2011
11.25

島根県中小企業家同友会では、2012年10月4日(木)~5(金)にかけて、第40回青年経営者全国交流会in島根(以下、「島根青全交」といいます。)を開催します。

中小企業家同友会に所属する全国の若手経営者が数百人単位で集まり、経営に関する様々な議論を交わす学びの場です。あと1年弱の期間がありますが、島根同友会では、今月から本格的な準備に入ることとなり、私も、実行委員会の一翼を担わせて頂くこととなりました。2011年11月11日には、今年富山で開催された青全交の実行委員長 高橋賢さんをお招きした例会を開催、11月21日には、最初の実行委員会が開催されました。開催に向けた準備が、着々と進められています。

私も、引き受けたからにはしっかりとやらなければなりません。しかし、やった方がいい、参加すべき、というのは分かりますが、こういった全国規模の大会を自分達の地域で開催し、自らも準備運営に携わることにどういう意味があるのか、実は明確に整理できていません。本来、実行委員を引き受けておいてそういうことでは困る訳ですが、前述の高橋さんのお話を聴いた後でもしっくりきていません。このため、「なぜやるのか」という根本的な問いかけに対する、自分なりの考えを整理してみました。今時点での整理としてまとめ、島根青全交の開催後に、また振り返ってみたいと思います。

例会で報告する富山青全交実行委員長 高橋賢さん

1.大会の現場において学び、刺激を受けることの意義~富山青全交の振り返りから~

青年経営者全国交流会は、毎年1回、全国様々なところで開催されます。今年9月に富山県で開催され、私も参加してきました。その様子はこちらに整理しました。そこで得られた私なりの学びを、「経営者姿勢の学び」、「具体的方策の学び」、「グループ討議での学び」の3つに分類しました。

その時点での感想を、次のようにまとめています。(以下、前述のブログ記事の再掲です)全国からわざわざ集まってくる若手経営者の方は意識が違います。そういった方々と触れ合うだけでも気づきをもらえます。しかし、そんな経営者でもそれぞれに悩んでいます。しかし、本気で悩んでいるからこそ、他の人の悩みに対して的確な助言ができる人がたくさんいる。お互いの悩みにお互いの気づきを伝え合うことで、お互いが成長し、それぞれ会社が良くなっていく。そういうプラスのサイクルを生み出すことが出来るからこそ、こういった大規模な全国大会を開催することの意義があるのだと私なりに整理しています。

私がたまたま参加した分科会以外にも、全体で11の分科会が開催されており、それぞれにたくさんの学びが会った事だろうと思います。しかし、それは、他県で開催される全国大会に参加しても得られるものです。島根で開催された大会でも得られはするでしょうが、「絶対に島根でなければならない」訳ではありません。旅費がかからず、移動時間も少なくて済む、というぐらいのことです。だから、大会の現場(分科会など)で得られる学び、刺激も一つの意義だけれども、“島根でやることの意義”はもっと別のところにあると考えています。

2.全国の経営者とつながり、交流することの意義

同友会の良さは、年齢も業種も経験も異なる多様な経営者が、グループ討議などの場を通じて、自社の実情を語り、時には意見を闘わせて、自社の経営に役立てていくことが出来る点にある、と言われます。全国にある各都道府県の同友会は、そういった学びの場を例会などの形で会員に提供しています。会員は、普段は地元の同友会の例会などで学ぶ訳ですが、時にこういった全国大会がある。そして、全国大会には日頃話をする身近な経営者ではなく、全国から様々な経営者が集まってくる。その方々とつながりを持ち、交流することの意義が何なのか、ということを考えてみる余地があります。

私は、「自分の、あるいは自社の可能性をどう捉えるか」、だと考えています。取引の幅が広がるとか、直接的なものもあるかもしれません。ただ、直接的なビジネスのことばかり考えると、例えば、島根でしか仕事をしない会社だから県外の人と知り合ってもあまり意味が無い、という考えも出てきます。事実、当社もほとんど島根県内で仕事をしている身であり、率直に考えれば同様の印象はあります。

