私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。
今回12箇所目は、島根県出雲市平田町の「割烹温泉ゆらり」です。この温泉は、山陰地域では珍しい、地元民間資本により開発された複合型温泉入浴施設です。訪問日は、2010年2月7日です。
割烹温泉ゆらりは、「中国地方最大級の天然温泉100%源泉 掛け流しの日帰り温泉施設」というキャッチコピーでPRされており、温泉だけでなく、レストランや宴会場、土産物販売など、温泉とセットの日帰り行楽などをターゲットにした施設となっています。個人・家族連れだけでなく、団体利用もできる大型施設です。
温泉の泉質は、“アルカリ性単純泉”で含有成分自体には特徴的なものはありません。しかし、ph9.0とアルカリ度が高いので、湯船に浸かるとすぐに体にぬめり感がでてきます。温泉らしさを味わうことができる泉質です。源泉は地下1400メートルから毎分620リットル以上が湧出しているようで、これを大型浴槽のかけ流しでという贅沢な使い方をされています。これも施設の大きな売りとなっています。
お風呂は、“中国地方最大級”というだけあって、大型の内湯に加えて、さらに広いの露天風呂があります。さらに、サウナや窯蒸風呂など、多様な構成となっています。露天風呂には、1人用(+子供1人)で入れる大きさの檜風呂が3つ設置されており(当日1つは調整中で使用不可でした)、これがゆっくりできてよかってです。サウナは室内でしたが、窯蒸風呂は露天風呂の脇にあるなど、配置も変わっていました。
内湯は天井が高く、広々とした開放的な空間となっています。壁や天井が板張りとなっているので木の柔らかい雰囲気が癒し感を高めています。当日は日曜日で結構な人出でしたが、長方形の広々とした浴槽は、利用者が多くても回りを気にせずゆっくりお湯に浸かることができました。
洗い場は、大型の入浴施設らしく22箇所ありました。うち18箇所は隣との仕切りがしっかりついたタイプです。それとは別にシャワー専用のスペースが2箇所ありました。ボディーシャンプー、リンスインシャンプー、が備え付けてあります。
脱衣場の洗面台は浴室入口に2箇所、ドライヤーと一緒に3箇所ありました。髪を乾かすスペースには洗面台が3つだけあり、それ以外は単なるカウンターになっています。スペース的には洗面台5箇所分ぐらいありますが、備え付けられていません。考えてみれば、ドライヤーと洗面台が必ずセットで必要な訳ではなく、合理的な考え方と言えます。公共の施設であれば全て洗面台をセットするのでしょうが、民間施設のコスト削減策の一つということでしょうか。感心しました。ロッカーは全て鍵付きですが、100円を入れて、使用後に返却されるタイプです。
入浴料ですが、土日は700円、平日は600円となっており、一見やや高めです。しかし、会員(入会手数料100円)になると更に100円引きなので、平日は大人500円で入れる計算です。松江・出雲地区の温泉施設は高いところでも500円なので、そういった施設とも競合可能な価格設定というところでしょうか。
この施設は、単なる公衆浴場ではなく、様々な楽しみ方ができる複合施設です。レストランは、バイキングスタイルの施設と居酒屋の2店舗あり、夜間も利用できます。温泉も22時(最終入館21:30)まで利用できるので、夕食とセットで入浴という楽しみ方も可能になっています。また、この辺りでは珍しい、本格的なリラクゼーション施設(リンパマッサージやリフレクソロジーといったやつ)もありました。
ゆらりのあるエリアは、隣接する物販施設「旬鮮市場 思ひ出横丁 ぶらり」やその他施設からなる“シェルピア中ノ島”(呼び名はホームページで調べて初めて知りましたが)と呼ばれるアミューズメントエリアとなっています。“温泉だけでなく、物販など様々な施設が集まっているので、他の施設も回ってみました。あくまで訪れた当日の印象ですが、“割烹温泉ゆらり”が盛況だったのに対し、“思ひ出横丁ぶらり”はやや元気のない印象でした。オープン当初の様子は分かりませんが、この地域での商売の難しさという一面も見た気がします。しかし、地元民間資本で運営されるこういったレクリエーション施設は貴重な存在だと思います。温泉事業に関与する者として、今後とも是非頑張って頂きたいし、今後の新しい事業の展開を学ばせて頂きたいと感じました。