2012年7月10日、島根県中小企業家同友会松江支部7月例会にて、報告者として発表させて頂く機会を頂きました。経営者になって3年と3カ月、同友会に入会してまだ2年にも満たない私に、こういった機会を与えて頂き、大変感謝しております。
報告テーマは、『経営指針で未来を掴む!3代目社長が挑んだ経営革新の軌跡~存在価値の明確化と仕組みづくりで新しいステージへ~』と、大そうな表題となりました。というのも、今回、支部の方で私を報告者に選んで頂いた経緯として、「後継経営者」で「経営指針策定している」ということだった聞きましたので、そのことが伝わるようなテーマを設定させてい頂きました。そして内容は、経営指針を策定するまでの経緯と私なりのポイント、そして後継経営者として同友会をはじめとした経営の学びの場をどう捉えるのか、といった観点で、わずかな経験ではありますが、私なりにやってきたことや感じたことを報告させて頂きました。話したいことは、ある程度伝えられたと思います。今回頂いた貴重な機会。報告に向けた準備、そして実際に報告を体験してみて、どうだったのか、について整理しておきます。
1.短期間で振り返ることの意義~ブログで気づく想いや気持ちの変遷~
私は経営者になってわずか3年ほどでこういった機会を頂きましたので、経営体験も3年と3カ月。しかし、3年しかないからこそ、記憶や記録が新鮮なうちに振り返りを行い、それぞれの1年がどういった年だったのかを自分なりに整理することが出来たのは有意義でした。1年1年をより詳細に振り返る。数値的な事はともかく、当時の自分の気持ち、心のありよう、といったことは、時間が経てば記憶が薄れます。自分自身の記憶もある程度鮮明なうちに振り返りを行い、総括する。本来、自主的に実施しておけばいいことですが、こういった機会をきっかけにできるというのは、大変ありがたいことでした。
もう一つ再認識したことがあります。このブログです。ブログの記事は、最近は同友会活動など、学びの場について記載することも多くなっていますが、節目では自分の気持ちや、今後に向けた決意表明などを記載してきました。それを振り返ると、「ああ、当時はこんなことを思っていたんだ」と、昔の日記を見るように(日記は書いたことありませんが…)、思い起こされ、その時の気持ち・考えと現在との対比を行うことで、自分自身がどのように変わったのか、また成長した部分と足りない部分の明確化など、多くのことを認識することが出来ました。
ブログの週1回更新も3年近く続けてきました。正直プレッシャーだった時もありましたが、「継続は力なり」でした。タイムリーに発信することだけでなく、振り返りにも役に立つと気づかせて頂いたので、今後は、経営の総括やその時々の自分自身の考えなどもまとめるツールとして使っていきたいと考えています。
2.経営指針の策定と実践~実践は現場でみてこそ意味がある~
当社は、昨年度末に創業以来初となる経営指針(経営理念、経営方針、経営計画)を策定し、社内外に公表しました。今年度は、経営指針の実践元年となります。当社における経営指針に基づいた経営はまだ緒についたばかりですが、その一端を紹介させて頂くことで、諸先輩方からさまざまなご意見を頂く機会となるし、これから経営指針を策定しようとされている方、これから実践に移そうとされている方などに、少しでも参考になればと考えています。そして思いがけないこととして、今回の発表を受けて、島根同友会内の「経営指針研究会」から、ぜひ当社に来社して実際の現場を見ながら、経営指針について勉強する場を持ちたい、と声をかけて頂きました。大変ありがたいお話です。
社外の方、しかも経営者のみなさんに自社に来て頂き社内を見てもらう。社長になって1年目、2年目はとてもそのような気持にはなりませんでしたが、現在は、むしろ“見に来て頂きたい”という気持ちがあります。社外の方に会社を見て頂く。もちろん勇気が要ります。しかしそう考えるようになったのは、島根経営品質研究会のベンチマーキングで、やはり当社を訪れて意見交換し、さらに職員との意見交換などの取組みを実施し、そのことが、当社にとっても大変気づきになったという実感があるからです。
「現場を見る」ということ。仕事でも学びでも、それは一つの基本であり、現場に行ってこそ学べるものがたくさんあると考えています。さして実践が徹底している訳ではないですが、ぜひ色々な方に会社に来て頂き、率直なご意見を頂くとともに、私も色々な会社にお伺いして、各社なりの“実践ぶり”を学びたいと考えています。
3.後継経営者と創業者との対比から見えるもの~後継経営者こそ学びの場へ~
今回の報告では、経営指針とその実践に関する内容に加えて、「後継経営者」と言う切り口でお話をさせて頂きました。私も後継経営者ですが、同友会をはじめとする経営者の学びの場に参加するようになって感じるのは、創業経営者の方との違いです。
創業経営者の方と接する時、事業目的の明確さ、仕事に対する本気度、取組み姿勢、などあらゆる面で自分が劣っていることを痛感します。後継経営者の全てがそうではないでしょうが、息子なので「継ぐのが当たり前」であったり、「行きがかり上」という経緯があったり、人それぞれ事情は様々でしょうが、“これをやりたい!”と強く思って創業し、事業運営している方と、仕方なく・・・とまではいかなくても、当たり前に思って継承して事業運営している人とが同じ土俵で勝負したら恐らく勝負になりません。後継経営者は、先代や以前からの社員さんがつくり上げて下さった基礎があるからこそ事業運営出来ているはずなのに、それを忘れてしまいがちではないかと感じます。私だけかもしれませんが、経営指針策定の経緯の中で、そのような感覚が強くなってきました。
だから、後継経営者こそ、同友会をはじめとした経営の学びの場に出向う、と訴えました。経営のための手段、手法を学ぶということだけでなく、自らを律し、経営者、ひいては人間としての資質を高めるための努力を怠らないようにする必要があると感じます。同友会に入らずとも自分自身で出来る方もいるでしょう。しかし、誰しも弱い面があります。めんどくさい、あしたにしよう、またいつか、そういう気持ちと葛藤するときあるでしょう。それに打ち勝つための刺激を与えてくれるのが同友会であり、経営の学びの場です。同世代や、自分よりもっと若い経営者が努力して、変化し続けているのを目の当たりにできる場です。そのことが、後継経営者(特に継承して日が浅い方)にとって最も意義深いものではないかと、今回改めて感じたところです。
報告を終えて後日、例会に参加して頂いた、たくさんの感想、学びのポイント、メッセージを頂きました。一つ一つ読ませて頂きました。気持ちを新たに経営に取り組もう、もっと努力しなければ、もっとできる、と自分自身を奮い立たせて頂けるものでした。これを頂けるのが報告者となる楽しみの一つだと感じます。本当に感謝しております。そして、このメッセージは、私の報告を聴いてどのように感じて頂けたのか、どういった部分がみなさんに響いたのか、それを伺い知る貴重な資料でもあります。ご指摘・ご意見頂いた個々の内容を当社の経営に反映させて頂き、経営指針に掲げた理念を具現化し、目指す将来像を達成する、よい会社・強い会社をめざして邁進していきます。今回は、本当にありがとうございました。