2012
10.25

協和地建コンサルタントは、2010(H22)年4月13日に、ハートフルしまね(島根県公共土木施設愛護ボランティア支援制度)の愛護団体に認定され、その後継続して活動を実施しています。当社が担当する施設は、島根県の管理する国道432号のうち、松江市八雲町日吉の約700mの区間です。

平成24年度も年間計4回(4月、5月、9月、10月)の清掃活動を実施しました。先日、今年度予定していた最後の活動が終了しましたので、今年度のまとめとしてブログに記載整理してみます。また、活動を開始してから3年が経過し、この活動が当社においてどういう意味合いを持っているのかも、まとめてみます。

ハートフルしまねの看板

1.雑草との戦いは続く~工夫と失敗の繰り返しで改善を続ける~

この3年間を振り返ると、常に「雑草との戦い」でした。歩道に捨てられるごみが少ない区間であったこともあり、歩道の縁石の隙間などから生える雑草がより目立ちました。これらは道路の景観を阻害しますし、そこにゴミが溜まったり、犬の糞があったり、歩道の環境を悪くもします。このため、元々は“ごみ拾い”からスタートしたはずだったのですが、いつのまにか、「ハートフル=草取り」となりました。

雑草の根は道路の縁石の隙間深くに入り込んでおり、除去してもまた直ぐに生えてきます。いたちごっこの域を出ません。抜本的解決を目指し、除草剤も試験的に一部試してみたこともありました。しかし、目立った効果は見られません。完全に枯らすためは、継続的な投与が必要と考えられますが、そもそも道路の清掃作業では通常使用しないそうで、現在は使っていません。その間に、生えている雑草も少しずつ変わってきました。活動当初はヨモギがほとんどでしたが、最近ではやや勢力が衰え(除去し続けた成果でしょうか)それ以外のものも目立ってきました。最近出てきたのは“芝”。どこからやってきたのか、いつの間にか歩道上に広がってきていました。実はこれが大変取りにくく、除去には大変時間がかかります。環境は常に変化しているということです。

我々の用意する道具も、当初は草取り用の簡易な用具を用いていましたが、大きく成長した雑草の除去は難しいことも多くなってきました。そこで、最近は我々が現場で使用する大型の草取り鎌等も準備し、草取り中心の装備で現場に向うようにしています。道具を揃えて作業の効率を高めるとともに、現場で手早く分担、刈り取った草の収集なども効率的に行うことで、現在ではかなり短時間で作業が済むようになりました。

このように、「効率的な草取りの方法」という観点からは、かなり形が見えてきたように思いますが、抜本的対策という点では対策が見出せません。もちろん、お金と時間をかければできるかもしれません。ですが、あくまで道路清掃のボランティアとして取り組む中で実現したいと考えています。今後の課題として引き続き考えていかねばならないでしょう。これからも雑草との戦いは続きます。

2.行政からの維持管理委託との(自主的な)役割分担

このハートフルしまねは、元々、道路清掃活動からスタートした制度で、現在は河川、港湾、公園など様々な公共施設の管理等にも広がり、我々のような土木行政に携わる会社だけでなく、自治会組織等の地域住民のみなさんの参画も広がっています。現在、約900団体(約6万4千人)の登録があるようです。

道路の除草作業についていえば、我々が活動対象としている国道432号は、毎年夏ごろ、島根県からの道路維持管理の委託の一環として、落札された業者さんが除草作業をされます。当初はこのことを知らず、委託による除草作業の直前に草取りを実施したことがありました。せっかくのボランティアによる労力と税金を使った委託が重なってしまってはもったいない話です。このため、現在では、毎年夏ごろに委託の清掃が行われる事を見越し、春先と秋口にボランティアを実施し、“委託による除草作業後にまた伸びてきた草を刈る”ように調整しています。

「行政による委託が行われるからボランティアしなくてもいいや」ということではなく、ボランティアと委託業務とがうまく役割分担し、年間を通じてできるだけ長い間道路が美しい状態に保たれるようにする。その調整は、自由度の高いボランティア側で実施すればいい。手前味噌ですが、勝手にそう考えています。

