2013
11.27

社長の温泉めぐり60 大山火の神岳温泉(豪円湯院) 鳥取県大山町

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

温泉めぐりも60箇所目となりました。今回は、鳥取県西伯郡大山町の 大山火の神岳温泉「豪円湯院」(ごうえんゆいん)です。訪問日は、2013年11月26日です。

豪円湯院は、中国地方の最高峰「大山」のふもとにある大山寺参道に新しく開発された温泉及び温泉入浴施設で、2013年11月2日にオープンしたばかりです。大山寺参道は観光地としても著名で旅館街を形成していますが、現在ではかつての賑わいは無くなっています。そこで、大山活性化に向けた取り組みの第一歩として、同町出身の経営者の方が事業会社を設立し、新たな泉源掘削から温泉施設整備を進められ、オープンに至ったという経緯があるようです。施設は、参道沿いの旧旅館を改装して整備されており、黒を基調とした外壁とロッジを彷彿させる赤レンガ色の屋根が特徴で、大山寺参道の景観に配慮ながらも、新しい施設であることもアピールするバランスが取れたデザインに感じます。

豪円湯院 施設外観

「大山火の神岳温泉」というちょっと長めの温泉名ですが、この泉質は、「単純温泉」です。源泉温度が28.0℃で、温度の規定値のみが温泉の定義に当てはまる泉質ということになります。なお、PH値は8.1ですので、「弱アルカリ性単純温泉」標記してもいい(成分分析表にはカッコ書きで“弱アルカリ性”であることが表示)と思います。成分含有量が少ないので、刺激が少なく、誰でも入りやすい温泉と言うことが出来ます。入浴すると、適度なアルカリ度で肌にやさしく感じられます。また、加温・循環式で運用されていますが、加水はされていません。大山の奥深く、1200mの地下からくみ上げられたお湯にしっかり浸かり、雄大な自然に想いを馳せることで、分析書上の成分以上の効果を得られるように感じます。

風呂場内は、周辺にある既存施設とは一味違った造りになっています。まず、内湯は「神の湯」と名付けられた、洞窟風の風呂になっています。照明はぎりぎりまで落とされ、風呂の奥に神棚のようなものがあり、“かがり火”風の照明が灯されています。暗過ぎて危ないのか、注意書きの立て札がありました。このお湯はやや温めで、暗がりのなかでリラックスして長く過ごすのに適しています。一方、人がごった返すような時期や時間帯には注意が要りそうです。隣接して洗い場があるのですが、通常、洗い場と内湯は一つの空間の中に造られるのですが、ここの場合は内湯と洗い場が完全に仕切られており(洞窟風にするためには当然そうなるのですが)、こういう造り方も一つのアイデアだと、新たな発見をさせてもらいました。

一方、外湯の露天風呂は岩風呂風の造りで、ヒノキの軸組みで造られた大きな屋根がかかっています。内湯とは打って変わり、大山の風景を借景しながら開放感ある入浴感を楽しめます。露天風呂で特徴的なのは、同じぐらいの大きさの風呂が二つあり、一つは水風呂になっている点です。やや温いので、おそらく、源泉を加温せずにそのまま使っているのではないかと思いますが、冬場に入るのは勇気がいるものの、夏場などは気持ち良い心地よく過ごせる面白いアイデアではないかと感じます。

露天風呂の様子(奥は水風呂)

洗い場は13箇所あり、ボディソープ、リンス、コンディショナーが備わっています。洗い場は仕切りの無いタイプです。ロッカーは100箇所ほどあり、すべて鍵付きの正方形のタイプで統一されています。洗面台は6箇所でいずれもドライヤーが備えてあります。大型の鏡とデザイン性の高い洗面台が採用されており、施設内でもひときわオシャレな造りになっています。

利用料金は、平日大人700円、土日祝は大人1000円、という設定です。券売機で最初に購入するタイプ。フェイスタオルが料金に含まれています。この値段、大山のふもとの皆生温泉やその他米子市内にある日帰り入浴施設(おーゆランドオーシャンラピスパ淀江ゆめ温泉)などと比較すると、中間的な価格設定です。施設内容と、この地域の相場観からすれば妥当な価格設定ではないでしょうか。スキー場の駐車場にも近いので、この価格設定なら、冬場のスキー帰り客で賑わいそうな気がします。