しかし、ここで考えなければならないのは、「島根の会社だから」と考えている時点で、自分自身、そして会社の可能性を限定している、ということではないかと思います。結果的に島根だけで仕事をするとしても、全国様々な地域で仕事をしている、意欲ある経営者が何を考えているのか、どのように経営し、また何に悩んでいるのか、どう解決していくのか、それを垣間見みて、直接肌に感じることは、非常に貴重な経験になると考えられます。ただ、そのことだけであれば、前述のとおり、何も島根で開催する必要はなく、他県で開催されている全国大会に出向いて行ってもいい訳です。

しかし、自らの地域で開催する場合は、自らが主体的に関わり合いを持つことができるという点で異なっています。単に見聞きして帰るだけなら、外に出掛けて行ってもいいでしょう。しかし、自ら主体的に関わり積極的に自らの可能性を探り、問題解決を図ろうとするのであれば、ホスト役として県外からいらっしゃる経営者の方々と交流すべきではないか。その方が、間違いなく交流の質、密度があがり、自分自身にとって得られるものも大きくなることは間違いない。それが、島根で事業を営む我々が、島根の地で大きな大会を開催する意義の一つと考えています。

3.世話を焼くことの意義~利他の心で働くことがもたらすもの~

結局のところ、大会が島根で開催されることは、“そこで得られるであろう学び”に関しては、直接的な意義は持たない(島根でなくても学びは得られる)のではないかと考えます。だから、たまたま島根で開催されるから自分も参加しよう、ということでは特別な意味は持たず(もちろん、参加しないよりは参加した方がいい訳ですが)、自ら大会を構成する側に立ち、大会をつくり上げることに意味があると理解すべきだと考えています。準備に向けて「世話を焼く」こと自体に意義がある、ということになります。

そして、それを突き詰めれば、「利他の心」ということにつながると解釈しています。島根の地でこういった大規模な学びの場を開催し、そこに地元企業の経営者が参加し、様々な学びや刺激を受けることは、間違いなく地域のため、参加した方々のためになります。たくさんの人が島根に集まるというだけでも、直接的な経済効果があります。ただ、これらを実現し、会を運営するには、誰かが世話を焼かなくてはなりません。そうであれば、自分がしようではないかということ。自分以外の他の人を利する心を持ってことにあたるという姿勢が、ひいては自分を利することにつながる。そう信じて取り組むべきではないかと考えています。

ただ、あまり高邁なことを考えすぎず、もっと気軽に、「せっかくやるなら、お客さま気分より、おもてなしする側でやろう」という感覚でスタートしてもいいのかもしれないとも思います。わざわざ島根の地に来て下さる同友会の仲間への感謝の気持ち、喜んでもらいたい、いい会だったと思ってもらいたい、そういった当たりまえの想い、「会員どおし、お客さま」とでもいうべき気持を持って向えば、きっとそれは、回りまわって島根のため、会員のため、そして自分のためになるに違いありません。そう信じて、取組み開始に向けた考えの整理とします。

中小企業家同友会全国協議会 第40回青年経営者全国交流会in島根

〔日時〕 平成24年 神在月 10月4日(木)~5日(金)

〔場所〕 松江市内(くにびきメッセほかを予定)

〔テーマ〕縁(えにし)創造 集い 繋がり 結ばれる!出雲の「縁」が日本を動かす!

2011
11.18

2011年11月8日から10日にかけて、松江工業高等学校のインターンシップの受け入れを行いました。

松江工業高校では、今年から2年生のほぼ全員が一斉にインターンシップを行うそうで、かつ、できるだけ専攻している学科の内容の仕事に近い会社に行く方針とのことで、当社も打診を頂き、受けることにしました。都市環境工学科(昔の土木科と建築科)の2年生1名が対象です。なお、昨年度は、松江工業高等専門学校の学生さんを受け入れたのですが(その様子はこちら、その1その2)、学生さんにはあまり馴染みの無い我々の業界を知ってもらえたことと、いまどきの学生の考えていることを知る機会となり、当社としてもそれなりに得られるものがあったと思っています。そのため、昨年に続いて受け入れを決めました。