3.道路清掃から社屋周辺清掃への流れ~自らの職場こそ美しく~

最近の当社のハートフルしまねは、15時頃からスタートし、1時間から1時間半ぐらいで作業終了、その後会社に戻り、社屋周辺の草取り等を行うという流れが定着しています。せっかく草取りの準備をして出かけたのだから、その道具を使って会社回りもきれいにすれば合理的です。当社も、本社屋に倉庫、駐車場など、それなりに敷地があり、植栽などもありますので、ほおっておくと段々と雑草が生えてきます。会社敷地の草取り作業は、数人では大変ですので、ハートフルしまねの活動はいいタイミングとなっています。

この社屋周りの清掃活動ですが、この3年間でみても年々一人一人の取組み方が熱心になり、自主性を増しているように感じます。当社では、毎週金曜日の17時から17時半まで「徹底的にきれいにする場所を決めて全員で清掃する」という活動を1年半ほど前から始めました。“会社・職場をきれいにしたい”という私の想いでスタートさせたので、取り組み開始当初は違和感を覚えた職員も居たようですが、今ではそれが当たり前となっています。この社屋周辺の清掃もその一環と位置付けています。週を重ねるごとに職場がきれいになることを実感できることも、意欲を高める一要素になっていると思います。

道路清掃ボランティアはいい取組みですが、自らの職場を汚くしていては活動に説得力がありません。自らの職場をきれいに出来ない者が、他所をきれいにできるのか。ましては、我々の仕事場である現場をきれいに出来るはずが無い、と考えて社員のみなさんに取組みをお願いしています。現在では、私が何も言わなくても、自主的に会社回りの清掃に取り掛かり、熱心に作業をして頂いています。そういう姿をみれば、経営者として、今後会社はもっとよくなる、また、良くしなければならない、という気概が湧きおこってきます。今後とも、無理はせずにできるだけ長く継続し、いい会社をつくるための活動の一つとして取り組んでいきたいと考えています。

清掃活動後の集合写真

たかが掃除、されど掃除。掃除を集中して実施することで様々な気づきが生まれます。明確に意識しなくても、必ず日々の生活、仕事に影響してくる。掃除をすることで得られる気づき、に気づいたとき、人は変わると思います。それが全社員に広まった時、会社は大きく変われる。そして、それは間近に迫っていると信じています。

2012
10.18

島根県中小企業家同友会では、2012年10月4日(木)~5(金)にかけて、第40回青年経営者全国交流会in島根(以下、「島根青全交」といいます。)を開催しました。今回、実に985名の参加者があり、この大会における過去最高の参加者数を記録しました。

一参加者としての分科会での学びについては、前回のブログにてまとめましたので、今回は、実行委員会の一翼を担い、この大会の準備に携わった者として、「なぜ島根で青全交を開催するのか」、と自問自答し続けてきた答えを出さなければならないと考えています。この島根青全交が、島根に何を残したのか、何が変わるのか、を私なりにまとめてみました。

1000名近い参加者で溢れる大懇親会

1.経営を良くしようと考えて経営する経営者が増えるということ

島根県中小企業家同友会の会員数は、現在200名を超えました。島根同友会が、島根でこの“青全交”という全国大会を開催しようと決議された時の会員数は100名をわずかに上回る程度。そこから100名近い会員に新たに入会して頂きました。さらに、このうち約8割の会員が今回の島根青全交に参加しました。この比率は、他県で開催された同友会の全国大会の実績と比較すると、著しく高い数値です。他県の同友会は会員規模が桁違いに大きなところもありますので、一概に率だけで比較はできませんが、島根の会員の中で、この大会への関心が非常に高かった、或いは高くなった、ことは事実です。諸事情によりどうしても参加できない方もいらっしゃいましたので、それを除けば本当に高い参加率を誇った大会となりました。

