってから受講者とフォローアップを兼ねた面談の時間を持ちました。そこでは、他社の社員のさまざまな発言が記憶に残っていると口々に聴きました。

業種、職種は違っても、一社会人として「仕事」というものに対してどう向き合うのか、そこには共通したものがあるはずです。研修に参加した各社の中堅社員がどのような姿勢で仕事に取り組み、また自社の経営理念をどう理解して自分のものにしようとしているのか。その話を聴くことで、自社そして、なによりも自分の立ち位置を知ることができます。そして、単なる異業種交流ではく、「中堅社員研修」という位置づけであること、さらには経営理念について学ぶ機会の中で、意見を聴くことに大いに意義があったと考えています。

私に限らず、中小企業の経営者は何らかの形で同業種・異業種を問わず社外の方々と交流する機会がたくさんあり、個々の交流の機会において様々な刺激や気付きを頂くことがあります。しかし、企業で働く一社員においては、取引先やお客さまとの関係は多少なりともありますが、経営者に比べれば限定的であることは間違いありません。製造業の現場で働く方など、業種によっては特に少ない場合もあるでしょう。そんな中でどう学ぶか。それは、やはり経営者が機会を創り、提供していくしかありません。

同友会の研修に限らず、様々な方のさまざまな考え方を聴く機会は大変貴重です。日々の仕事に追われていると、おっくになる場合もあると思います。しかし、その貴重な時間を使うからこそ、何かを感じて、得て帰ってもらわなければならない。そこは事前にきちんと話をしておくべきところだと考えます。そして、自分自身の意見を他人にぶつけてみるという機会も大変貴重です。口に出して話すことで自分自身の考えがまとまる、ということも多々あります。今後は、こういった研修の機会を創出し、社員のみなさんに提供していきたいと考えています。

3.他社の中堅社員は若い~仕事を任せた社員が中堅社員~

今回は「中堅社員」研修でしたが、およそ20名の受講生の面々をみて、“中堅社員”という定義もかなり幅が広いものだと感じました。当社からの受講生はいずれも40代で、バリバリの中堅社員です。しかし、それを「中堅」と思うのも私の固定概念でした。

他社の中堅社員はいずれも若い、というのが率直な感想です。20代でも中堅社員として参加している方がたくさんいらっしゃいました。会社自体が若いということもあるでしょうし、業種によっては年齢構成も異なってくるでしょう。しかし、サービス業では20代で店長として店を任され、自分自身の責任で店舗運営を行っている方もいます。中堅社員というよりも幹部社員と言ってよいでしょう。一方我々の業種では、2~3年である程度の仕事はできるようになっても、やはり10年ぐらいは経験を積まないと一人前とみなされない、という感覚があります。その感覚で、20代の若き中堅社員と接したときに、大きな刺激を受ける訳です。

私は、この研修を傍聴受講していて、中堅社員かどうかは年齢ではなく、どのように仕事を任されているかなのだと実感しました。考えてみれば当たり前のことなのですが、我々の業界の固定概念でとらえた社員の成長スピードと世の中のスピードは異なっている。やっている中身が違うので単純比較してはいけませんが、20代で店長を任された受講生の発言や研修への取り組み姿勢をみるにつけ、「役割が人を育てる」と言いますが、仕事を任せることが、若手社員を中堅社員に飛躍させる大きなポイントだと改めて実感します。そのかじ取りをどう判断するのか、経営者の手腕だということでしょう。

グループでの討議の様子

研修の最後は、受講生それぞれが「行動宣言」を発表して終了しました。経営理念を社内に、そして自分自身のものとするために、まず自分が何をするのか、受講生それぞれの立場で発表しました。当社からの受講者も心強い発表をしてくれました。大風呂敷な宣言は必要ないと思います。何か感じ、行動を起こそうと気付き、実際の変化として現れるところまでつながれば、それだけで成功だったと言えるのではないでしょうか。私も含めて、中々人は変われません。しかし、“どうせ変わらない”と決めつけるのではなく、変わる機会を創り続け、変わるきっかけを提供し続けることが大事ではないかと考えています。

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