付帯する施設としては、おみやげコーナー、レストラン、健幸センター、があります。レストランは、山小屋風とでも言うレトロ感ある風情で、すべて座敷です。奥にはイベント用のステージ的なスペースが確保されており、土日祝日には伝統芸能や地域のイベントなどが開催されるそうです。健幸センターでは、マッサージなどのサービスのほか、健康相談なども行われるとのこと。このうち、レストランと健幸センターは、入浴者のみが利用できるようで、レストランのみの利用はできないようです。そしてもう一点特徴的だと思ったのは、施設内の至るところに“写真”が掲示してあることです。写真は、大山の風景から大山を取り巻く様々な出来事まで多岐にわたり、これを見て歩くことで、大山に関する様々なことを学ぶことが出来ます。単なる温泉施設ではなく、「大山」という地域資源に対する理解を深めてもらう場。この施設に対する運営側の気持ちが伝わってきます。

山小屋風のレストラン

この施設は、大山エリアの活性化プロジェクトの一翼を担う施設としても位置付けられており、今後も大山周辺エリアで様々な活性化策が取り組まれるようです。その一環か、この施設の対面には、足湯が整備されており、無料で開放されています。大山の山並みを眺めながら足湯でゆっくりするのもいいでしょう。新たな温泉を核にして地域の活性化が図られるということは、温泉開発に携わる企業としても、素晴らしいことだと感じますし、是非とも成功してもらいたいという気持です。次回は季節を変え、新緑の時期にまた訪れてみたいと考えています。

2013
11.20

2013年11月17日(日)、松江市のくにびきメッセで開催された「2013松江市環境フェスティバル」に、地中熱ヒートポンプ空調システムの紹介を出展しました。この催しは、松江市の主催により、松江市民をはじめ、環境に関心の高い事業者、NPO、行政・自治体、教育機関、報道関係者などの参加を募り、環境関連の情報発信や交流イベントなどを通じて、市民の環境意識を啓発することを目的に開催されるものです。当社も松江市に本社を置く企業として、また「地熱・地中熱」という再生可能エネルギーに取り組む事業者として、その一翼を担うべく出展しました。今回初めての参加となりましたが、こういった催しに出展すること自体が、会社の地力を上げることにつながると感じました。また、様々な方にご支援を頂くことができました。準備と当日の出展を通じた気づきと学びをまとめておきます。

ブースの様子

1.「地中熱」をご縁としたさまざまな支援で乗り切る

今回の地中熱に関する展示準備にあたり、様々な方に支援を頂きました。まず、当社も入会している地中熱利用促進協会からは、事務局の方1名がわざわざ手伝い(もちろん無償)に来て頂きました。また、協会で準備している地中熱の一般的なパネルを貸して頂き、またパンフレット等を提供頂きました。各地で会員がこのような取組みをする際には、支援を行っているそうです。本気で地中熱の普及に取り組もうとされている素晴らしい組織だと思います。こういった方々の強い想いを受ければ、この山陰地域で地中熱の普及促進に取り組もうという気持も高まってきます。

また、今回、地中熱のPRに際して大きな役割を果たしたのが、「地中熱模型」です。これは、独立行政法人産業技術総合研究所(以下、「産総研」といいます。)が作成されたもので、今回、貸し出しをお願いしたところ快く応じて頂きました。この模型は、住宅の地下に地中熱交換用のパイプを埋設したところをイメージしたもので、冬場・夏場、それぞれの季節の熱交換のための水循環をLEDで表現しています。この「模型」というものは、こういった展示会のような場では効果絶大なのだと実感しました。となりで地中熱のDVDも流していたのですが、やはり人が立ち止まるのは模型の前です。そこで関心を持った方に説明をする。もしこの模型が無ければ、立ち止まる人はずいぶん少なかったかもしれません。時と場合に応じたアピール方法の重要性を再認識することができました。

出展に向けては社員のみなさんが色々なアイデアを出してくれました。そこに地中熱を通じて知り合った様々な方の支援を受け、今回のブースを設営することが出来ました。たくさんの方々の協力を得てこそ、できあがった取り組みです。多くのご縁があってこそ、この出展が出来たことに感謝し、また次のステップに進みたいと考えています。