松江工業高校から申し入れに対して早々に受け入れの回答をしたのですが、日程が固定されていることもあって中々研修向きのちょうどいい仕事(現場での実習作業のようなもの)を準備することができず、現場の見学が中心となりました。もっとも、現場見学も意義あることだと考えています。我々のような土木系の仕事は、同じ建設関連の仕事でも建物などを立てる建築の仕事に比べて地味な印象が否めません。大きなダムや橋などであれば分かりやすさもありますが、ボーリングで地下を掘る仕事は、完成後も表面的には変化が少ないので、大変地味に見えます。仕事の重要性は派手か地味かではありませんが、分かりにくいのは事実かと思います。こういう機会を利用して、当社及び我々の業界の仕事について少しでも理解が深まればと考えています。

今回、研修で回った現場を、一般の方向けの当社の仕事の紹介も兼ねて整理しておきます。

1.旭温泉の新泉源掘削工事(浜田市旭町)

浜田市旭町にある「旭温泉」において新泉源を掘削している現場です。

旭温泉を将来にわたって観光の拠点として維持していくために、湯量・湯温とも安定した新たな源泉の確保を目指すものです。2011年8月から掘削しており、予定深度1200m、見学時点では700m付近まで掘削が進んだ状態です。どのようにして地中深くまでの掘削が行われるのか、実際の機械や道具などを見ながら説明を聴いてもらいました。やぐらの高さが27mある、非常に大きなボーリング工事です。これだけの規模のボーリン工事の現場を見る機会は中々ありませんので、是非にと思い見てもらいました。

ところで、地中深くボーリングするとき、よく1000mの下の地下でボーリングの先端がうまく回転して土を掘れるものだと不思議な気がする方もいるかもしれません。私も、昔は、ボーリングの先端が土や岩との摩擦で動かなくなってしまわないのかと思っていました。それを可能にしているのが「泥水」と呼ばれる、粘土を溶かしたどろどろの液体です。潤滑油のようなものだと思って頂けばいいのですが、それを地中深くまで送ってボーリング孔内を循環させて膜をつくります。それが、土や岩との摩擦を軽減させ、地中深くでのボーリングを可能にしています。温泉ボーリングともなるとその泥水の循環設備も大規模なものになり、その仕組みと一緒に理解してもらういい機会となりました。

また、この現場は住宅に近いところで実施しているため、防音対策にも力を入れています。防音シートの中と外、どのくらい騒音が違うのか実際に体験してもらいました。細かいことですが、建設現場における周辺影響への配慮や安全対策といったものを知ってもらい、単にものをつくればいい、というものではないことも理解してもらえたのではないかと思っています。

大型ボーリング機械を見学

2.出雲第二期地区の地すべり対策工事(出雲市宇那手町)

出雲市の宇那手町というところで実施している、地すべり対策の工事現場です。

地すべりはその名のとおり地面が広範囲にわたって滑り落ちる土砂災害で、地面の中の“水”が滑りの原因となります。その対策手法の一つとして“水抜き工事”という対策があります。地面に横穴を掘り、そこから水を抜くことで地面の滑りを抑制するものです。通常ボーリングというと地面の下に向かって掘るのですが、この場合は横に掘ります。こういったものも当社の仕事の一つです。

土砂災害対策にも色々ありますが、コンクリートの堰堤のような見た目に分かりやすい対策と異なり、地味な工事です。一般にはあまり馴染みの無いですが、そういった対策もあるということを知ってもらうことも大事だと考えています。なお、この現場では施工後の管理用の測量の補助をして頂きました。現場を見るばかりでなく、現場での実習らしい仕事もしてもらえたので、よかったのではないかと思っています。

水抜きボーリング工事施工後の状況を見学

3.奥出雲町三成第二簡易水道の水源工事(奥出雲町三成)

奥出雲町の三成という地区の簡易水道の水源工事を行った現場です。

簡易水道とは供給対象者が100人から5,000人までの水道を言いますが、そのエリアは中山間地などに多く、その水源を井戸掘削によって確保することがよくあります。ここもそういった現場で、水源確保のための井戸工事を行ったものです。

見学時点では掘削が完了し、揚水試験という試験を行っていました。揚水試験とは、井戸掘削が終わり、ケーシングやスクリーンと呼ばれるパイプの設置が完了した後に、その井戸からどのくらいの水量を汲み上げることができるかなど、井戸の能力や特性を把握するために行う試験です。実際に水を汲みながら、データを取って井戸の特性を調べます。その様子に立ち会ってもらいました。

