2011
07.28

島根県が主催する平成23年度「人財塾」に参加しています。このたび第3回目が2011年7月21日~22日にかけて開催され、静岡県中小企業経営革新フォーラムへの参加と関東地区における企業視察を行いました。(第1回第2回の様子はこちら)

なお、わざわざ静岡のセミナーに参加するのは、この人財塾がお世話になっている「日本で一番大切にしたい会社」の著者、坂本光司教授が在席されている法政大学大学院キャンパスが静岡にあり、その関連セミナーが静岡で開催されるからです。坂本教授が静岡出身で、教鞭をとるキャンパスが静岡にあるというのも初めて知りました。

講演するライブレボリューション増永社長

このフォーラムではいくつかの講演がありましたが、その中でも株式会社ライブレボリューション 代表取締役社長 増永寛之氏による講演「なぜ社員数50名の中小企業に44,000人の入社希望者が殺到するのか」では大変興味深いお話を聞くことが出来ました。同社は2000年に創業、現在ではモバイル広告代理店事業を核に急成長しているそうです。2010年度の新卒採用において会社説明会などへのエントリー総数が44,000人に達するという驚きの会社です。今回、なぜ、そこまで学生に支持されるのかの一端を伺うことができました。話が凄過ぎてまとめきれませんが、その一部を整理してみます。

1.「LR HEART」と求める人材像

ライブドアレボシューション(以下、「LR社」と言います。)には、「LR HEART」と呼ばれる、ビジョン・理念・価値観等を記したカードがあります。いわゆる「クレド」と呼ばれるもの(リッツカールトンなどが有名)です。これを作成され、“価値観合わせ”を重視される企業が増えているそうです。後述の採用の話と関連しますが、LR社は、このLR HEARTをホームページで全て公表されている点が特徴的だと思います。学生はこれらの情報を得て認識した上で応募し、会社側はその理念にあった人を採る。さらに言えば、理念にあった人かどうかを見抜くことが大事だというお話でした。

そして、同社が求める人材像は、言うまでも無く、「LR HEARTに共感できる人」ということだそうです。既に、LR HEARTらしく生きている人を採る。増永社長の言葉を借りれば、結果につながる能力のある人、結論ファースト、チームプレー、勉強好き、変化に対応できる、といった特性、さらに「優れた人格」を有していることが前提で、競争より協働、笑顔いっぱい、整理整頓出来る人、怒りっぽくない人、など、確かにそんな人たちだけで構成された職場は素晴らしそうです。理想めいてはいますが、そこまで人を選べる(応募があることが前提)企業に成長している点がまず凄く、また、なによりもそれを徹底してやりきっている経営者としての誠実さ、まじめさに感銘しますし、自分自身襟を正さねばと感じさせて頂けるお話でした。

2.シックス・メンバーズ・バリエーション~自分たちの給料は自分で決める~

LR社には独自の構築された様々な仕組みがあるそうですが、その1つに、評価及び給与決定の仕組みとして、「シックスメンバーズバリエーション」という制度があります。今回、少し時間を割いて話を聞くことができました。これは、WEB上で行う人事評価の仕組みで、役職・年次関係ない6人が1人を評価するというものだそうです。前述のLR HAERTに書いてある72の項目、そしてパフォーマンスを15段階で評価し、自動的にその結果が集計され評価に反映されるとものだそうです。

人の評価というものは中々大変ですし、私も悩みます。それを自動的に実施できるようにすることで、そのコストを下げることに成功し、評価が大変楽になったそうです。「自分たちの給料は自分で決める」というスタンスだそうですが、普通に考えてもそんなうまい話が、という気になりますが、人の評価にかかるコストを削減しようと発想(普通は手間をかけるべき・手間がかかるものと納得する)し、それを合理的・納得性を持った仕組みで実現させ、さらに、上手く運営させているという点が本当に素晴らしいです。一点注意すべきは、人格的に優れ、かつハイパフォーマンスの人を採用していないと出来ない仕組みだとも言え(そうおっしゃってました)、当然ながら他の企業にあてはめて直ぐに出来るものではないでしょう。お互いを認め合った人間性・人格的にも優れた人達だから実現できるもので、そもそも、そういった人達の集まりを構築していることの凄さを改めて感じます。