模型を使った説明の様子

2.地熱利用ゲームが思いのほか好評~伝えることの楽しみとむずかしさを学ぶ~

今回、出展に際した企画の一環として「地熱利用ゲーム」というイベントを準備しました。このゲームは、子どもでも楽しめるクジ引き式のゲームで、前述の産総研さんが地熱利用の理解促進を目的に、楽しみながら地熱について学べる取り組みとして構築されたものです。こういったゲームがあることをインターネットの記事でたまたま知りました。今回、産総研さんに環境フェスティバルでの地熱利用ゲームの活用をお願いしたところ、快く進め方の指導や資料提供等を提供頂き、今回の会場で実施することが出来ました。産総研のご担当者様には改めてお礼を申し上げます。

この地熱利用ゲームは、「あなたは地熱開発会社の社長です」という設定で進めます。ボーリングによって色々な温度の熱水が得られた(カードで引いてもらう)と仮定して、それを何に使うか(発電、温泉、養殖、ハウス栽培、融雪、等々)考えてもらう、という進め方です。利用方法を考えた後、説明用資料(回答的なもの)を使って、実際にどの程度温度で、どのようなことが出来るのか学んでもらいます。特に、カスケード利用と呼ばれる、熱水の多段階利用についてよく分かるようになっており、子どもだけでなく、大人も勉強になる面白い仕組みになっています。

今回、このゲームを新入社員と事務系職員の2名で担当してもらいました。まず、自分自身が理解することが必要であることと、さらにそれを子どもに教えながらゲームとして進めるということで、最初は苦心したようですが、実際の会場では思いのほか人が集まり、それぞれに楽しみながら学んでもらえたようでした。元々は、子どもをターゲットにしていたのですが、比較的年齢の高い方も興味を持ってブースを訪れて頂きました。地熱という再生可能エネルギーも段々と認知度が増してきており、興味を持つ方が増えているのではないかという感触を得ました。今後とも機会があれば、このような取組みを継続し、少しずつでも地熱エネルギーも理解促進に貢献していきたいと考えています。

地熱利用ゲームの様子

3.フェスティバルをきっかけに出来ていないことを前に進める

今回の参加の目的の一つに、「参加をきっかけに出来ていないことを進める」ということがありました。それは、会社及び地中熱のPR資料等を整備することです。本社屋への地中熱ヒートポンプ空調システムの導入から1年、ある程度の結果が出たところで、その成果をPRしていくための資料を準備しないといけません。また、今年完成した「スモールZEB」も今度はそれを使ってアピールしていくことが必要です。しかし、日々の業務に追われて、中々思っていることが出来なかったのが実態でした。

だからこそ、この環境フェスティバルに出展すると決め、それに向けて説明PR用資料を新たに作成することのきっかけにした訳です。そして、あわせて、会社案内や封筒、名刺などもデザインをリニューアルしました。いつかいつか、と思いながら出来ていなかったことが前に進んだことも、このフェスティバルに出展した効果だったと考えています。

そして、関わり合う社員全員が「地熱・地中熱」に関する知識を本気で学ぶ環境を作ることにつながると考えています。当社における地熱・地中熱の活用は、新規領域開拓の一環であり、社長である私と一部の社員が取り組んでいます。直接関与しない社員にとっては、正直なところよく分からないというのが実態でしょう。しかし、今回のような場に担当者として出かけることで、全くの無知でいることはできなくなります。自分なりに理解を深め、説明できるようにしておかなければなりません。今回の対象が、一般市民のみなさんであったことは、その説明のハードルを低くすることにもつながりますので、取っ掛かりとしてはとてもよかったと感じています。

今回、日曜日の開催であったため、多くの社員がフェスティバルの見学がてら応援に来てくれました。本当にありがたいことです。そういった会社を上げての取り組みであることを認識してもらう意味でも、意義ある出展だったと考えています。

松浦松江市長も来場

今回の出展も、最終的には当社の新たな受注につなげることが目的です。しかし、市民向けのイベントであり、直接的な商談を行う趣旨の催しではありません。あくまで、周知広報が主体となります。しかし、実際に出展して一般市民の方とお話し、また、時に企業の方とお話をするにつれ、この地中熱という再生可能エネルギーに対する期待感を感じることができました。また、あらゆる方々に対して説明する立場になる事、またその説明の場数を踏むことで、我々自身の成長につながることを実感します。また、“知らなければ選択肢に入らない”ということも痛感します。だからこそ、「地中熱」というエネルギーの存在をもっと広く知ってもらうこと。それと並行して、技術的、性能的な検証やデータの活用を進めていくことが大事だと感じています。今後とも、このような機会への積極的な参加を通じ、会社のレベルアップと地中熱というエネルギーの普及促進に取り組んでいきます。