井戸工事は、単に井戸の孔を掘って終わりでは無く、その井戸がどの最大で程度の能力を持っているのか、どの程度の能力で使うのが適正なのか、といったことを調べて成果としてとりまとめ、初めて仕事が完了するということを知ってもらえたかと思います。

井戸からくみ上げた水をポリバケツで汲んでみる

今回のインターンシップは3日間ほどでしたが、前述の3現場を全て私が連れて回りました。その際、現場の説明は担当者にしてもらうのですが、その事前のレクチャーとして、私から、「その現場はどういう仕事なのか」、「なんのために実施されているのか」、ということを高校生に対して説明します。工業高校で学んでいるとはいえ、あくまで一般の人である高校生に出来るだけ分かりやすく説明しようと考えた時、実は、これは当社の存在意義、当社の提供する価値について考えることと一緒なのではないかと感じました。

ほとんど予備知識の無い高校生に、なぜこの仕事があるのか、なぜ必要なのかを明確に説明できるのか。もし説明出来ないとなると、極端に言えば、それは世の中においてさして必要性が無い仕事で、ひいては当社の存在も必ずしも必要ない、ということになりかねません。

もちろん、当社が実施している仕事の必要性、そして当社の存在意義、といった説明をした訳ですが、しかし、これは高校生に説明するのではなく、社内に対して、また世の中に対してすべきことではないかと感じました。当社の仕事の必要性、存在価値といったものを、自信を持って説明できるようにしていくことが経営者の仕事であり、今後の当社の存続・発展を確かなものにしていくのではないかと、このインターンシップの受け入れという機会を経て感じたところです。

2011
11.10

島根経営品質研究会では、会員企業の役職員向けの研修として「H23ワールド・カフェ・シリーズ」を企画しました。その名のとおりですが、“ワールドカフェ”と呼ばれる話し合いの手法を採用し、誰もが気軽に参加出来て、気づきと学びを得られる場を、会員のみなさんに提供することを意図したものです。2011年4月に「DOIT!ワールドカフェin出雲」というセミナーに参加させて頂き、ワールドカフェという手法を初めて体験させて頂きました。それを自社の役職員のみなさんにも体験してもらいたいと考えたのがきっかけです。ワールドカフェという手法については「DOIT!ワールドカフェin出雲」でも整理していますので、参考にご覧下さい。

なお、今回のワールド・カフェ・シリーズは、次のような構成としています。

1.自己紹介
2.テーマに関する事前の討議
3.テーマに沿った講演又はビデオ試聴
4.ワールドカフェ
ア)ワールドカフェ1 テーマに対する討議
イ)ワールドカフェ2 グループを入れ替わって討議
ウ)ワールドカフェ3 元のグループで討議
5.まとめと発表

以下、今回のセミナー立案の経緯、ねらいなどについてまとめてみました。

1.働く者一人ひとりのための気づきと学びの場の必要性

最近、私は、島根経営品質研究会の他、島根県中小企業家同友会をはじめとし、経営者の学びの場、勉強の場にたくさん参加するようになりました。少し多くなりすぎた感もありますが、日々学びと気づきを得られ、少しずつですが当社の経営に落とし込み、生かされてきていると感じています。

しかし一方で、自分ばかりが学ぶだけではなく、自社の役職員のみなさんの学び・気づきも同様に大事なのではないかという気がしてきました。社長(私)が学ぶのはいいのだけれど、それだけだと自分と職場との間に距離ができ、考えていること、目指したいことが、伝わらなくなってきているのではないかという気もします。そこで、自分がいいと思った学びの場に、自社の職員のみなさんも参加してもらい、それぞれの立場での学びや気づきを得てもらえればいいのではないかと考えました。上から目線で“職員を教育する”というスタンスではなく、“一緒に学ぶ”場。そのような、“自社の職員のみなさんの学びの場”をどういう形で生み出し、提供していくのかというのは、中小企業の経営者の課題の一つではないかと考えています。