3.新卒採用にかける時間と情熱

本講演の終盤、増永社長から、「一般の企業は採用にかける時間、情熱が足りないのではないか」というコメントがありました。製造業であれば製品の品質、欠陥などについては大変注意を払っているが、人材の質、人材の欠陥といったことに目を配っているのかという指摘です。企業にとって人材が重要なのは言うまでも無く、採用を軽視している企業は少ないとは思います。しかし、最初から自社にあう優れた人材を採用し、価値観を共有し合った仲間で仕事をすることでお互いに成長し、企業も成長する、といった前提に立って採用を考えているかと言えば、特に中小企業ではそれレベルには達していないところも多いと思います。

LR社では、メンバーの質=会社の質、と捉え、さらに「採用できたメンバーの人数や成長に合わせた経営をする」というお話でした。また、”何をやるかよりも誰とやるか”、ともおっしゃられています。LR社も創業時と現在では事業内容は異なってきており、時代に合わせて事業内容が変化していく場合も、一緒に仕事をしたいと思える仲間と一緒であれば、その仲間と新しい道を切り開いて行くことが出来るということかなと感じました。現在、LR社は中途採用を実施されていません。その徹底ぶりが効果を高めるのでしょう。しかし、一方で、採用時の選定もさることながら、採用してからの教育で良い人材を育てていくという考え方もあります。それで成功されている会社もある訳ですから、どちらが正しいということではないでしょうが、自社の経営において「採用」をどのように捉えるのか、考えさせられる機会を与えてもらったと感じます。

このように独自の企業文化や社内制度を持つLR社ですが、その構築にあたっては様々な失敗を経ているようで、急激な成長期に大量の中途採用者が大量退職したり、成果主義・目標管理制度を導入したが上手くいなかったり、失敗や試行錯誤を重ねていらっしゃるようです。多くを語られはしませんでしたが、失敗を真摯に反省し、LR HEARTに記される経営の軸足に常に立ち戻り、徹底した努力を積み重ねてこられたからこそ、現在の成功、さらには明るい未来も見えているのではないかと感じました。前述のとおりLR HEARTは全てホームページ上に公表されており、私も是非参考にさせて頂きたいと考えています。なお、ライブドアレボリューションの経営について増永社長が書かれた「宇宙一愛される経営」(2007総合法令出版)は、なんと同社ホームページ上から全文PDFが無料でダウンロードできます。なんとも太っ腹で頭が下がりますが、これも合理的な考え方に基づいているようです。私は注文して購入することにしました。

冒頭挨拶・講演する坂本光司教授

このほか、初日のセミナーでは、坂本光司先生の講演「この1年で新たに見出した驚嘆する10社」、株式会社加賀屋 代表取締役会長 小田禎彦氏による講演「なぜこの旅館は31年連続全国の旅人からNO1の高い支持を得ているのか」、主催者であるアタックスグループ 代表パートナー 西浦道明氏による「第1回日本で一番大切にしたい会社大賞 応募企業・受賞企業のEC・CS経営の極意」といった内容で、多岐にわたる示唆を得ることができました。今回得られた示唆から、当社に何が出来るのかを考え、実践に移して行きたいと考えています。2日目の企業見学については、機会があれば記したいと思います。

2011
07.20

社長の温泉めぐり36 塩屋天然温泉 ほの湯 広島市佐伯区楽々園

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

今回36箇所目は、広島市佐伯区の「塩屋天然温泉 ほの湯 楽々園」です。訪問日は、2011年8月17日です。広島市南区にある「天然温泉 ほの湯」の2号店として、2011年2月10日にオープンしたばかりの施設です。

この施設は、温泉施設ではありますが、正確には「温泉浴槽付スーパー銭湯」という趣向の施設で、一部の浴槽でのみ地下からくみ上げた温泉水が使われています。1号店である天然温泉ほの湯(以下、「1号店」といいます。)と同じコンセプトの施設となっています。しかし、2号店であるということと、敷地の広さなどもあいまって、施設としては1号店に比べて改善・改良されたところが色々と見受けられます。