2013
11.14

2013年11月13日(水)、島根県商工労働部雇用政策課が主催する、平成25年度「人財塾」にて、経営体験を報告させて頂く機会を頂きました。この塾は“地域産業の振興を牽引する次世代リーダーの育成”を目的に企画されており、県内外の魅力的な経営を行っている中小企業経営者や、「日本でいちばん大切にしたい会社」著者の坂本光司・法政大大学院教授による講義、優良企業視察等から構成される経営の勉強会です。私も、平成23年度、平成24年度と参加させて頂いており、OBとして体験報告させて頂いたという形になります。このような機会を頂いたことに感謝し、今回の報告を通じて感じたことをまとめておきます。

報告の様子

1.自分自身の振り返りと立ち位置の確認~社員満足度把握で次のステージへ~

昨年度、島根同友会松江支部7月例会にて、経営体験を報告させて頂く機会がありました。それから1年4カ月が過ぎ、それ以降の取り組みを踏まえて再度報告させて頂くこととなります。改めて感じるのは、「報告者が一番勉強になる」ということです。1年4カ月前から比較して自分自身、そして自社にどれだけの進展があるのか。経営指針に定めたことがどれだけ実践できているのか。まとめて振り返る大変よい機会となりました。

振り返りを通じ、出来ていること、出来ていないこと、明確になるがゆえに、大いに反省しなければならない点も見えてきます。自分自身が怠けていた、逃げていた、と思える部分が多々ありました。また、経営を担うようになってまだ5年足らずですが、この間の、自分自身の気持ちの変遷をたどることで、現在の自分の立ち位置を把握できます。1年目、2年目よりは間違いなく自分自身がよくなっているという自負はあります。しかし、会社は、社員はそこまで感じているのか、実感出来ているのか、という疑問も同時に湧いてきます。

今回、報告だけでなく、その後のグループワーク(グループ討議)にも参加させて頂きました。その際に、ある会社の経営者の方から「従業員満足度調査」を毎年実施しているという話を伺いました。その中では手厳しい意見も多々あるそうですが、一つ一つ受け止め、少しずつであっても改善につなげているというお話でした。それを聴いて感じたのは、「経営指針を策定した」「経営指針に則って取り組みを進めた」ということの結果、社員はどのように感じているのかを把握するステップが、当社にも必要ではないかということです。

経営指針によって、経営の方向が見えない不透明な状況からは脱した。その次は、社員の満足を高めさらなる飛躍に向けた一体感をつくり出していかなければならない。そういうステージに進む時期が近付いていると感じています。正直、社員と向き合い、社員の声を聴くのは、勇気が要ります。しかし、それに向わなければその次のステージもない。そう感じさせて頂く、貴重な機会となりました。

2.経営指針の実践と学び続けることの重要性

1年間を通じて計6回開催される人財塾の最終成果は、参加者各人が作成する「経営ビジョン」です。これを次回(第6回)に発表する予定です。今回の私の報告は、それに向けた内容をという要望を頂き、私自身が経営指針を策定した経緯などについて話をさせて頂きました。呼び方は色々あれど、人財塾においても“経営の方向性を示す”ということを最終のアウトプットとしています。どのような学びの場であれ、経営者が経営の方向う性を示すことの重要性は変わらないと言う事です。しかし、方向性を示して終わりではありません。

今回、私の経験を通じて人財塾のみなさんにお伝えしたことの中に、経営指針の実践と学び続けることの重要性、ということがあります。当たり前のことですが、経営の方向を定めても、その実現に向けた様々な実践が伴わなければなりません。立派なビジョンも机の中にしまっていては、意味が無い訳です。そして、そのためには、「継続して学び、実践し続ける環境をつくることが大切」だと、実感しています。人間だれしも弱い部分があります。実践すればいいのは分かるけど、ついつい先送りしてしまう。私も、様々な仕事が重なってくると、新たな事への挑戦や改革に手をつけるのがおっくになることが多々あります。それを打破してくれるのが、学びの場への参加です。同友会等で定期的に開催される例会に参加することで、「やらなければならない」という、挑戦する勇気をもらうことが出来ます。