それはなぜなのか。実行委員会のメンバーが熱心に参加を呼び掛けたことが多分に影響しています。しかし、もっと大きな背景があると感じています。現在、既存の経済団体などが会員減少に悩む中、同友会は、全国的にみても会員数を増やしています。様々な要因があるでしょうが、「経営を学ぶ」ということが求められている。いや、昔から求められてはいたのでしょうが、同友会の認知度が高まるにつれ、その潜在的な経営者ニーズが顕在化してきたと言えるでしょう。島根でも恐らくそうです。島根の経営者は経営に関する学びを欲しているのです。

そして、同友会の会員が増えることにより、島根において「経営をよくしようと考えて経営する経営者が増える」ことになります。経営者なら誰しも経営を良くしようと考えているような気もしますが、必ずしもそうではありません。“経営をよくする”という言葉の定義次第ではありますが、単に儲かればいい、仕方なく続けているだけ、何のために経営しているか良くわからない、といった経営は実は至るところにあります。私自身も、同友会をはじめとする様々な学びの場に出かけるようになって、分かって来たことがたくさんあります。中小企業が目指すべき“よい経営”、その答えが同友会の中にある。しかも、決して画一的なものでは無く、自社に、経営者自信に合った様々な形で存在する。そのことを理解し、実践し続ける経営者が地域で増えれば、その地域の大きな活力となり、その経済を動かす力にも成り得ます。そのためには同友会活動自体が、島根の地においてさらに活性化しないといけない。島根青全交が、その契機になったことは間違いないと実感しています。

2.外の世界を知るきっかけ~勇気を持って外に目を向ける~

今回の大会、そしてそのための準備は、島根同友会という組織が、外の世界を知るきっかけになったのではないかと考えています。「組織が」というのは、個別の企業でみれば、県外或いは海外の仕入れ先やお客さまと取引のある会員企業もたくさんあります。しかし、そうでない企業も多い。ましてや、島根同友会という組織で見れば、まだまだ島根の地域内での活動に留まっている。もちろん、それが本筋であり、外に出ていくことが目的ではありません。

しかし、外の世界にこそ、我々経営に悩む経営者の欲しているものがある、ということも事実なのです。島根同友会は200名の会員。そこにはそれなりの知見がある。しかし、全国の会員は4万社以上。そこにある経験、ノウハウ、知恵、技術、とは比べものになりません。経営をよくしたいと思い、事業を伸ばし、さらなる高みを目指したいと考えれば考えるほど、外に目を向けるのは自然の流れです。そして、この大会が教えてくれたのは、外に出ていくというのは、“意外にハードルが低い”ということです。今回、800名以上の方に、県外から島根の地を訪れて頂きました。実は、その800名のみなさんにも、やらなければならない仕事、様々なスケジュールの調整など、実際に島根に来るまでは色々な障害があったことでしょう。しかし、それら大事な所用を差し置いて、勇気を持って島根まで来て頂いたということに、感謝しなければなりません。

これだけの方が、経営を学ぶために島根に来ることができる訳ですから、我々も島根から外にでていけないはずがありません。それを教えて頂いた。外に出て、勇気を出して門戸をたたけば、意外にすんなり受け入れてもらえる。特に「同友会の会員である」ということであれば、そのハードルは著しく下がる。こんなに素晴らしいことはありません。島根の田舎でもがきながら経営に取り組む我々に、まさに、行動する勇気、発信する勇気、外に出ていく勇気、それを与えて頂いたのだと考えています。

3.実行委員会メンバーから「突き抜けた経営者」の輩出を

最後に期待すべきは、今回の島根青全交の開催に向けて中心的な役割を果たした、実行委員会メンバーの企業の成長・発展です。このことなくしては、島根青全交を実施した意味がないと言ってもいいでしょう。多忙な社業の中、少なからず社業に支障をきたしながら、実行委員会に携わったメンバーの会社・組織に、なにがしかの成果が無ければ、何のために実行委員を担ったのか分かりません。

今回の実行委員会のメンバーは、島根同友会の若手メンバーの中でも特に意欲的な面々であることはいうまでもありません。それぞれのメンバーが、この実行委員会に参加する事の意義を感じながら、目的を持って参加していました。だからこそ、数年後、実行委員会のメンバーの会社が大きく変化し、発展していることは間違いありません。その中から、まさに「突き抜けた経営者」が生まれてくる。それでこそ、島根で青全交を実施した意味がある。そう考えています。

