私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。
今回11箇所目は、島根県川本町の「ゆだに温泉」です。この温泉は、協和地建コンサルタントが、平成7年度に調査、平成8年度に掘削工事をさせて頂いた温泉です。訪問日は、2010年2月4日です。
ゆだに温泉は、いわゆる「冷泉」と呼ばれる温度の低い温泉で、源泉は16.1℃です。しかし、その成分が非常に特徴的です。泉質名称は「含二酸化炭素・鉄-ナトリウム-塩化物強塩冷鉱泉」と長いのですが、特に炭酸ガスの含有量が全国屈指のレベルにあります。
にわか勉強ですが、炭酸ガスを多く含む温泉は、入浴すると炭酸成分が皮膚から吸収されて血管が拡張され、血流がよくなることで、血行不良の改善や保温効果を高めるとされています。さらには、血流が筋肉に蓄積した乳酸の排出を促進し、肩こりや腰痛などの改善や疲労回復効果が高いということです。
ゆだに温泉のホームページにも、「入浴後の体の温まり具合が違います」とありますが、実際、これは本当のことです。入浴後すぐはあまり感じなかったのですが、川本町から松江市まで3時間弱、車を運転して帰る途中、だんだんと効果が出てきたのか車中が暑くてたまりませんでした。冬場は最高です。が、夏場は果たして...という気がするぐらい、この温まり方はすごいです。
風呂場の方は、浴場の天井が高く、高い位置に配置された大きな窓から入る明かりが開放感の高い空間を演出しています。浴槽の大きさは小ぶりですが、一部がジェットバスのようになっています。通常の浴槽に加えて、薬湯、低温湯、水風呂、があります。サウナも併設されています。ちなみに、炭酸泉はあまり温度を高くするとガスが抜けて効果が出にくくなるそうで、大浴槽も温度がやや低め(表示では41℃)です。低温湯や水風呂があるのも、炭酸泉の効果をより発揮させるための配慮だと思います。なお、当日は雪がちらつく天候で、さすがに水風呂は入る勇気が出ませんでした。
洗い場は5箇所ありました。それとは別にシャワー専用のスペースが2箇所あります。洗い場は仕切りがしっかりついたタイプで隣の人を気にせず体を洗うことができます。ボディーシャンプー、リンスインシャンプー、石鹸が備え付けてありました。
脱衣場の洗面台は3箇所、いずれもドライヤーが備え付けてあります。ロッカーは鍵付きですが、一部鍵が壊れているものもありましたが、たくさんあるので問題なさそうです。ちなみに、洗面台は3つ、浴室の洗い場は5つ、に対して、ロッカーは30ありました。なんとなくアンバランスな気もしますが、そんなものなのかもしれません。
ゆだに温泉の施設、弥山荘には、お食事処やお土産物コーナーなどがあり(宿泊はありません)、地域の交流センターとしての位置づけも有しているようです。施設は、川本町の湯谷地区というところにありますが、かなり山あい深く入ったところで、車が離合できないところもある道を進んでいくとたどり着きます。ちなみに、ドコモの携帯は圏外でした。
当日、ここで昼食をとったのですが、平日の昼間だったにもかかわらず、一般のお客さんに加え、団体のお客さんが2組(いずれも10名以上)食事をされていました。ちょっと驚きだったのですが、隣で食事をしていた地元のおばさんに聞いたところ、どうやら日頃からかなりにぎわっているようです。広島まで1時間半ぐらいの距離なので、結構県外からの来訪者も多いとの話でした。
「世界遺産石見銀山に一番近い温泉」がアピールポイントです。銀山とセットで訪れて頂くのもいいと思います。
しかし、石見銀山に一番近いのは温泉津温泉ではないかと思うのですが、温泉津温泉はそもそも世界遺産の区域の一部なので除外しているのかもしれません。それはともかく、全国有数、島根県内ではもちろんここしかない高炭酸泉の“ゆだに温泉”。体の温まり方は半端ではありません。しかも、当社、協和地建コンサルタントの開発です。是非一度ご利用下さい。