2014
06.27

2014年6月25日(水)、当社も加入している(一社)島根県測量設計業協会及び中国地質調査業協会島根県支部の共催で、県内の土木系コースを有する高等学校(松江工業、松江農林、出雲農林、益田翔陽)の進路担当者の先生方との意見交換会が開催されました。業界団体としての開催は初の試みで、測量・設計業務、地質調査業務における技術力の維持・確保に向けた後継人材育成、県内就職希望者の確保と雇用拡大に向けた取り組みの一環として企画、開催されたものです。参加者は、前述の各高担当者と、島根県測量設計業協会の役員、及び中国地質調査業協会島根県支部の役員です。私は、中国地質調査業協会島根県支部の役員として参加させて頂きました。大変有意義な会となりましたので、その様子をまとめておきます。

意見交換会の様子

1.土木・建設に関わる仕事に対するイメージの払しょく

今回の意見交換会を通じて改めて感じたことは、土木、そして建設関連業に関するイメージを変えていくことの重要性です。

公共事業不要論等に代表される土木・建設関連業会に対する負のイメージが定着してからずいぶんと長い時間が経つように感じます。色々な考え方があると思いますので、公共事業の批判もあってしかるべきでしょうし、中には不適切な事業もあるかもしれません。しかし、ひとたび公共事業不要論のようなものが世論を席巻すると、1か0かという議論になりがちで、公共事業・建設業=悪・利権、的なイメージで語られる場面に出くわすのは残念なことです。

しかし、全国的にみれば、東日本大震災をはじめとした頻発する大規模災害を目の当たりにし、我が国の自然特性を踏まえた土木・建設事業の必要性を改めて考えなければならないでしょうし、島根県内では昨年の県西部豪雨災害などを通じ、土木技術や建設業の重要性や地域への貢献などが再認識され、受け止めに変化が出てきたようにも感じます。

今回改めて気づいたのは、土木・建設関連業に関する悪いイメージが定着する事に対し、残念な気持ちで過ごしてきたのは我々関連業界の者だけでなく、それに関わる技術を教える学校の教員のみなさんも同じだったということです。自分の教えている技術を活かす職場が世間から悪く言われては、教員の側も士気にかかわります。「そうじゃやないだろう」という思いは一緒でした。そういう気持を共有し、お互いの立場で改善して行かなければならないという共通認識を持つことができたのは、とてもよかったと考えています。

2.離職率の低い業界~定年まで勤められる仕事~

今回の意見交換会で明らかになったことの一つとして、県内において測量設計業・地質調査業に就職した高校生の離職率が低い、ということがあります。

現在、島根県内の高卒新卒者の3年間離職率が40%を超えており、非常に問題視されています。しかし、測量設計業・地質調査業に限って言えば、全く情勢は異なります。測量設計業協会の調査によると、過去5年間の会員企業における高卒者の採用数28名のうち、離職した者の数は0名でした。また、松江工業高校の調査によると、過去3年間の同校卒業生の離職率(平成26年5月1日時点)は6.2%だったという結果が出ています。我々の仕事に限りませんが、一人前になるまでに時間がかかる職種というものがあります。長年の経験、先輩からの技術指導・継承、そういったものが必要な仕事です。だからこそ、長く勤めてもらいたい訳ですが、データが示すように実際に長く勤める事が出来ているという実績は、業界としての大きなPRになると考えています。

近年、高等学校の卒業生の就職先の選定に際し、親の意向が大きく反映される、という実態があるそうです。本人と学校は前向きでも、最終的に親が反対して就職先が変更になる。そんな事例が少なからずあるそうです。親とすれば、子どもにいい条件の職場に就職してもらいたいというのは当然でしょう。その時に、前述の土木・建設業界に対する“イメージ”が影響を与える、ということも含みおかなければなりません。だからこそ、業界全体のイメージアップが必要ですし、それに加えて、「離職率が低い」というデータも定着を推進していくための重要な要素として今後とも努力していきたいと考えています。

3.地元高校出身者が活躍する姿をPRしていく

今回、主催者側の協会会員企業に所属する、計4名の各高卒業生からプレゼンテーションを行いました。測量設計業、そして地質調査業の仕事の内容や面白さ等について、短時間で説明を行いました。各高の先生方にとっては周知の内容であったと思いますが、改めてプレゼンテーションしてもらいました。次のステップとしては業界のPRのために各高に出向いて説明を行うことを想定しています。

