私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。
今回36箇所目は、広島市佐伯区の「塩屋天然温泉 ほの湯 楽々園」です。訪問日は、2011年8月17日です。広島市南区にある「天然温泉 ほの湯」の2号店として、2011年2月10日にオープンしたばかりの施設です。
この施設は、温泉施設ではありますが、正確には「温泉浴槽付スーパー銭湯」という趣向の施設で、一部の浴槽でのみ地下からくみ上げた温泉水が使われています。1号店である天然温泉ほの湯(以下、「1号店」といいます。)と同じコンセプトの施設となっています。しかし、2号店であるということと、敷地の広さなどもあいまって、施設としては1号店に比べて改善・改良されたところが色々と見受けられます。
泉質ですが、「弱放射能‐ナトリウム・カルシウム‐塩化物強塩温泉」、成分総計は26.24g/kgとかなりの高濃度の温泉です。特に、塩化物イオンの濃度は14700mg/kgと突出しており、源泉を口に含むとかなりの塩味がします。入浴後はすぐに、肌がすべすべしてくる感覚が得られます。これは、強い塩の成分が肌の成分と結びつくことによる被膜形成効果(塩のパック効果)によるものと考えられます。なお、この泉源は深度1100mから汲み上げ、毎分400リットル、泉温29.0℃との表示がありました。中々の井戸性能です。
しかし、この泉質を体感できるのは、露天風呂のコーナーにある「源泉風呂」「岩風呂」の2つだけです。源泉かけ流しで、源泉風呂がやや熱めに設定してあり、そこからの越流が岩風呂に注ぎ込む形となっています。
源泉風呂、岩風呂以外の風呂は全て水道水ですが、1号店と同様、多彩な風呂があります。内湯には、腰掛湯、ジェットバス、バイブラバス(泡ぶろ)、さらに、1号店にはいわゆる大浴槽的なものが無かったのですが、こちらには備わっています。これは改良点だと思います。さらに、外湯(露天風呂)には、シルクインと呼ばれる微粒気泡の風呂、うたたね湯、炭酸ガスを溶かした炭酸風呂、石壺湯、などがあります。これらはほぼ、1号店と同じスタイルです。系列店だからそうなのかもしれませんが、もう少しこの施設なりの特性のようなものが打ち出されてもいいような気もします。
洗い場は28箇所、仕切付きが8箇所、それ以外の20箇所は仕切り無しとなっていました。ボディソープ、シャンプー、コンディショナーが備わっています。洗い場のうち、仕切り無しの洗い場は隣との間隔がやや狭めでした。
化粧台には8つ椅子があり、ドライヤーは6個備えつけてありました。水道が付いているのは2箇所のみで、あとはカウンターだけとなっています。ロッカーは260まで番号がありました。上着などを掛けられる大型のものと標準のものとがありました。
施設の利用料金は大人800円です。少し割高な印象もありますが、1号店は、750円で再入湯できないシステムだったのが、こちらは何度でも入湯可能となりました。ここも改善された点でしょう。また、施設内の支払いについてはキャッシュレス方式が採用されており、入場受付時に渡されるバーコード付腕輪で処理し、最後に一括して支払うことになります。この方式も楽で良い半面、色々なメニューがあるので財布の中身と相談しながら使う・使わないを決めないと、帰るときに思わぬ出費でびっくりするということになりはしないかと、余計な心配をしてしまいます。
この施設は温泉・風呂だけでなく、多様なサービスを取りそろえていますが、その一つに、「チムジルバン汗蒸洞(はんじゅんどう)」と呼ばれる韓国式低温サウナがあります。このゾーンは入浴料800円に加えてさらに別料金が必要となりますが、自然石や岩塩などを使用した低温サウナを楽しめるようです。その他、食事処、マッサージ、アカスリ、など、多様なサービスが準備されています。さらに、施設中央部には中庭が設けられており、季節が良ければ中庭で一時涼んでまた入浴、といった使い方もできそうです。
今回訪れたのは日曜日の午前中で、なおかつ大変暑かったこともあり、さして来場者もいないのではと思っていましたが、意外に賑わっていました。また、広島都心部からはやや離れていますが、その反面200台分の平面駐車場を備えており、車の置き場の心配をしなくてもいいのもプラスだと思います。まだ新しいということもありますが、館内は清潔感があり、またスタッフの方の挨拶も大変しっかり教育されており、心地よく過ごすことができました。値段は少し高めですが、島根に住む我々としても広島に出かけた帰りに立ち寄って疲れを癒して帰るという使い方もアリではないでしょうか。