私も実行委員会のメンバーです。私自身が「突き抜けた経営者」になる候補の一人となっていなければなりません。会社を伸ばし、事業を伸ばし、社員に、地域に貢献する。実行委員を務める間には、日中に拘束されることもありますし、他県に出向いていくこともありました。その間、会社を支えてくれていたのは他でもない社員のみなさんであり、その支援があればこそ、実行委員も務める事が出来ました。だからこそ、会社の発展を持って社員のみなさんにお返ししなければならない。そのことを改めて感じます。島根青全交の終わりこそがスタート。当社には明るい未来がある。なぜなら、島根青全交の実行委員会の一翼を担い、成功させることが出来たから。そう信じて、経営に邁進し、さらなる学びを積み重ねたいと考えています。

島根青全交実行委員会メンバー

島根青全交が残したもの。これだけが全てではありません。様々な立場で、様々な見方で、色々なものが残ったと思います。いずれにしても、島根に同友会があったから、この青全交も開催できた。島根同友会が発足して10年。島根にも同友会が必要だと考えた先輩方が島根同友会を立ち上げて下さったから、今がある。そのことに改めて感謝したいと思います。ただ、宴のあとにしっかりと意識しなければならないことがあります。それは、「同友会が仕事ではない」ということ。同友会はあくまで学びの場。学びを実践し、成果をあげてこそ意味がある。それが経営者の仕事。そのことを改めて肝に銘じ、その上で、島根県におけるさらなる同友会活動の発展に向け、微力ながら貢献していきたいと考えています。

2012
10.12

2012年10月4日(木)~5(金)、第40回青年経営者全国交流会in島根(以下、「島根青全交」といいます。)が開催されました。全国から、実に985名の青年経営者が島根・松江に集い、11の分科会に分かれて経営について学びました。私は、実行委員の一人として運営に携わる一方、一参加者として第8分科会に参加しました。テーマは「後継者問題」。宮城県の㈱伸電 取締役会長 原田 誠氏、代表取締役 佐藤弘樹氏、創業者と後継者、お二方の報告の後、グループ討議を行いました。なお、原田会長は島根県益田市出身、宮城県で㈱伸電を創業、電気設備工事などを中心に事業を営まれています。佐藤社長は、原田会長とは血縁関係に無い後継者で、会社を引き継いでから5年目となります。

中小企業の事業継承において、一口に後継者社長と言っても親族が引き継ぐのと他人が引き継ぐのとでは、全く状況が異なります。私は身内から引きついた後継者ですし、当社の経営状態からして他人に事業継承するということは想像しにくい状況でした。今回の報告を通じ、『後継者≒息子』という私が抱いていた固定概念を改めるとともに、中小企業の経営課題の解決は行きつくところ、この「事業継承」に大きく係わるし、その根底には「経営指針」がある事を学びました。報告、そしてグループ討議を通じて感じた、私なりの気づきを整理しておきます。

報告する㈱伸電 原田取締役会長

1.他人にも継がせることが出来る会社を経営指針でつくり上げる

この分科会のテーマは後継者問題でしたが、中小企業の後継者問題とは、端的に見て「他人にも継がせることが出来る会社か否か」ということが大きな着目点になると感じました。中小企業ですから、オーナー会社であれば息子や身内が継いでもいいでしょう。しかし、“仕方なく息子が継ぐ”、ということでない方がいい。他人でも引き継げるが、たまたま息子が引き継いだ。そういう会社をどう作っていくのか、ということです。

財務的に見れば、高い自己資本比率を有し安定性が高いこと。無借金又は実質無借金会社であれば言うことがないでしょう。しかし、それは一面であって、本質的なところとしては、事業に発展性があり将来が見通せる会社、経営理念に根差す共通の目的意識に溢れたいきいきとした職場、といったものが実現された上でこそ、事業継承も意味あるものになると実感しています。