塩屋天然温泉ほの湯 外観

泉質ですが、「弱放射能‐ナトリウム・カルシウム‐塩化物強塩温泉」、成分総計は26.24g/kgとかなりの高濃度の温泉です。特に、塩化物イオンの濃度は14700mg/kgと突出しており、源泉を口に含むとかなりの塩味がします。入浴後はすぐに、肌がすべすべしてくる感覚が得られます。これは、強い塩の成分が肌の成分と結びつくことによる被膜形成効果(塩のパック効果)によるものと考えられます。なお、この泉源は深度1100mから汲み上げ、毎分400リットル、泉温29.0℃との表示がありました。中々の井戸性能です。

しかし、この泉質を体感できるのは、露天風呂のコーナーにある「源泉風呂」「岩風呂」の2つだけです。源泉かけ流しで、源泉風呂がやや熱めに設定してあり、そこからの越流が岩風呂に注ぎ込む形となっています。

源泉風呂、岩風呂以外の風呂は全て水道水ですが、1号店と同様、多彩な風呂があります。内湯には、腰掛湯、ジェットバス、バイブラバス(泡ぶろ)、さらに、1号店にはいわゆる大浴槽的なものが無かったのですが、こちらには備わっています。これは改良点だと思います。さらに、外湯(露天風呂)には、シルクインと呼ばれる微粒気泡の風呂、うたたね湯、炭酸ガスを溶かした炭酸風呂、石壺湯、などがあります。これらはほぼ、1号店と同じスタイルです。系列店だからそうなのかもしれませんが、もう少しこの施設なりの特性のようなものが打ち出されてもいいような気もします。

洗い場は28箇所、仕切付きが8箇所、それ以外の20箇所は仕切り無しとなっていました。ボディソープ、シャンプー、コンディショナーが備わっています。洗い場のうち、仕切り無しの洗い場は隣との間隔がやや狭めでした。

化粧台には8つ椅子があり、ドライヤーは6個備えつけてありました。水道が付いているのは2箇所のみで、あとはカウンターだけとなっています。ロッカーは260まで番号がありました。上着などを掛けられる大型のものと標準のものとがありました。

広々としたロビー

施設の利用料金は大人800円です。少し割高な印象もありますが、1号店は、750円で再入湯できないシステムだったのが、こちらは何度でも入湯可能となりました。ここも改善された点でしょう。また、施設内の支払いについてはキャッシュレス方式が採用されており、入場受付時に渡されるバーコード付腕輪で処理し、最後に一括して支払うことになります。この方式も楽で良い半面、色々なメニューがあるので財布の中身と相談しながら使う・使わないを決めないと、帰るときに思わぬ出費でびっくりするということになりはしないかと、余計な心配をしてしまいます。

この施設は温泉・風呂だけでなく、多様なサービスを取りそろえていますが、その一つに、「チムジルバン汗蒸洞(はんじゅんどう)」と呼ばれる韓国式低温サウナがあります。このゾーンは入浴料800円に加えてさらに別料金が必要となりますが、自然石や岩塩などを使用した低温サウナを楽しめるようです。その他、食事処、マッサージ、アカスリ、など、多様なサービスが準備されています。さらに、施設中央部には中庭が設けられており、季節が良ければ中庭で一時涼んでまた入浴、といった使い方もできそうです。

施設中央部の中庭

今回訪れたのは日曜日の午前中で、なおかつ大変暑かったこともあり、さして来場者もいないのではと思っていましたが、意外に賑わっていました。また、広島都心部からはやや離れていますが、その反面200台分の平面駐車場を備えており、車の置き場の心配をしなくてもいいのもプラスだと思います。まだ新しいということもありますが、館内は清潔感があり、またスタッフの方の挨拶も大変しっかり教育されており、心地よく過ごすことができました。値段は少し高めですが、島根に住む我々としても広島に出かけた帰りに立ち寄って疲れを癒して帰るという使い方もアリではないでしょうか。