今回、島根経営品質研究会のみなさんの協力を得て、その課題解決の方法の一つとして、このワールド・カフェ・シリーズ(計4回開催)を具体化することができました。具体化にあたっては、前述の「DOIT!ワールドカフェin出雲」を企画・運営された株式会社ブロックスさんが実際に運営されたやり方を大いに参考にさせて頂きました。また、第2回以降は、ブロックスさんが制作する社員教育ビデオDOIT!シリーズを活用させて頂く予定としています。なお、ブロックスさんでは、同社以外の方がDOIT!シリーズのビデオを使って有料のセミナーを開催することはお断りされているそうなので、申し添えさせて頂きます。(このため今回のセミナーは会員限定で開催し、参加費は徴収していません。)

グループでの話し合いの様子

2.職場の近くで、安く、良質な学びの場を提供

このセミナーを企画する際に考えたのが、「近くて」「安くい」ということです。

企業にとって人材がもっとも大事あることは言うまでも無く、人材育成がその企業の先行きを左右するといっても過言ではないでしょう。しかし、実際の人材育成には「時間」と「お金」がかかります。これを惜しんでいてはおぼつかない訳ですが、中小企業にとってハードルになっていることも事実だと思います。

お金を出せば、いい内容の、学びの深いセミナーもあるでしょう。また、東京や大阪に出向けば、毎日たくさんのセミナー・研修が開催されています。しかし、島根県を中心に日々の仕事に従事する職員のみなさんが、東京や大阪に出向くのは実際問題として大変であるし、旅費も含めた費用面、移動時間などの時間の面でも負担になります。そうであれば、職場の近く(すぐ参加できる)で、安い(旅費があまりかからず、参加費も安い)学びの場があればいいと考えていました。それを概ね実現出来たと思います。ただ、今回のセミナーが低コストなのは、島根経営品質研究会のみなさんが手弁当で準備をして頂いているからですが、そういった手づくりの研修(自分達で出来る内容)であることも、継続的に進めていく上では大事なことだと考えています。

もう一点は「良質な学び」という点です。当たり前のことですが、“いい学び”がなければ企画及び参加する意味がありません。そこで今回(第1回)は、島根経営品質研究会の代表幹事を務めて頂いている、株式会社さんびるの田中正彦社長に講演をお願いしました。島根県内の元気な企業の代表格ともいえる、さんびるさんの取組み事例紹介を交えて、大変気づきの多いお話をして頂きました。このセミナーは、一方通行の座学ではなく、参加者が“あるテーマについて話し合う”ことを目的としていますが、話し合いを良質なものにするためには、漠然とスタートするのではなく、その討議のよい材料となるお話や事例などを事前に提供することが必要だと考えています。毎回、優れた講師の方に来て頂くのも難しいので、次回以降は、前述のビデオを題材にする予定としています。

株式会社さんびる 田中正彦社長の講演

3.多様な業種、役職の参加者が一緒のテーブルで話し合うことの効果

このワールド・カフェ・シリーズは、計4回開催しますが、それぞれの回でテーマを設定しています。

第1回は、「元気」というキーワード。元気な会社とは?自分自身の元気とは?、というテーマで話し合いをしてもらいました。漠然としたテーマで、とっかかりにくい面もあります。しかし、いずれも“仕事をしていく上で大事なこと”をテーマに据えています。つまり、“本当はしっかり話し合っておきたいことなのに、普段中々話すことができない大きなテーマについて、難しいことは抜きに話し合う、”そんな場にしたいと考えています。

そのためのポイントとして、「多様な業種、役職の参加者が一緒のテーブルで話し合う」ことが大事ではないかと考えています。日頃から大きなテーマについて話をする習慣のある組織なら別ですが、一般には、例えば「元気な会社とは?」といったテーマについて、日頃から社内で話し合っている会社は少ないでしょう。少なくとも当社にはそういった場はありません。毎日顔を合わせる仲間で、急にあらたまった話をしにくい面もあるでしょう。だから、そのハードルを下げるために、お互いに面識のない、様々な業種、役職の方々を一堂に集め、先入観なく話をしてもらう。今回も、その効果は出ていたと思います。