人財塾は年間6回、2年目まで継続参加できるというルールで運営されています。それが終わった後はどうするのか。人財塾OBで引き続き学びの場をつくるという選択肢もある(実際、「人財塾ネクスト」というOB会があります)でしょうし、自らのスタイルや考え方に合った学びの場に参加するという選択肢もあるでしょう。いずれにしても、人財塾という場で気が付いた学びの重要性を継続する環境は、塾生のみなさんでそれぞれ創り出さなくてはなりません。そうしてお互いが切磋琢磨していくことで、島根の素晴らしい会社が増え、引いては島根全体の活性化につながるのではないかと考えています。

3.新たなご縁をつなぐ場~経営者の視点、社員の視点~

前述のとおり、今回、報告だけでなく、グループワーク、さらに懇親会の場でも塾生のみなさんと交流させて頂きました。そこで感じるのは、まだまだ私の知らない素晴らしい島根の経営者の方々がいらっしゃるということです。考えてみれば当たり前なのですが、私が日頃活動している経営の学びの場では出会えない方々がたくさんいらっしゃいました。そういった方々に時間をとって頂き、当社のことを紹介できること自体が、大変価値のあることです。本当に感謝します。

そしてもう一つ、塾生の中には一般社員の方々が含まれている点も大きなポイントと感じました。その方々は、各社における将来の幹部候補として参加されている訳ですが、現時点では経営者ではなく、一社員に過ぎない。その立場で全国の優れたたくさんの経営者の話を聴き、また、その会社を訪問して現場を見る。その刺激や気づきを各社に持ち帰ることで、それぞれの会社が変わり、飛躍していくきっかけになるでしょう。そして、そういった社員の方々とグループワークで意見交換することで、社員の視点からみてどう感じるのか、率直な意見を聴くことができる点にとても意義があります。

それは、「立場は違うが利害関係はない者どおしの議論での気づき」という観点です。自社の経営者から言われると何か裏があるのではと勘繰る人もいるかもしれません。自社の社員から言われると、我がままに聞こえる場合もあるかもしれません。そういった利害関係を抜きにして、かつ、会社を良くする、いい会社をつくるという、共通の認識を持った上で話をする。当社の社員も今後このような場に参画し、様々な立場の考え方を学んでもらうことが必要ではないかと感じたところです。

全体の様子

今回の報告内容は、2012年7月10日に島根県中小企業家同友会の松江支部7月例会にて報告させて頂いた内容をベースにしています。当時は、経営者になってから3年3カ月、今回は4年7カ月です。わずか1年と少し経験が長くなっただけですが、この間にはやはり大きな変化があります。それは、「経営指針」を策定し、それに基づいて事業運営をしているという点です。経営指針があるからこそ、自信を持って取り組める、迷いなく進むべき道を進めます。もちろん、経営指針に示した当社の方向性が絶対的に正しいとは限りません。軌道修正が必要な時もあるでしょう。しかし、目的を明確にした上でチャレンジした結果と、やみくもに思い付き取り組んだ結果とでは、後に残るものが全く異なるはずです。わずかな期間、わずかな経験ではありますが、私なりの取り組み経緯が、島根の将来を担う経営者のみなさんに少しでも役立てば幸いです。そして、意欲ある人財塾のみなさんから刺激を受け、私もまた気持を新たに経営に取り組みたいと考えています。

2013
11.07

今回は、このところ当社や私を取り巻く新たな取り組みや動向についていくつかの話題をまとめています。いずれもこの1~2カ月で具体化してきたことです。今回取り上げた、「まちエネ大学」、「職場実習受け入れ」、「ミラサポ」、の3つ。いずれも、これまでお世話になった方々とのご縁がつないでいるものです。さまざまなご縁をつないできたからこそ、今の動きがある。ご縁をつなぐために動けばこそ、新しいご縁もやってくる。そう感じながら、今一度のその意義を整理してみたいと考えています。

まちエネ大学山陰 プレイベントの様子

1.まちエネ大学~エネルギーは人と人とをつなぐコミュニケーションツール~

2013年10月31日、「まちエネ大学」のプレイベントに参加してきました。この事業は、再生可能エネルギーの普及促進施策の一環として、経済産業省が実施するものです。地域の再生可能エネルギー普及を目指して、地域金融機関や自治体と連携して短期ビジネススクールを開催し、新たな再エネビジネスの発掘を目指すとのことです。全国5都市(北海道、東京、滋賀、和歌山、島根)にて、再生可能エネルギービジネスに関心をもった人を対象に、プレイベントも含めて各5回開催する予定です。