各高の卒業生が、自信を持って自分達の仕事の必要性や意義を語る。今回、当社の社員は担当していませんでしたが、次の機会には、当社の社員たちにもこういった機会を頂き、ぜひ自分の仕事について話をしてもらいたいと感じました。

参加した先生方からも、社長や幹部社員の方の話も大事だが、年の近い先輩から会社のことについて率直な意見を聴けることも大事だ、という意見を伺いました。あわせて、仕事の現場を実際に見てみる中で、その会社の雰囲気を感じることで、入社意欲を高めていくことが大事だとの指摘を頂いています。そのためにも、業界全体として定期的な新卒採用を継続し、高校生からみた身近な先輩が各社に居て、常に話を聴けるような環境づくりが求められるのでしょう。

なにより、自分の仕事について、社内外の人に自信を持って紹介、説明できるということ。働いていることが誇りに思えるということ。そういう業界、そしてその中でも特徴を持って世の中に必要とされる会社を目指していく。そのことの必要性を改めて認識させて頂く機会となりました。

プレゼンテーションする各高卒業生

島根県測量設計業協会と中国地質調査業協会島根県支部、この2つの協会(入会企業はほぼ重複しています)の総雇用者数は約2,000名、うち1/4の約500名が県内の土木系コースを有する高等学校の出身者です。当社でも、松江工業高校をはじめとした県内高等学校卒業生が頑張ってくれています。さらに、当社では次年度、高卒の新卒採用を予定しています。そのような中で、前述のような話題の他、各高の状況や進路状況について確認できましたし、我々の業界が地元の人財を求めていることを強くPR出来たことの意義は大きかったと考えています。今後とも我々の業界が地元高校卒業生の雇用の受け皿の一つになり、共に地域を担っていくことができるよう、努力していきたいと考えています。

2014
06.20

協和地建コンサルタントが新卒採用に取り組み始めて3年。これまで計4名(高卒2名、大卒2名)の新卒者が入社しました。そして、次年度は高卒の採用を予定しています。平成27年度採用に向けて、いよいよ高卒者の求人がスタートするのに伴い、これまでの3年間を振り返り、何を当社にもたらしたのか、社内がどう変化してきたのか、振り返ってみました。「新卒採用が会社を変える」ことは間違いない事実だと考えています。勇気を持って新卒を採用する、それを継続する、そのことに向けた新たな決意にもしたいと考えています。

1.新しい出会いから長く付き合うことでお互いを理解する

新卒採用3年目の今年度に入ってから、社内の雰囲気がさらに変化してきたと感じます。

毎年毎年の変化はもちろんありますが、一段と平均年齢が下がり、職場に活気が出てきたように感じます。この2年で採用したのがいずれも女性だということも大いに影響があります。では、その“活気”とは何なのか。言うまでもなく、若い社員が入ることで、先輩社員は若手を指導し、教えながら仕事を進めなければならなくなります。だから自然と会話も増えてくる。長く固定的なメンバーで仕事をしてきた当社では、これまでは、あまり話をしなくてもいわば阿吽の呼吸と経験で仕事を進めることが出来た面があります。それが、新人の加入によって“話”をしなければ仕事が進められなくなる。そのことで社内に新しい情報交換や交流が起こり、その中から新しい気づきや発見が生まれる。一つ一つは大げさなことではなく、些細なことだと思いますが、日々の繰り返しと積み重ねが、“活気”というものとして見えてくるのではないでしょうか。

もっとも、会社の雰囲気と会社の実力が比例しているかどうかはわかりません。新人が増えた分、非効率になっている部分もあるでしょう。しかし、新人の失敗も含めて会社の力に変え、フォローしながら仕事をつくり上げていく。そういう雰囲気が出始めているのではないかと感じています。そして、いい雰囲気がさらにいい雰囲気を呼び込む、という面もあります。因果応報。気持よく接すれば気持よく返される。そのよい循環が途絶えないよう、気を付けて行きたいと考えています。もっとも、全体とすれば良好な雰囲気に感じられても、個々には“合う・合わない、苦手・話しにくい”、など色々あるかもしれません。この点については、短期的なものの見方ではなく、長く付き合うことでお互いの良いところ・悪いところを知り、その上で付きあっていく、ということが必要ではないかと考えています。

