温泉めぐり

社長の温泉めぐり39 比田温泉(湯田山荘) 島根県安来市広瀬町

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私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

今回39箇所目は、島根県安来市広瀬町の「比田温泉 湯田山荘」です。訪問日は、2011年10月9日です。比田温泉は、江戸後期の頃から効能の高い湯治湯として知られていた温泉だそうで、幹線道路からはかなり離れた奥まった立地です。しかし、現在の湯田山荘は、ひなびた秘湯的なイメージとはやや異なり、大広間、宿泊設備、お食事処、などを備えた2階建ての立派な施設です。また、湯田山荘の本体とでもいうべき宿泊施設などがある建物と、健康増進施設と名付けられている温泉施設が別棟で同じ敷地に建っており、渡り廊下で結ばれています。健康増進施設には、専用の入り口があり、直接入ることもできました。

湯田山荘の外観

泉質は、含放射能-アルカリ性単純温泉です。源泉温度は27.3℃と低めなため、加温・循環式の温泉となっています。この温泉の特長は、「放射能泉」であることです。成分分析表による、ラドン含有量は9.22M・E/kgです。見慣れない単位で、直感的に多いのか少ないのかも分かりにくいのですが、放射能泉は全国的にみても数が少なく貴重で、含有量も比較的高い数値(全国調べた訳ではないので知っている限りの感覚的印象ですが)を示していると思います。

ところで、今、「放射能」という言葉にはみなさん敏感で、大変恐ろしい印象を受けますが、温泉中に含有される放射能=ラドンは、自然界に存在するもので、人体に悪影響を与えるものではありません。常温で気体化し、温泉の湧出後は空気中に飛散します。呼吸や飲泉などによって体内に吸収されますが、短時間で体外に排出されます。体内で神経の鎮静に作用し、神経痛、リウマチ、など神経痛の痛みを和らげる効果があるとされています。また、放射能泉は、入浴の適応症に「痛風」が含まれている唯一の泉質で、非常に効能の幅が広いとされます。しかし、前述のとおり温泉中の放射能はすぐに空気中に飛散しますので、温泉の鮮度が重要になります。この点、比田温泉は、加温・循環式を採用しているため、表記の含有率ほどの効果が期待できるとは限らないという点は頭に入れておく必要があります。

風呂場内部は、施設外観と同様に思いのほか近代的なイメージで、ひなびた湯治場のイメージとは少し趣が異なっていました。しかし、天井が高く、中庭を見渡せる大型のガラスが室内を明るく、開放感あるものにしており、清潔感があります。浴槽は、L型にレイアウトされており、ジェットバスや寝湯などに細かく区切られています。成分濃度が高い温泉では泡を出したりする設備は採用しにくい(温泉成分で設備が痛む)ですが、この温泉はアルカリ性単純泉で成分的には薄いことから、こういった設備が採用できるのでしょう。また、コンパクトながら、サウナ、水風呂(かなり小さくてかわいい)、打たせ湯、ボディシャワーと名付けられた全身にシャワーをかけることのできる設備がありました。なお、内湯のみとなっており、露天風呂はありません。

浴室内部(誰もいなかったので撮影)

洗い場は5箇所あり、仕切りなどは無いタイプですが、一つずつ鏡がついています。間隔も適度に空いており、使いやすい印象です。ボディソープとリンスインシャンプーがありました。脱衣場も比較的広く確保されており、ロッカーは45番まで番号がありました。ロッカーの大きさはやや小さめで、上着などを掛けることはできないタイプです。洗面は2箇所のみ。ドライヤーはそれぞれについていました。また、休憩室を兼ねたロビーがかなり広々としているのも特徴だと思います。

この施設は、入浴料が大人500円です。入浴券は券売機で購入し、入口付近にいる受付の方に手渡す仕組みです。同じ安来市広瀬町内にある広瀬温泉(月山の湯)は、大人300円であることを考えると、やや割高な気もしますが、午後6時以降は半額になるようで、地元の方が夕刻に風呂代わりに使うのによさそうです。

健康増進施設内部のロビー

健康増進施設は、その名のとおり、地元の公衆浴場的な位置付けで、地元地域の会合や宴席などでも活用されている様子が伺えました。その一方、歴史ある湯治湯として遠方からの宿泊客も受け入れられるよう、多様な使い方ができる施設として整備されているようです。また、あまりPRはされていないようですが、湯田山荘の入り口横に源泉を汲めるスペースがあり、帰るときに源泉を汲みに来られている方がいらっしゃいました。

私が訪れたのは、3連休の中日の昼時でしたが、お食事処では複数グループが食事をされており、私たちのように地元以外から温泉入浴に訪れたと思われる方々で賑わっていました。ここのお食事処、以外に(といっては失礼ですが)、美味しかったです。聞くと、最近調理場の設備が新しくなったそうで、そのことも併せて、地元の食材を上手く使った料理が施設の特長の一つとなっているかもしれません。

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