全国5箇所の中に、「島根(山陰)」が含まれています。なぜ島根が取り上げられたのか、よく分かりませんでしたが、これは大きなチャンスではないかと感じた訳です。当社は、江津市の有福温泉のみなさんと協力し、地熱発電(バイナリー発電)の実現に向けて取り組んでいますが、そのためにも是非とも参加してみたいと考え、申込を行いました。今後、11月から3月まで、本格的な講座が始まります。プレイベントの感想としては、国の事業として実施する取り組みにしては、とてもくだけた、ゆるい感じを演出されている点。再生可能エネルギーをビジネスにしようという趣旨がある一方、楽しく学ぶ、つながりを大事にする、といったことも強調されており、今後が楽しみなイベントだと期待しています。

イベント冒頭、『パワー・トゥ・ザ・ピープル』というドキュメンタリー映画を視聴しました。オランダやデンマークなどでの再生可能エネルギーの普及活動、島全体で100%クリーンエネルギー化の実現などの事例が紹介されていました。映画の根底にあるメッセージは、「グローバルからローカルへの転換」。事例として、電力会社に頼らず協同組合を設立して自らエネルギーを創りだす地域住民の紹介がありました。これは、エネルギーにあわせてお金も地域で循環させる、ということを示しています。地域経済でみれば、これは経済の仕組みの大きな転換になるとも言えます。我が国でも再生可能エネルギーへの注目が集まり、特に地域でどのようにそれを活かしていくのかは大きな課題です。大資本によるメガソーラーばかりが再生可能エネルギーの普及ではありません。それもいいし、地域ならではの仕組みもある、という状況こそ面白い。それをつくりだすのは、地域にすみ人々の熱意とアイデア。そう感じさせてもらえるドキュメンタリーでした。

もう一つ、イベントの中で、グループワークとして近くの参加者の方と意見交換する時間がありました。その発表の中で、「エネルギーは人と人とをつなげるコミュニケーションツールになりうる」という、とても印象に残るコメントを聴きました。目からウロコです。私は、再生可能エネルギーがビジネスチャンスだと思って参加していますので、端的に言えば『エネルギー=金』という認識です。しかし、この方は、エネルギーという切り口で話をすれば、年齢・性別・職業が異なる人たちの間で、コミュニケーションの切り口になると捉えた訳です。そういうとても幅広い捉え方ができるのも“エネルギー”の特性だという発見も、このイベントに参加したからこそです。そして、今後、地域で再生可能エネルギーの普及を図ろうとする時に、地域住民の方々の理解促進をどう図るのか、を考えていく上でとても大事なことだと考えています。

このまちエネ大学の受講を通じ、私自身も地域における再生可能エネルギーの意味を今一度真剣に考える機会にしたいと考えています。

2.職場実習受け入れ~実習生の目に映る当社の姿を知る~

このたび、島根同友会でもお世話になっている(有)Willさんいんさんからご紹介を頂き、離職者の方に対する職業訓練事業の一環として、職場実習の受け入れをさせて頂くことにしました。期間は11月半ばから12月半ばまでの1カ月間。2名の方の受け入れを行う予定です。ちなみに、前述の「まちエネ大学 山陰」は、Willさんいん代表取締役の長谷川さんが全体ファシリテータを務められるとのこと。これもご縁です。

この職場実習は、島根県の東部高等技術校から(有)Willさんいんさんが受託され、現在は離職していて再就職を目指している方々のために、各種ビジネススキルを身に付けるための訓練を実施されています。職場実習はその一部で、実際の企業の現場で働くことを通じ、訓練の成果を活かすとともに、訓練を受けている方々の気づきや実践的な学びを得ることを目的とされています。そのことは大変意義があると思いますし、当社での経験も何がしかの役に立つのではないかと考えています。

もちろん、受け入れる事による実務的なメリットがあります。失業保険を受給されて訓練をされている方々なので、受け入れ側から賃金を払う必要はありません。1カ月間タダでバイトしてもらえるのと一緒です。もちろん、それに見合う仕事を準備しないといけませんが、いつかいつかと思いながら中々既存の要員では手をつけられない整理事務やまとめごとを準備して、対応をお願いしたいと考えています。