というのも、島根県内の新卒者の3年離職率が高い、ということが問題になっています。私もこの会社に来てから6年目ですが、社員との人間関係のことで言えば、まだまだ理解できていないことだらけです。もっと努力が必要です。3年では何も分かりません。だが、その3年が我慢できない。その理由に人間関係があるのも事実です。その3年の壁をクリアし、5年、10年、20年、そして定年までしっかりと働き、いい人生だったと振り返ることのできる社会人生活を送れる会社になれるよう、努力していきたいと考えています。そういうことが考えられるようになったものも、新卒採用に取り組み、いい社員が入社してくれたからこそだと感謝しています。

H24年度新卒採用2名…今ではすっかりたくましくなりました

2.先輩社員の自覚と教えることによる成長

新卒者の入社によって得られたものとして、先輩社員の自覚と“教える”ことによる自分自身の成長、が大きいと考えています。

長らく新卒採用から離れていた当社には、新卒者を教育する仕組みがありませんでした。仕組みはもちろん、先輩社員も指導するという経験もない。社長である私自身もそうです。大手企業や中堅企業であれば、いわゆる“キャリアプラン”のようなものがあり、どの程度の経験でどのような職能や技術を身に付ける、といった育成の目安もがあるでしょう。当社の場合も、資格の取得や任せられる仕事の難易度などの面での目安はあります。しかし、それは漠然としたもので、では、どういうステップを踏んでその段階をクリアしていくのか、といったことを明示したものはありません。

それでも、新人が入ってくれば仕事を教えなければならないし、新人の仕事も含めて会社の成果を生み出していかなければなりません。そして、教えるためには自分自身が本当に理解していなければならない。よく言われることですが、教える自分が一番勉強になる。むしろ、新人が入る事によって、一番成長したのは私も含めた先輩社員たちではないかと考えています。面倒くさがらずに、分からないなりにもそれぞれのやり方でしっかりと新人を指導、教育してくれた社員のみなさんに本当に感謝しています。

後輩が入ってくることによる期待、会社が今後も伸びていくのではないかという展望、それを何となくでも感じてくれているからこそ、しっかりと指導に取り組んでくれているのだと考えています。今後は、それを継続していくことが必要です。今の新人もあと数年すれば中堅社員となります。その時に、指導していく後輩がいなければならない。だからこそ、新卒採用とは継続していかなければならないと実感しています。

平成25年度新卒採用…初の女性新卒者(大卒)

3.社長が前面に立ち、社員とともに採用していく

平成27年度の新卒採用は、ボーリング現場を担当する高卒者2名を募集します。次代の当社を支えるオペレーターとして育ってくれることを期待しています。平成28年度以降も、毎年1名以上の採用を予定しています。これまで技術系の職員を採用してきましたが、今後は、営業など事務系の職員の採用にも取り組みたいと考えています。

現在決めているのは、毎年1名以上の新卒採用を行う、ということだけです。日々変化する状況と当社が目指すべき方向性の整合を図りながら、中途採用者も含めた人財確保を進めていく、というスタンスでもうしばらく進みたいと考えています。中長期的な採用計画が詳細に決まっている訳ではありませんが、そう遠くないうちに、組織構成についてある程度の見通しを立てながら採用計画を立案できるようにしていきたいと考えています。

また、現在は、社長である私が採用活動の全てを担っています。それはそれで重要なことであるし、今後とも人任せにする考えはありませんが、いずれは、社内に“採用チーム”のようなグループをつくり、エントリーの受付から事前の見学やフォローアップなどに社員が係わりながら採用を進めていくような形を取りたいと考えています。

そしてもう一つは、インターンシップの活用です。インターネットを通じた社内情報の発信には心がけていますし、このブログもその一環です。しかし、実際に社内や現場を訪れてその仕事を体感することに勝るものはありません。百聞は一見にしかず。その会社が持つ“空気感”のようなものは、実際に来てもらって感じてもらい、それが自分に合いそうだという手ごたえを感じて、実際の試験に臨んでもらう。そういった形がとれるように、各種の対応体制を整えていきたいと考えています。

H26年度新卒採用…2年連続の大卒採用

当社の新卒採用、今のところ順調に思えます。その理由として、受け入れる側・指導する側の先輩社員たちが、しっかりと面倒を見てくれていることがあります。それがなければ、新人たちも続かないでしょう。その背景には、“待望の新人”が入って来たという盛り上がりがあります。必要性は理解しつつも、長年新しい社員を採用することが出来ない時期が続いてきました。だからこそ、という想いは誰もが持ってくれています。そして、若い社員がその先輩の期待に苦労して応えながら、少しずつ、しかし着実に成長してくれている、ということもその気持ちを更に高めてくれています。そういう素晴らしい社員に恵まれたことに感謝し、その良い循環を継続できるよう、経営の判断としての新卒採用を継続していきたいと考えています。