2011
07.13

2011年7月2日、島根県中小企業家同友会では、「企業変革支援プログラム」の学習会を開催しました。

企業変革支援プログラムは、経営環境がますます厳しくなる中、自社と経営者の変革に向けた“気づき”を得るためのツールとして、中小企業家同友会全国協議会が取りまとめをされたものです。今回、島根同友会の役員でそのプログラム(冊子として提供)を実際に活用してみようという試みが企画され、私も参加してきましたので、以下にまとめておきます。

学習会の様子(皆でパソコンに向かって自己診断)

1.企業変革支援プログラムとは~自己診断を通じて“気づき”を得る~

企業変革支援プログラムとは、「同友会が長年培ってきた企業づくりにかかわる見解に基づいた、経営指針づくりや社員教育、共同求人などのさまざまな活動や会員の経営実践などの教育をまとめたものです。セルフアセスメント(自己診断)という形式で、自社の経営課題を自ら明らかにすることを大事にしています。」と説明されています。一言で言えば、「自己診断による“気づき”の獲得」ということだと理解しています。

この自己診断ですが、全体が5つのカテゴリー(1.経営者の責任 2.経営理念を実践する過程 3.人を活かす経営の実践 4.市場・顧客及び自社の理解と対応 5.付加価値を高める)分かれており、同友会が目指す中小企業経営に必要な方向性が示されているとも言えます。

そして具体的な作業は、経営に関する22の項目(上記5カテゴリーを細分化)に関する質問に経営者が回答(セルフアセスメント)するだけというものです。各項目における企業の成熟度を0~5までの6段階で自己評価し、その結果がレーダーチャートによって表示されます。このチャートが最も外側に広がった状態が目指すべき姿であり、引っ込んだところが自社の課題なり弱い部分ということになります。

なお、この質問・回答はインターネット上で行うことにより、WEB上での診断結果表示や、全国の同友会会員データとの比較も行えるという仕組みになっています。

自己診断による当社のレーダーチャート

2.今回の診断で得られた気づき

今回、企業変革支援プログラムを実施して、大きく次の3つの項目が当社の弱い部分であるということが明らかになりました。いずれも当社に足りない部分だという認識はありましたが、グラフで明確に示されるとよく分かりますし、改めて気づかせてもらえます。

(1)共に学び、共に育ちあう社風づくり

端的に言えば「社員教育」のことなのですが、一方的な教育ではなく、共に育ち合う、共に学び合う社風づくりが必要とされています。これに対し、当社の社員教育では体系的なものはなく、OJT重視、個人の自主性に委ねられている状況です。もちろん、技術的な研修は適宜受講する機会がありますし、資格取得の勉強を通じて知識を取得するということもありあす。しかし、「共に育ち合う、共に学び合う社風」が出来ているかと問われれば、そうなってはいません。当社は技術的なサービスを提供する会社ですから、そのための技術を習得していくことは当然必要です。しかし、それだけでなく、仕事を通じ、一人の社会人として、一人の人間としての成長を得られるような、お互いに切磋琢磨していけるような、そういった社風、風土を目指して行かなければならないと感じたところです。

(2)苦情対応・顧客要望及び顧客満足の把握

企業経営において、苦情や要望に対して積極的に対応することが重要であることは間違いありませんし、顧客満足の重要性も言うまでもありません。当社は、さいわい苦情・クレームの類は同業他社との比較では少ない方らしく、苦情対応に追われるということはありません。しかし、年に数回はお叱りを受けることもあります。その際、対応が即時性を有し、また、お客様の利益優先でなされているかどうかと言えば、疑問な点もあり、その都度対応という面は否めません。また、そのクレームなどのお叱りを真摯に受け止め、共有化し、全員で次の仕事に活かしていくという努力が不足していることを実感します。

顧客満足にしても、お客様の方から個別にお礼を伺ったりすることはあっても、こちらからお客様の満足度を把握するための体制などは無く、当社のサービスに対する顧客満足度がどの程度のレベルにあるのか、把握する手立ては持っていません。公共事業の元請け業務や工事については、県などが公表する“評点”と言う形で成果に対する評価を見ることができますが、民間企業様や個人のお客様についての把握は場当たり的なのが実態です。この状況を一つずつ見直し、当社なりのやり方で共有化し、新たなサービスの創出や改善につなげていくことが必要だと感じましたところです。

