松江3S勉強会ではキックオフ大会の後、定例会を2カ月に1回開催しています。第2回定例会、第3回定例会が、それぞれ、2014年9月26日(金)、11月28日(金)に開催されました。会場は参加企業持ち回りで、第2回は(有)オーリーさん、第3回は、㈱プラチナさん、を対象に社内の“ウオッチング”を行いました。一緒に3S活動に取り組む他社の取り組みを見学することで、自分達の立ち位置が理解でき、さらなる取りみの活性化につながると感じます。また、一緒に行う講義では、「整頓」をテーマに前後編に分けて勉強することができました。この2回の定例会を通じた気づきを整理しておきます。
1.5頓が揃って初めて「整頓」
第2回、第3回の講義では、3Sの二つ目のS、「整頓」についての基礎を学びました。
整頓とは、『必要なものを必要なとき誰でもすぐ取り出せるようにすること』と定義づけられます。また、整列と整頓は違うそうで、整列とは単に見栄えを良くすること。一方、整頓とは、ルールに則って常に同じ状態が保たれるようにすること、となります。
この整頓という言葉、日常的にも良く使われます。しかし、一見手法が分かっているようで、実態はあやふやだったりします。なんとなく、一人一人の感覚で整頓をしてしまっている場合があります。そのような状況を是正し、正しい定義に基づいた正しい整頓を実践していくことが、今回の勉強の中心になります。
整頓は、5つの“頓”に分けられます。それは、1)定位置、2)定方向、3)定量、4)表示、5)標識、の5つです。これが全て揃って、はじめて「整頓」と呼ぶことができるということです。簡単にまとめておきます。
一つ目は「定位置」。定位置とは社内の住所。郵便物が間違いなく自宅に届くのは住所が定まっているから。それに対して社内はどうなのか。社内のどの棚のどの位置なのか、住所を定めることからまず始まる、ということです。二つ目は「定方向」。方向も決めておく、ということ。バラバラだと使いにくい。あるものをこの方向に置く、と決めたら必ずそうする。三つ目は「定量」。例えば、備品等をまとめ買いするのではなく、定量になるように管理する、ということ。そのポイントは、誰でも手配できる仕組みを作ること。四つ目は「表示」、五つ目は「標識」。表示はモノに対するもので、標識は場所に対するもの。そして必ず一対を成すことが原則。「表示」は、これが何なのか、誰のモノ、どの部署のモノ、なのか、といったことを含めて表示することです。ハサミに“ハサミ”と表示するのではなく、“○○部”などと表示するという趣旨です。また、「標識」は、そのハサミをどこに置くのかを明記するということ。何の道具なのか、誰の道具なのかの表示があり、その置き場所に標識がある。それが一対を成していることが必要だということです。
5頓全て揃って初めて「整頓」。正しい整頓をしっかりと理解し、今後の社内における整頓に取り組んで行きたいと考えています。
2.(有)オーリー~不要物を徹底して撤去しスペースを生みだす~
第2回のウオッチングで伺った(有)オーリーは、タイヤ販売、買取、交換、預かりなど、タイヤに関することなら何でも対応する専門店です。
私も社有車のタイヤ交換は以前からこちらにお願いしています。かつては、タイヤ専門店だけに、商品在庫、買取分、預かりタイヤなど、大量のタイヤが所狭しと並んでいる、雑多な印象でした。しかし、今回初めて伺った頃と比べると社内の様子はずいぶん変わって来ていると実感しました。
タイヤというのはかなりの重量物ですし、スペースを取る商品です。オーリーの主力業務であるタイヤ交換においては、それを取り扱う動線が適切でなれければ、作業上も相当の無駄が発生してしまいます。仕事が繁忙だからといって、あらゆるところをタイヤの置き場にしてしまえば、一つの仕事をするためにわざわざタイヤを動かす、といった不要な作業が発生します。ウオッチングで来社した際には、その改善にかなり力を入れられたようで、不要物を徹底して撤去してスペースを生みだし、安全通路を確保してタイヤ等のモノを置くスペースと通路とを明確に区分する取り組みが行われていました。
基本的なことのようですが、これを徹底するためには大きな努力が必要です。講義の中でも話がありましたが、整理によって空けたスペースに新しいモノが置かれてしまう、ということがどの会社でも起こるようです。安全通路にしても同様で、「置かない」と決めたら絶対に置かない。そういったルールを守る風土づくりが、やはり肝になってくるようです。
3.㈱プラチナ~営業活動の進捗状況を見える化する~
第3回のウオッチング伺った㈱プラチナは、自動車の販売、整備等、自動車関連全般のサービスを取り扱う企業です。
プラチナは、およそ1年前(2013年2月)に新社屋を建設、移転したばかりで、社内はとても明るく、きれいな状態です。しかし、社屋が新しいことと、3Sが徹底していることとは必ずしも一致しない訳で、現在、備品の管理や事務スペースについて様々な取り組みが行われていました。お客さまと商談したり、待合などに使われるスペースは特にきれいに整えられていました。トイレの表示には「鏡、椅子あります」などと親切な表記があり、女性目線で細やかな気配りのあるところが好感を持てます。
私が興味深くみたのは、事務室内の取り組みです。営業主体の会社らしく、車の販売の営業が現在どの段階にあるのか、例えば、相談している段階、お客さまが検討している段階、結論待ちの段階、など成約までのさまざまな段階に区分し、各案件の状況が一目でわかるように、“見える化”されていました。当社のような公共案件主体の営業とは異なる部分もありますが、それでも、ねらっている案件としてどのようなものがあり、それがどういう段階(検討段階、予算化段階、発注前段階等)なのか、誰が担当しているのか、獲得のための確率をどう上げていくのか、等々の情報を見える化し、社内の営業に係わる要員で共有化するということの重要性を改めて感じました。
営業を主体とする会社では当たり前の仕組みなのかもしれません。しかし、それが当たり前ではない会社にとっては大きなヒントになります。異業種の取り組みにこそ学ぶべき点、気づきがある、ということを良く耳にしますが、それを実感することが出来ました。
松江3S勉強会キックオフの後、計3回の定例会が終了しました。スケジュール的にも半分を過ぎました。後2回の定例会で、この勉強会以前から取り組みを進められている、(有)樋野電機工業、(有)曽田鉄工の2社にお伺いします。先進的に取り組まれている2社の取り組みを現場で見ることにより、今後の当社の推進に際して、さらにいい刺激を頂けるものと考えています。一方、当社内での取り組みも、3Sチームのみなさんの努力により、着々と進展しています。この勉強会が終了する1年後、大きく変化した社内を見渡しながら、さらなる飛躍に向けた意思決定が全員でできるよう、引き続き頑張っていきたいと思います。