2014
06.12

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

65箇所目は、鳥取県鳥取市の日乃丸温泉です。訪問日は、2014年6月5日です。

夜の日乃丸温泉(2Fはライブハウス)

日乃丸温泉は、鳥取市の中心市街地内にある温泉で、昔ながらの銭湯のスタイルを残す温泉です。鳥取市中心部にはこの日乃丸温泉以外にもいくつかの温泉施設があります。明治時代に飲用の井戸を掘ったところ温泉が湧出したのがきっかけとされ、かなりの歴史があります。一時はかなりの数の施設があったようですが、現在では数軒にまで減少し、その中の貴重な一つということです。県庁所在地の中心部に温泉が湧き出るというのはかな貴重な環境と思います。そういったこともあり、この施設そのもののホームページはありませんが、インターネット上には様々な訪問記事があり、注目度が高いことが伺えます。

日乃丸温泉の泉質は、ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉で、pHは6.6という酸性の温泉です。硫酸イオン、塩素イオンのほか、炭酸水素イオンの含有量も高く、成分総計は4.876g/kgと比較的濃い目の温泉と言えます。口に含むとかなりの塩気を感じます。インターネット上の情報では源泉かけ流しという表現もありますが、成分分析表によると源泉温度が低い時には加水、低い時には加温、さらに循環ろ過器が使用してある旨、記載があります。一方、湯船からは結構な量のお湯が越流していましたので、循環式との併用で新しい源泉もかなり投入されているのではないかと推察され、温泉の鮮度は高そうです。泉質面では、ナトリウム-硫酸塩泉の特性として、浴用による高血圧症・動脈硬化症などへの効果、塩化物泉の特性として、塩の“パック”効果で湯ざめしにくいこと、さらに、成分的には、ナトリウム-炭酸水素泉の効果も期待できると考えられ、皮膚の脂肪や分泌物を乳化して洗い流す皮膚の洗浄効果も期待されるところです。実際の入浴感も、入浴後直ぐに肌がすべすべする感触が体感できます。なお、温度はやや高めに感じました。

湯船は石造りで長方形のシンプルな形状ですが、向かって右側が一部深くなっており、知らずに入ると最初はびっくりします。より深く肩までお湯に浸かる事が出来るので、こういった段差もしっかり明示があればより良いと思います。一部がジェットバスのようになっていましたが、よく見ると窓の脇からいわゆる塩ビ管が通してあり、そこからのエアで泡立ててありました。後付けの手づくり風の造作でした。

1F温泉の入口(男と女が分かれているが中ではまた一緒)

洗い場は13箇所。当然、仕切りはありません。シャワーはレバーを横に引くと適温のお湯が出る(温度調整なし)スタイルで、このシャワー水も温泉水が使われていました。たまにシャワーに温泉水を使っている温泉に出会いますが、この温泉はかなり塩分量が多く、口に含むとかなり塩味がしますので、頭にかけるのは気になる人もいるかもしれません。また、基本が銭湯ですので、洗い場にはシャンプーやせっけんの類は一切無く、持ち込みか、番台で購入するスタイルです。ロッカーは、およそ30個で鍵付きですが、扉のないスペースが下段にあり、常連の方の者と思われるシャンプー等がたくさん置いてありました。洗面台は1箇所で、ドライヤーも1つ据え置きがありました。このドライヤーの使用料が1回40円。そして、持ち込みのドライヤーを使用する場合も40円。明確な受益者負担の考え方が新鮮でした。

営業時間は朝6時から深夜12時までという長丁場で、朝風呂から深夜仕事帰りの入浴まで、かなり広範な利用が可能です。なお、道路一本挟んだ向かい側は夜の繁華街ですので、勢いで“〆に温泉”という利用を思い付きそうですが、飲酒した後の温泉入浴はやめましょう。飲酒後或いは飲酒しながらの入浴は、血行が急によくなったり血圧が急上昇したりするので危険です。さらに、言うまでもないことですが、泥酔しての入浴は事故の危険性もあるので絶対に避けましょう。