(3)付加価値を高める努力

企業が提供する製品やサービスが持つ付加価値に対し、お客様は対価を支払って下さいます。当社であれば、温泉・水源開発、地質調査、地すべり対策など、技術サービスのコアとなる技術そのものに付加価値があると考えています。しかし、その価値をより高めていくための取組み、努力をどのようにしているかという点については、社員教育の場合と同様ですが、組織的・体系的でなく、個人の自主性に大きく依存しているのが実態と改めて感じました。

会社として、組織として、既存技術の深化、新しい技術の習得、新しい技術領域・技術分野への進出など、他社が従来から力を入れている部分において大いに劣っているのではないかと、この部分については危機感を感じるところです。これを、組織的・体系的に運用し、検証し、見直すような仕組みに変えていくことが必要だと感じています。

企業変革支援プログラム(冊子)

3.活用に向けて~実践につなげることが大事~

当たり前のことですが、こうしたツールを使って診断を行っただけでは何も変わりません。今回の気づきを踏まえて、どのように実践するのか、どのように社内に落とし込んでいくのかが重要です。一方、今まで出来ていない部分ですから、いきなり劇的に変えるのも難しい面があろうし、無理に進めれば従業員に浸透せず、絵に描いた餅になる可能性もあります。“やったこと”にしてしまっては意味がありません。

このため、今回の診断で得られた上記3つの項目の気付きについて、何か一つずつでも新しい取り組みや仕組みの改善を行い、半年後、あるいは1年後の診断で変化・進歩が目に見えるような状態に持っていくことが大事だろうと考えています。

最後に、当日は島根同友会の理事・役員や事務局の方々総勢18名が参加し、全員で一斉に質問に回答・入力して自己分析を行うとともに、各人の診断結果に基づいたグループ討論が行われました。まずは理事・役員等から積極的に実践し、他の会員へも周知していこうという姿勢は同友会ならではだと感じます。そういった模範的姿勢を社内に対しても見せられるよう、さらに努力していく必要があると考えています。

2011
07.05

社長の温泉めぐり35 皆生温泉(おーゆ・ランド) 鳥取県米子市

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

35箇所目は、鳥取県米子市の皆生温泉「おーゆ・ランド(OUランド)」です。訪問日は、2011年7月3日です。

皆生温泉は、言うまでもなく鳥取県西部を代表する温泉地です。米子市内から車で10分ほどの海岸沿いに複数の大型宿泊施設が立ち並ぶ温泉街が広がっています。おーゆ・ランドは、温泉街の入口付近にある民間の日帰り温泉施設ですが、ホテルと一体になっており、“ホテルの大浴場部分を日帰り温泉施設にした”という見方もできそうです。

おーゆ・ランド入口(背後の建物がおーゆ・ホテル)

皆生温泉の泉質は、ナトリウム・カルシウム‐塩化物泉で、総湧出量は毎分4456.5リットル、源泉数は19カ所、源泉温度は63~83℃(以上、皆生温泉旅館組合公式サイトによる)となっています。この施設で使用されている泉源もそのうちの一つで、成分分析表によると、源泉温度は76.2℃、成分総計12.56g/kgと濃いめの泉質となっています。塩化物イオンの含有量が多く、高温のため加水してあるようですが、それでも口に含むとかなり塩辛さを感じます。

塩化物泉は、“温まりの湯”と呼ばれ、入浴によって皮膚に塩分が付着することで汗の蒸発を防ぎ、保温効果が高く、湯冷めしにくいのが特徴です。この温泉は、塩化物イオンの含有量が多いので、特に効果が期待できます。一方で、食塩制限のある疾患(高血圧、心臓病、肝臓病など)のある場合は控えた方がよいとされています。また、濃いだけに、浸かり過ぎによる湯あたりにも注意が必要で、施設内のあちこちに“湯あたり注意”の張り紙がみられます。