当社も、(今でもそうですが)私が継承した当時は、身内でなければ引き継いてくれる人はいませんでした。それは特に財務的に事情が大きく影響しています。それを他人でも引き継げるようにしていく。もちろん、他人に事業継承するためには、株式の譲渡問題など、会社を安定的に継続させるためにクリアしなければならない実務的な課題があります。しかし、それはあくまでも実務的な話であって本質ではない、というのが今回の学びの一つです。

原田会長は、今回の報告の中で、「人生はマラソンと言われるが、事業継承は駅伝。何をタスキにするのかと言えば、それは経営指針だ。」とおっしゃいました。この言葉を聴いたとき、2月に開催された、あいち青年同友会合同例会にて報告されたスギ製菓の杉浦代表取締役が「事業継承は経営指針があるか心配いらない」と、全く同じことを述べられたのを思い出しました。スギ製菓の後継者は息子さんでしたが、息子でも他人でも、事業の継承に経営指針が大きな役割を果たす、ということは共通するのだということを再認識したところです。経営指針を引き継ぐとはどういうことか。それは経営指針に基づいた経営の実践と継続、経営層そして職員への浸透、そしてそれに基づいた事業の維持発展、ということだと理解しています。

2.「新執行部」設置から15年を経て新社長が誕生

原田会長は、元々、会社を世襲制にしない、という方針をお持ちだったようですが、ご自身が社長で45歳の時、その頃まだ25歳前後であった会社の若手職員3名を「新執行部」と位置付け、彼らから会社の運営に対する新しい提案を求め、実際に会社の事業運営に取り入れて行かれたそうです。その3名のうちのひとりが、現在の佐藤社長。新執行部設置からおよそ15年を経て、社長の身内では無い、新しい後継社長が誕生した訳です。

新執行部設置から実に15年。その間に、育成の問題やお金の問題、株式の継承等、事業継承に関する様々な問題を一つ一つクリアされたということです。本当の事業継承とは、そのぐらいのスパンで考えていかねばならない。だから、継承したばかりの経営者であっても、“次はまだ先”とは考えず、その時々でやるべきことは手掛け始めておくことが大事だと感じます。しかし、そのように準備されてきた㈱伸電でも、佐藤社長が後継者として会社かじ取りを任され始めた頃、一時的に大量の退職者が出るという事態に見舞われたそうです。

佐藤社長は、その時のことを、「後継者となり自分自身が変化していった。そのことによって、今まで仲間と思っていた人がそうではなくなってきた。」と述べられました。一社員の立場から経営者となれば、変わらざるを得ない部分があります。しかし、今まで同じ社員で仲間であった者からみれば、“あいつは変わってしまった”という評価になり、離れていってしまう。経営者と社員の距離が近い中小企業だからこそ、より顕在化する課題ではないでしょうか。それだけ、事業継承とは難しく、様々な課題をはらんでいるということを実感し、先の事のように考えていてはならないと、強く感じたところです。

3.事業が伸びるから事業が継承できる~新卒者の今後40年を受け止める覚悟~

グループ討議を経た後、事業継承に関する私なりの気づきとして、「事業を伸ばすから事業継承が可能になる」ということがあります。ここで言う、“事業を伸ばす”というのは、単に売上・利益ということだけでなく、事業領域や雇用、従業員数と言ったことも含めて、会社が将来にわたって維持・発展する状況が続いている、という意味合いです。

私には息子が1人いますが、遅い年齢で生まれた子供なので、年齢的にみて私の後を直接息子が継ぐのは難しいと考えています。もちろん、子供が将来会社を継ぎたいと思うかどうかも分かりません。いずれにしても、私の次の社長は、身内以外の者になる可能性が高いと考えています。そう考えた時に何をするのか、どう準備していくのか、考えていかねばなりません。そして、後継者の育成は一朝一夕にはいきません。後継者と目した人材が必ず成長するとも限らないでしょう。なにより、これから新しい人材採用し、活躍の場を創出し、事業を伸ばして行くからこそ、人が育つ。そこで初めて事業継承できる環境が整ってきます。苦しくても、採用を続けていくと決めること。まずそこからではないかと考えています。