利用料金は、大人400円。平成26年4月からの消費増税より、若干の値上げとなったようです。なお、私は宿泊したホテルで紹介され、250円で購入したチケットを利用しましたので、中々お得でした。私が訪れたのは平日の夜間でしたが、継続的に利用者が訪れていました。また、休憩室内の冷蔵庫に並ぶコーヒー牛乳やフルーツ牛乳は、いかにも銭湯というレトロ感を際立たせており、なんだか懐かしい気分にさせてもらえます。

銭湯といえばコーヒー牛乳

日乃丸温泉の建物2Fには、ライブ・パブ&レストラン「アフターアワーズ」というライブハウスがあり、これが中々有名なようです。温泉銭湯とライブハウスという一見ミスマッチな組み合わせですが、繁華街に立地している特性を考えれば、新しい魅力を創出するためのチャレンジとしておもしろい試みと感じます。これまで、中々鳥取市内で宿泊する機会がなく、今回初めて訪れることができました。中心市街地にこのような気軽に入浴できる温泉があるのは中々貴重です。次の機会には、また別の温泉を利用してみたいと思います。

2014
06.05

2014年6月3日(火)、松江市内の中小企業5社で立ち上げた「松江3S勉強会」のキックオフ大会が開催されました。キックオフでは、基調講演として、枚岡合金工具株式会社の古芝会長にお越し頂き、『儲けとツキを呼ぶ「経営革新」成功の秘訣』と題して、枚岡合金工具㈱における3S活動の取り組み経緯やその経験を踏まえ、これから3S(整理・整頓・清掃)活動に取り組もうとする5社のメンバーに対して、エールを込めて講演を頂きました。当社からも、社長以下、社員6名が一緒に参加し、講演の聴講並びに、講演後のグループワークを実施しました。その概要を整理しておきます。

古芝会長の講演会(勉強会メンバー以外からも多数聴講)

1.モーションマインドを磨く~時間は誰にでも平等~

今回の講演の中で、「モーションマインド」というキーワードがありました。その定義を調べると、「作業方法または動作方法について、その問題点が判断でき、より能率的な方法を探究し続ける心構え。または、作業や動作の効率化を検討できる能力」とのこと。それを“磨く”ことが、3Sの実践のステップアップにとって非常に重要だということです。

組織の中には、慣れ、当たり前、組織の常識、などがあり、それに浸かり過ぎると、異常を感じる事が出来ず、組織自体が衰退するという危険性があります。3Sは、そういった組織の異常を発見し、改善させる効果がある。社員一人一人、そして職場全体でのモーションマインドが磨かれることによって、仕事の改善が進む。問題はそれをどう身に付けるか。その手段となりうるのが3Sの取り組みという訳です。

今回、3つのモーションマインドについて指摘がありました。1)問題を発見できて、気になってならない感覚、2)問題を発見できて、それを解決できる能力、3)問題を発見出来て、それを解決できる習慣、の3つです。3Sが徹底されていく段階で、このモーションマインドの段階がステップアップすることが大きな成果につながるのでしょう。大事なことは“習慣化”だと感じます。古芝会長も、講演の冒頭、今回松江駅を訪れた際、落ちていたごみが気になり、ゴミ拾いをしたと話をされました。私も、最近では社内にゴミが落ちていると見過ごせなくて拾ってしまいます。そういう意識がより深く、全社に浸透することなのだと理解しています。

そしてもう一点、3Sを極める事を通じて強く意識する概念に「時間」があります。どんなに小さな会社でも、従業員1万人の会社でも、一人一人に与えられる「時間」は平等。その時間を有効活用するのが3S。場所のムダだけでなく、時間の無駄を排除する。週40時間労働とすれば年間労働時間は2080時間。その時間をどう使うかが企業の業績を左右する。まさにその通りなのですが、その認識を経営者が本気で認識できるかどうか、社員一人一人が共通認識を持てるかどうか。3Sによってモーションマインドを育むことでそれが実現に近づくと信じ、今後の取り組みを進めたいと考えます。