もう一つ、グループの中に、前向きな取り組みによって生き生きと働いている会社の従業員の方が居ること。これがとても大事なことだと考えています。いかに多様な業種の方を集めても、全員が後ろ向きのマインドでは愚痴の言い合いになりかねません。前向きな話をしてこそ意味があります。そのためのグループ討議のけん引役がいる訳です。このセミナーでは、講演をお願いした田中正彦社長率いる「株式会社さんびる」のみなさんにその役を担ってもらっています。なお、そのようにお願いしている訳ではなく、私の目論見として、勝手にそう位置付けているだけです。しかし、後日、参加した当社の職員に感想を聴くと、さんびるの職員のみなさんの前向きさ、社内での様々な取り組みに驚き、衝撃を受けたようです。結果、「社長(私)が言ってること、やろうとしていることが少し分かった」という嬉しい感想を聴くことができました。

 

最後に各グループから発表

ワールド・カフェ・シリーズ、島根経営品質研究会が主催したセミナーとしては初めてのスタイルでしたが、初回としてはまずまずの出来だったと思います。あと3回、運営面で改善すべきところは改善しながら、良質な学びと気づきの場として定着させたいと考えています。また、こういったスタイルの学びの場を、来年度からは当社内でも実施できるようにしたいと考えています。今回、そのための私自身の勉強も兼ねて準備役を担当させて頂きました。一受講者として参加するのとは違った気づきや学びがありました。誰もが参加出来る、近くて、安い、良質な学びの場、その実現に向けて継続して取り組んでいきたいと考えています。

2011
11.04

2011年10月27日、特定非営利活動法人 地中熱利用促進協会の主催する「地中熱利用促進地域交流2011群馬」に参加してきました。このイベントは、地中熱利用に関する講演会と、地中熱の技術・製品・施工・計画等にかかわる企業や団体などの展示会、さらには見学会(私は不参加)から構成されるイベントです。現在、当社の新しい事業展開の一つとして、ぜひとも取り組みたい分野と考えており、情報収集や勉強をしているところですが、非常にタイミング良く開催されたイベントということもあって、群馬県前橋市という、あまり馴染みのない都市での開催でしたが、参加してきました。以下、参加して感じたこと、今後の可能性などについて整理しておきます。

講演会の様子(聴講者は思いのほかまばら)

1.地中熱とは~無限かつ安定した地域を選ばないクリーンエネルギー~

地中熱とは、その名のとおり地中の熱のことですが、比較的浅い部分(200mぐらいまでとされる)にある、比較的低温の熱のことを指します。場所にもよりますが、地中10~15mぐらいを過ぎると、地中の熱は地上の外気温にかかわらず年間を通して一定になります。夏冷たく、冬温かい、ということになる訳ですが、この温度差のエネルギーを利用しようというものです。よく似た言葉に「地熱」というのがありますが、これはいわゆる火山に由来する熱など、地球の深部から出ている熱のことを指し、地中熱とは区別されています。

この地中熱、海外では以前から取り組みが進んでいる自然エネルギーの一つだそうですが、日本ではまだほとんど普及していないといってもいい状況のようです。しかし、現在では、政府のエネルギー基本計画の中でも、いわゆる「再生可能エネルギー」の一つとして太陽光、風力、バイオマスなどに加えて取り上げられています。原発事故を契機にエネルギー政策の見直しが必至となった現在、非常に注目され、活用が期待される新エネルギーの一つだと認識しています。

特徴は、「無限かつ安定したクリーンエネルギー」という点でしょうか。太陽光も風力も“無限”ではあるのでしょうが、太陽光は夜使えませんし、風力は“風任せ”です。その一方、地中熱は一年間、朝から晩まで継続して供給される、安定した自然エネルギーです。また、他の再生可能エネルギーと少し違うのは、太陽光も風力もそのエネルギーを直接電気に変える「発電」を目的としていますが、地中熱は、その熱を直接用いる(例えば道路の融雪)ものもありますが、ヒートポンプを用いて冷却や加熱を“補助”し、省エネルギー化を図る目的で活用されることが多くなっています。このため、太陽光か地中熱か、といった二者択一ではなく、太陽光と地中熱のハイブリッドなど、他の再生可能エネルギーと組み合わせて使うこともできる点が特徴と言えます。繰り返しになりますが、まさに、今後注目の再生可能エネルギーではないかと感じています。