今回報告をされた㈱伸電は、社員数18名の会社ですが、来年度新卒採用の内定を3名出しているそうです。震災復興需要でかなりの仕事量が見込めるという背景はあるようですが、それよりも現在の就職難で優秀な人材の応募がたくさんある、ということが大きいようです。新卒採用は一時的な要員確保ではありません。復興需要があるとは言え、今後事業を伸ばしていく前提で、新卒者が今後およそ40年働くことになるであろう会社を守っていく覚悟で採用される。その覚悟が会社を伸ばし、結果的にその次の事業継承につながっていく。こうして会社は維持・発展していくのだと、おぼろげながら私自身も腑に落ちてきたところです。

報告する㈱伸電 佐藤代表取締役

最後に佐藤社長から「後継者の息子は親に反発するもの。しかし、ちっぽけな自分のプライドで社員の将来を危うくしないようにしなければならない。」というメッセージがあり、記憶に残っています。私自身への戒めも込めて、心に刻みたいと思います。佐藤社長は息子ではない後継社長であり、同友会の中で他の後継者をみてそのように感じられたのでしょう。私自身は、事業継承したばかりなので次の継承はまだまだ先のことと考えていました。今回の学びを通じて、それではいけないと気づかせて頂く一方、事業継承を株式の委譲等に代表されるテクニック的な側面だけにとらわれず、経営指針に基づいて事業全体を伸ばしていく中で築きあげていくことが本質だと理解しています。当社は昨年度経営指針を策定したばかりです。その経営指針に基づいて事業をしっかり継続していく中で、次の事業継承の姿も見えてくると信じ、経営に邁進したいと決意させて頂きました。

2012
10.05

2012年9月26日、島根経営品質研究会の「ベンチマーキング」が開催されました。この取り組みは、研究会会員メンバーが会員企業に出向き、会社の説明、社内見学、職員との意見交換、等を行うものです。この春には当社にも来て頂きました。今回は、研究会会員ではありませんが、注目の企業である㈱めのや(松江市嫁島町)さんにお伺いしました。

同社は、パワーストーン天然石のオリジナルアクセサリーを全国展開されており、全国100店舗以上、韓国、中国にも店舗展開されています。企業の勢いを感じるとともに、急成長する企業ならではの人材育成の悩みなど、様々なお話を伺うことができました。パワーストーンの急成長が注目されてはいますが、実は創業111年目、伝統の勾玉づくりを今に伝える歴史ある企業です。これまで様々な浮き沈み、苦い思いを経験されて今があります。その経験を踏まえた、新宮社長の率直なお話には、大いに学ぶところがあります。ごく一部ですが、整理しておきます。

新宮社長による説明の様子

1.楽しく仕事ができる会社であっても、楽に仕事が出来る会社であってはならない

㈱めのやでは、「このお店があってよかった ありがとう この店にあなたがいてくれてよかった ありがとう」という経営理念の下、社員第一主義を掲げた経営を実践されています。そのことが評価され、第2回「日本で一番大切にしたい会社大賞」の審査委員会特別賞を受賞され、さらに注目が高まっています。

新宮社長は、毎月「社長通信」という社員に向けたメッセージを発行されています。現在では、毎年一冊の本にされて社外にも配られているそうです。この社長通信、私も少し読ませて頂きましたが、会社の状況や仕事の事はもちろん、日々、社長が社員さんとどのように接していらっしゃるのか、社員さんか上がってくるメール等の情報、様々なことが綴られており、新宮社長の厳しくも温かい人柄が大変良く伝わります。「社長通信を通じて、社員が社長を身近に感じてくれている」と自らおっしゃられるように、社員だけでなく、そのご家族からも、その会社や社長の人となりを感じ、安心して勤めることができる会社という印象を得るのではないでしょうか。

その一方で、新宮社長の「楽しく仕事ができる会社であっても、楽に仕事が出来る会社であってはならない」という言葉が耳に残ります。従業員を大事にするということは、従業員を甘やかすことではない。当たり前のことではありますが、ちょっと油断すると見失ってしまうことのように感じます。社長通信だけでなく、きめ細かな現場回りによる職員との懇談を通じ、時間をかけて少しずつ浸透させてきた新宮社長だからこそ、その言葉に重みを持って聞くことができます。