そして、今回の受け入れを決めた一番に理由は、当社を知らない方に一定期間当社で過ごして頂くことで、この会社がどのように見えるのか、どのように感じられるのか、聴いてみたいと考えたからです。訓練にいらっしゃる方は、以前は何らかの形で就職されていたものの、何らかの都合で離職され、今回再就職を考えていらっしゃいます。ですから、当社以外の職場で何らかの仕事をした経験をお持ちです。その方々が当社の仕事の内容とやり方、そして当社の社風・雰囲気、といったものに対してどのような感想、印象を持つのか、大変興味深いし、1カ月後の訓練終了時にそれを聴き、今後の改善に活かすことができればとても価値あることではないかと考えています。

単なる労務を提供して頂くだけの1カ月ではなく、お互いに学びと気づきのある1カ月にしたいと考えています。

3.ミラサポ~中小企業・小規模事業者の未来を切り開く~

ミラサポ」とは、“中小企業・小規模事業者の未来(ビジネス)をサポートするサイト”とのキャッチコピーで中小企業庁の事業で設置運営されているポータルサイトです。島根県においては、山陰中央新報社さんが事務局を務められています。

ミラサポのサイト機能は、大きく2つに分けられます。一つは、「施策ポータル」。中小企業を支援するための施策情報を網羅的に整理したもの。もう一つは、「コミュニティ」。いわゆるSNSで、フェイスブックなどでもおなじみですが、ビジネス用途で活用する前提であること、さらに中小企業者だけでなく公的な支援機関の方々の登録で構成されている点が特徴です。

このミラサポ。2013年10月17日に本格版が運用開始されたばかりで、まだまだこれからのサイトです。施策ポータルは、現状では所管官庁である中小企業庁の施策の情報が中心ですが、省庁横断的に、都道府県・市町村もあわせてワンストップで情報提供されれば、利用価値も高まるのではないかと思います。もう一方のコミュニティは、ビジネスの情報交換に特化されていること、さらに、都道府県別のグループが当初から立ち上げられており、身近な地域で事業展開する中小企業や小規模事業者どおしの新しいご縁をつなぎ、交流を促進させるという期待もあります。

先日、『第1回「ミラサポ」地域会合(島根県)』という会合が開催され、私も島根県の会議メンバーとして出席、意見を述べさせて頂きました。この時、3年後に100万人(中小企業者と支援者の合計)の登録を目指しているというお話でした。登録にあたり特段の資格は必要ないらしいので、基本的に誰でも登録できます。多くの意欲ある事業者や支援者の方々がこのサイトに集ためには、ただ集うだけでなく「思いがけないことが起こる仕掛け」が必要との意見がありました。思いがけない発見、思いがけないご縁、がここに来れば期待できる。そういうサイトであり、コミュニティになるよう、いかに今後の構築を進めていくのかが、重要になってくると感じています。

一方、このコミュニティ機能に関して言えば、フェイスブックで十分じゃないか?、他の団体にも同じような仕組みがあって重複してめんどくさい、など、私自身も、必要性そのものに懐疑的な気持ちもあります。いずれにしても、このようなシステムは、役に立つものになれば伸びていくだろうし、役に立たなければ廃れていくでしょう。フェイスブックとて、いつまで現在の形で利用できるか分かりません。フェイスブックでは出会えない、ミラサポでこそ出会える方もいます。せっかく国の予算を使って立ち上がったシステムです。否定的な見方よりも、インターネットを使ったコミュニティ機能でビジネスを伸ばしていくための選択肢の一つとして、今後とも動向を注視し、また活用の可能性を探っていきたいと考えています。

ミラサポ第1回地域会合(島根県)の様子

このところ、さまざまなご縁がご縁を呼び、日々、新しい出会い、新しい発見を頂いています。色々な事に手を出して一つ一つがおぼつかなくなってはいけませんが、尊敬する経営者の一人である㈱さんびる代表取締役 田中正彦さんは、「経営者の仕事はどれだけご縁をつなぐかだ」と言われます。その言葉の意味を改めてかみしめ、私自身も様々なご縁をつなぎ、生み出していけるよう、引き続き挑戦し続けていきたいと考えています。