2.地中熱活用は東高西低か~島根県では道路融雪で先行事例あり~

今回、講演会において、地中熱に先行して取り組む各県における研究・活用状況について報告がありました。報告があったのは、群馬県、茨城県、長野県、青森県、山梨県、といった地域です。西日本の府県による発表はなく、いずれも東日本の県における取組みが発表されました。実は、この5つの県は総務省が推進する「緑の分権改革」による調査事業に応募、採択された地域で、いずれも地中熱活用をテーマに様々な調査や検証を行われています。地中熱をテーマに応募された地域が東日本に集中したのはたまたまかもしれませんが、各県での取り組み成果の発表などを聞くにつけ、地中熱は「東高西低」の状況ではないのかと感じずにはいられませんでした。

その理由として、東日本でも、特に寒冷地では地中熱による融雪や、ヒートポンプと組み合わせた暖房への活用などのニーズが高いため、活用もより進みやすい傾向にあるのは間違いないと思います。今回発表のあった青森県の事例でも、道路や駐車場などの融雪について研究成果の発表がありました。しかし、地中熱は「全国どこでも同じように得ることができるエネルギー」という点も特徴です。ヒートポンプを使った冷却・加温は、程度の差はあれ、全国どこでも必要となるわけであり、西日本でもその適応性は十分と言えます。しかし、西日本では地中熱活用を前面に押し出した企業は少ない(広島県にミサワ環境技術という先進企業があります)ようで、だからこそ取り組む意義もあるし、ビジネスチャンスでもあると考えています。

なお、島根県内では、国道261号の融雪設備(無散水式融雪工)として整備されている事例があります。これは島根県による公共事業として実施されているもので、冬季の道路融雪を目的に地中熱を直接利用するタイプのものです。現在は、一部整備済となっていますが、整備済区間ではよい成果を上げているようです。島根県内の中国山地沿いの主要幹線道路では、冬季の除雪や凍結防止が必要な路線が多数あります。こういった箇所に維持管理・メンテナンスコストに優れる地中熱を活用した融雪設備を備えることは、初期投資費はかかるものの、今後の公共事業のあり方の一つとして意義あるものだと感じます。地中熱活用の普及促進のためにも、さらなる整備の推進を期待したいところです。

3.当社にとっての地中熱~ボーリング調査・さく井工事に携わる技術者・技能者の新しい活躍の場~

当社では、この地中熱に関する事業を新しい事業領域として取り組み、出来るだけ早期に参入したいと考えています。新しい事業領域といっても、全くの新規分野だとは思っていません。地中熱を利用するためには、地中との熱交換を行うための井戸(熱交換井)を掘り、その中に不凍液を通すパイプを設置し、不凍液の循環を通じて地中との熱交換を行う仕組みが一般的です。この熱交換井を掘る技術は、まさにボーリング調査やさく井(さくせい)工事をするための技術そのものです。地中熱にかかわる事業とは、ボーリング調査やさく井工事に携わる技術者、技能者の新しい活躍の場と言え、その活躍の場を創出するのは、経営者の仕事だと考えています。

もっとも、そんなに簡単なことではありません。現在、地中熱活用が進まないのは、熱交換井のボーリング工事のコストが高く、イニシャルコスト全体を押し上げている(長期間のライフサイクルコストでは安くなりますが)ことが原因の一つと言われています。ボーリング機械の高度化による掘削スピードのアップなどによるコスト縮減も必要になってくるでしょう。そのための投資も必要になるかもしれません。しかし、地中熱への取り組みは、我が国のエネルギー政策が見直しを迫られる中で、我々、地質調査やさく井工事に携わってきたものが進むべき当然の道だとも確信できますし、それは、間違いなく正しいことだと考えています。

展示会の様子(こちらの方がにぎわっていた)

地中熱、それは注目される再生可能エネルギーの一つではありますが、それに取り組むからといって、とんとん拍子に上手くいく訳もありません。しかし、今後地域のために役に立つエネルギー・技術であることは間違いなく、さらに、我々の技術・ノウハウの延長線上にあります。そして将来に向けて、何かわくわくする、夢をみれる、そういった事業分野だと思っています。もっと早く取り組むべきだったとの思いもありますが、だからこそ、今年度中に取り組みの方針を定め、早期の事業化、実績獲得に向かって行きたいと考えています。また、実現に向けては、自社だけで取り組むのではなく、同業者や関連する様々な業界の方々と連携・協力し、島根県における地中熱活用そのものを、大きな動き・うねりとしていくことが必要だと考えています。