風呂は、O風呂(おー風呂)とU風呂(ゆー風呂)の2種類のタイプ(それで、“OU”ランド)があります。それぞれに趣向が異なり、男女入れ替わりで使用されるようです。私が訪れた日は、U風呂が男湯でしたが、浴室中心部に、その名のとおりU字型の湯船があり、その周囲にジェットバス、ジェット寝湯、バイブラバス(泡の出る風呂)、テーマ風呂(薬湯など)、水風呂、サウナ等が配置されており、さらに外には露天風呂と、バラエティに富んでいます。なお、ジェットバス、ジェット寝湯は、水道水が使われていました。これは、温泉を使うと塩分濃度が濃いため、機械に故障が出やすいためだとのことです。

なお、別料金にはなりますが、この施設は、家族風呂が充実しているのも特徴です。家族風呂は計12箇所、中には露天風呂付などもあり、訪れた時も順番待ちが出ていました。

洗い場は、さすがに大型施設だけあって、浴場内に24箇所ありました。なお、この施設には施設備えつけのせっけんやシャンプーがありません。日帰り温泉施設でこれらを置いていない施設は、山陰ではここぐらいではないでしょうか。あるのが当たり前という感覚ですから、思い切った割りきりだと思います。

脱衣場のロッカーは100個以上あり、一部は縦長(上着などが掛けれらるタイプ)となっています。洗面台は3箇所のみで、水回りの無いカウンターだけのスペース(ドライヤー付き)が5席分ありました。割烹温泉ゆらりや、天然温泉ラピスパなど、民間施設ではこのような造りが一般的なようです。なお、この施設では、脱衣場と浴場の間に仕切りのあるスペースがあり、そこに洗面台が2つあり入浴前後に水が飲めるようになっています。入浴前後の水分補給は大変重要ですので、よい工夫・気遣いだと思います。

施設内の様子

入浴料は、大人350円。かなりリーズナブルな値段設定で、山陰地域の民間温泉施設と比べても格安です。しかし、前述のとおり、浴場内にはせっけんもシャンプーもありません。差し引いて判断する必要がありますが、施設内容からみても、お買い得な値段設定ではないかと思います。また、おーゆ・ホテルの会員(入会金1000円)になると、温泉及びレストランの利用が割引になるというサービスもあるようでした。

おーゆ・ランドとおーゆ・ホテルの入り口は共通で、左が温泉、右がホテル、という造りになっています。海水浴シーズンには海水浴帰りの方々の利用も多くあるようで、その専用の入り口もありました。おーゆランドは施設も新しく、内部は外光をふんだんに取り込んで明るく開放的な雰囲気に仕上がっており、清潔感もあります。お食事処、理容院、マッサージ、など、美容・健康関連の施設が一とおり揃っており、施設内でゆっくり過ごすことができます。

入口付近にある飲泉所

珍しいのは、施設入口に“飲泉所”が設置されていることです。入浴施設に使われている泉源とは別にある、飲用専用の泉源に対して許可が出ているようです。温泉の飲用許可は所管の保健所が出すのですが、実際に飲用許可となっている温泉は多くありません。特に、こういった濃い泉質の温泉に飲用許可が出ているのは珍しいと思います。飲用許可の出ている泉源の多くは、濃度の薄いものが対象になっていると理解していましたので、ちょっとした驚きでした。80℃近い源泉そのものが出ていますので、水で3倍程度に薄めて飲むように但し書きがあります。慢性消化器病、慢性便秘などが適応症となっていました。

皆生温泉ブランドの高濃度の泉質、割り切りによるリーズナブルな利用料金、明るく開放的の施設など、大変利用しやすい施設ではないかと思います。事実、訪れたのは日曜日の午後でしたが、持参のカゴ(シャンプー・石鹸などが入っているのでしょう)を抱えた常連さんと思われる利用者の方々でごった返していました。それでも、浴室内がかなり広めなので混雑感はあまりありません。全国的な知名度も高い皆生温泉を気軽に楽しめる、中々のおすすめ施設ではないかと思います。