2.やるなら徹底的に3Sする~誰にも負けない努力を~

今回の講演を通じて放たれた大きなメッセージとして「やるなら徹底的に3S活動する」、ということがあります。

真似できないレベルまでやる。誰にも負けない努力をする。一つの事例ですが「テレビ番組の取材が来る会社を目指そう。年間○回以上取り上げられるようになろう。」といった目標設定もやり方の一つだと示されました。雑誌や新聞の取材なども同じようなものでしょう。そういったマスコミ取材という象徴的な出来事をきっかけに、取り組む全員が自信を深め、それを励みにまた上を目指す。外の目が入ることが中だるみを防ぐ。徹底が徹底を生み、誰にも負けない、唯一の会社組織が出来上がる。そういう明るい未来を描きながら取り組むのが3S流なのだと感じています。

一方で、3Sの取り組みは、「古い価値観と新しい価値観のバトルだ」という指摘もありました。ある程度の水準になると「もういいんじゃないか」という雰囲気が出てくるそうです。事前ヒアリングに際しても同じような話を聴きました。それを回避する手法の一つが、「見学者の受け入れ」だそうです。前述のマスコミ取材にも通じるものがあります。自分達だけの価値判断ではなく、社外の、できるだけ厳しい目からみてどう映るのか。松江3S勉強会では、参加5社が相互に会社を見て回ることで類似した効果を期待しています。当面の1年間だけでなく、継続的にチェックし合う仕組みが構築することも視野に入れる必要がありそうです。

もう一点、牧岡合金工具㈱では、3Sの取り組みを発展させ、書類・文書管理のITシステムの開発・コンサルティングを新事業として展開されています。当社は、製造業ではないので「工場」と呼ばれる場所はありません。成果品は「報告書」として紙媒体となることが大半です。このため、事務所内には書類が多く、その整理には長年頭を悩ませています。3Sを通じて、その書類探しのための時間を短縮することも、生産性の向上につながる大きな課題だと認識しています。

3.グループワークで問題点の共通認識を持つ

講演の後、事前に各社で準備していた社内の写真(200~300枚程度)を見ながら、社内の問題点を抽出し、その改善方法を検討するグループワークを実施しました。

この写真は、事前ヒアリングの際に指示を受けた作業でした。私がUターンして社長に就任したおよそ5年前に比べると、社内はずいぶんとキレイになったような気がしていましたが、実際に写真を撮ってみると、どこもかしこも突っ込みどころ満載で、やるべきことがたくさん見つかります。ワーク前に実施された古芝会長の講演を聴いて、メンバーそれぞれが心に響いた想いが冷めやらぬうちに作業が出来ました。参加したメンバーで写真を確認して共通認識を持ち、今後の取り組みの必要性を感じることができたのは、大変意義深かったと考えています。今回のワークでは、今後に向けた計画策定の基礎資料づくり、といった段階まででしたが、今後、当社なりの計画を取りまとめる基礎資料として、良いまとめが出来たのではないかと考えています。

グループワークの終了後、各グループから発表を行いました。各社から参加した社員が発表します。発表のテーマは「1年後どんな会社になっていますか?」。これから行う3Sの取り組みが徹底できたとして、その先にある者は何か。会社は、自分達はどう変わっているのか。実は、この質問に対して明確に答えを出せた会社はありませんでした。そこは3Sに留まらない、大きな課題なのだと認識しています。

3Sで、職場がキレイになる、効率的な仕組みが出来る、ということまでは分かる。しかし、それは何のためにするのか。その結果として自分達はどうなっているのか。一社員がそれを明確に描き、発言するレベルまで達することは、難しい事なのだと改めて感じました。確かに、整理・整頓・清掃と、自分達の将来像や人生そのものがどう係わるのか、直観しにくいのは確かでしょう。いずれにしても、経営指針発表会などで、経営者が指し示す会社の将来像も、社員一人一人の目線でみれば、さして腑に落ちていないということです。それが分かったことも学びです。それを、明らかに意識できるようにしていくのが経営者の仕事であり、そのために、この3S活動が大いに役立っていくのだろうと期待するところです。

「定点観測」用写真に基づいたグループワーク

講演の最後に、「3つの言わない約束」について話がありました。1)「昔」のことは言わない、2)他人(ひと)のことは言わない、3)やりもしないで出来ないとは言わない、3つです。3S活動の実践に際して示された言葉ですが、会社経営、さらには人生そのものにも当てはまる、大きな示唆を頂ける言葉だと感じました。今後、3Sの実践の中では色々な問題やハードルも出てくるでしょう。そんな時、私も含めて、ついつい陥ってしまうマイナスの方向性を先んじて封じて頂いたと思います。この3つの約束をしっかりと守り、今後一年間、社員とともに実践を徹底していきます。