2.事業を伸ばすことの意味~職員の士気と未来の展望~

現在、めのやさんは、パワーストーン天然石のオリジナルアクセサリー(ANAHITA STONESE)がヒットし、急激な成長を遂げています。その急成長ぶりはすさまじく、そのための弊害も多々出ている、と新宮社長もおっしゃっていました。普通に考えても、人材育成が間に合わないのではないかと容易に想像がつきます。そのために社員教育において様々な努力や工夫を続けられています。

その一方で、私の目にとまったのは、社内に張ってあった大きな日本地図。それには、ANAHITA STONESEが出店した場所が記してあり、2011年に全国90店舗を達成した時に作成されたもののようでした。このように、全国に自分達の事業が広がっていることを実感できれば、社員の士気が高まり、なにより将来への展望が開けてきます。もちろん、“事業が伸びているかどうか”は、単に店舗数や売上、利益だけで測るものではないでしょう。取り扱う商品やサービスの広がりや高質化、事業を行う地域の広がり、それに伴う従業員の増加、など、様々な見方があり得ますが、どのような形にしろ、“自社の事業が伸びている”ことが実感できるよう「見える化できる」ことの重要性を感じたところです。

めのやさんの事務所は、非常に若い職場でした。その分、中堅幹部が不足しているという問題点もお聴きしました。しかし、少し見学しただけでしたが、若い職場ならではの活気や躍動感、といったものを感じ取ることができました。社員を大事にするという新宮社長の経営方針と相まって、会社の“空気”が活気に満ちているのでしょう。しかし、それも前提として“事業が伸びている”からでしょうし、そういう事業をつくっていくのが経営者の仕事だと改めて感じたところです。

3.「どうせ地方だからこのぐらいだ」と決めつけていないか?

今回の新宮社長のお話の中で最も耳に残っているのは、「どうせ地方だから、このぐらいだ、と決めつけていないか?」という言葉です。言い換えれば、「これは全国で通用するのか?」と常に考えて仕事をするということでしょう。そして、田舎者には“カルチャーショック”という刺激がある。カルチャーショックから生まれる劣等感をパワーにする。それが興味や好奇心、という感性を強める。そして、感性がチャレンジ精神を養う、という訳です。

この刺激を受けることの重要性。私も非常に感じます。出張などで他県に出向いて都会(島根以外はどこでも都会です)の刺激を受けること。これは定期的に実践していかないと、すぐに鈍ってきます。今、都市部では、この国では何がどうなっているのか。自分の地域で日々の暮らしを続けていると、直ぐに分からなくなります。新宮社長は、自分自身のこれまでの経営について「地方ゆえの劣等感・焦燥感が原動力」とはっきりおっしゃいました。そして、島根から県外へ出ることも一つのグローバル化だと指摘されます。そして、「どうせ地方だから、このぐらいだ、と決めつけていないか?」という言葉。私自身の胸に痛切に突き刺さります。私は、現在、地域密着で島根を中心に事業を展開する方針で経営を進めています。しかしそれは、外に出ていく勇気を持てない自分に対して、“地域密着”という一見美しい言葉を使っていい訳をしているだけではないか、と自問自答しています。

もちろん、当社がすぐさま県外で事業を展開出来る訳ではありません。しかし、当社の技術やノウハウが県内でしか通用しないと決めつける必要があるのか。挑戦することなく諦めていいのか、という心意気を持たなければならないと感じます。これは、今後当社が、当社なりの方法で事業を伸ばしていこうとするときの大きなテーマとなります。今一度、自社に置き換えて考えていかなれけばならないと気づかせて頂きました。

本社内にあるアクセサリー制作現場の見学

現在、新宮社長は4代目、そしてこのベンチマーキングの直後、2012年10月から、社長が交代され、新社長(息子さん)が就任されました。前社長の想いを引き継ぎ、また急成長した企業のかじ取りをどうしていかれるのか、同じ後継者社長として大変関心があるところです。ちなみにホームページをみると、新生5代目社長就任のキャンペーンが掲載されていました。なるほど、そういう使い方もあるのか、ちょっと感心したところです。