2014
07.31

2014年7月25日(金)、松江3S勉強会の「第1回定例会」が、協和地建コンサルタントにて開催されました。キックオフ大会以降、メンバー各社において進められた取り組みを一堂に発表する最初の機会です。また、会場は参加企業持ち回りで、会場となった会社内を参加者全員で“ウオッチング”し、いいところや悪いところを指摘し合う、という取り組みも実施します。外部の目で社内を見てもらうこと、また、外部の方を迎えるということ自体に、大きなメリットや効果があると改めて感じる機会となりました。その気づきを整理しておきます。

第1回定例会での当社発表の様子

1.捨てられないのは、「捨てる基準」が明確になっていないから

今回冒頭の講義では、3Sの最初のS、「整理」についての基礎について学びました。

整理とは、いるもの(生)、急がないもの(休)、いらいないもの(死)に区別し、いるものは整頓してすぐに取り出せる状態へ、急がないものは整頓し保管、いらないものを捨てること!、だとキックオフ講演会でも教えて頂きました。しかし、「でも捨てられない」というのが、多くの人の率直な気持ちであり、直面する壁でもあります。それに対する答えが、「捨てられないのは捨てる基準が明確になっていないから」ということになります。つまり、あいまいな感覚で捨てる・捨てない、を決めている。気分によって捨てたり捨てなかったりするから、迷いが大きくなり、益々捨てられなくなる。

だから、まず第一にすべきは「ルール」を決めること。例えば、“いるもの”とは、半年に一回使うもの、と決める。そして、その後は、3カ月に一回使うもの、1カ月に1回つかうもの…、と段々短くしていく。その期間に良い・悪いがあるのではなく、ルールとして明確にすることが大事、ということです。

もう一つ大事なことは、「例外をつくらない」ということだそうです。ルールを決めて取り組んでいても、例外的な取り扱いに直面することはあるでしょう。単純に行かない部分もある。そういう時、“例外を曖昧にしない”ことが大事で、「ルールを見直す」と言う形で、例外が出てこないようにルールをメンテナンスしていく。まずやってみて、その後問題が出てくればどうするかを話し合いながら決めていく。3Sに限らず、仕事におけるあらゆる場面に共通する基本原則のように感じます。

当社も曖昧なルールが数多く存在する会社です。それをいきなりガチガチのルール化した会社にしようというのではなく、しっかりと話しあって、自分達が守れるルールをつくることが第一ステップ。それを確実に運用することで、「守ることを決め、決められたことを守る」という風土を持つ企業をつくっていくことが目指すべきところなのだと考えています。

2.各社発表で実感する“一緒に取り組む”ことの意義

講義の後は、各社からの発表の時間となり、キックオフ大会以降の各社の取り組みについて初めて報告します。その内容は、各社の置かれている環境や、業種の特性にあわせられており、大いに参考になります。

初回の報告ではありましたが、第一印象としては「各社ともかなり頑張って来た」という感触です。どの会社も経営者が本気で“やる”と明言した上で取り組まれているせいか、アプローチの仕方はそれぞれでも、どの会社も甲乙つけがたい進捗を見せています。これは非常に重要なことで、「次回はもっと頑張らないと置いていかれてしまう」という危機感をお互いが感じたのではないかと思います。元々、5社のコンソーシアムで取り組んでいる意味は、1社あたりの費用を低減させるという目的もありましたが、大事なのは、一社だけでは尻すぼみになりかねないところを、複数社で取り組むことでお互いに競争意識を持たせながら、取り組み意欲を持続させるというねらいもあります。

私自身が興味を持って聴いた各社の取り組みとしては次のようなものがあります。プラチナさん詳細な実行計画を策定し、さらにそのフォロー結果も整理・チェックできるような様式を作っていました。曽田鉄工さんは、廃棄する予定の材料を使って小屋を増設されていました。「捨てるともったいない」という意識が、新しい知恵を生み出すこともあるということでしょう。オーリーさんは、本来は取扱品の一部ではないかと思う中古タイヤやホイール(しかし、ほとんど実際には使われないそうです)を思い切って廃棄し、事務所及び倉庫周辺のスペースを生みだしていました。その思い切りの良さがいい結果を生みだすように感じます。樋野電機工業さんでは、倉庫の整理整頓を行う際、その備品を取りに行くための移動距離を短くするという観点で実施し、実際の移動距離を短縮され、生産性を高めていました。

これら各社の取り組み、着眼点は、業種は違えど、当社のこれからの取り組みに大いに参考にできるものだと考えています。お互いに刺激を与え合い、お互いにいい成果を生み出せるよう、引き続き取り組んで行きたいと考えています。

3.具体的な指摘こそ社内ウオッチングの醍醐味

社内ウオッチングでは、20名弱の参加者が社屋内、倉庫の様子を見て回り、今回は特に“整理”の部分について指摘を頂きました。頂いたシートは今後取りまとめを行い、当社内での次の改善に活かしていきます。

特に、社内を撮影した写真を使った講師の川端さんからの指摘は具体的でした。一例を紹介すると、
1)照明スイッチには“どの部分の明かりがつくのかを表示する”と分かりやすい。
2)玄関の置き傘はしない。置いておくのであれば“お客さま用”とする。
3)掃除道具は適当に置かない。たまにしか使わないのであれば、きちんと保管する。
4)ロッカーは顔写真を張るなどして“自分のもの”と分かるようにして、整理意識を高める。
5)何が入っているか分からない棚は無くす。表示をきちんとし、外から見えるようにする。
6)防災グッズは一番取りやすいところにまとめておく。
7)工事用看板に使うシールが無造作に壁にありつけてある。貼るならきちんと整理して貼る。

などなど、指摘事項はまだまだたくさんありますが、私が一番印象に残っている写真(指摘)があります。それは、「倉庫内にごみが落ちていた」という写真。コンビニの袋と食品の包装といったものです。ごみが落ちているということは、ゴミをゴミ箱に捨てない社員がいるということで、それ自体も問題な訳ですが、もっと深刻なのは、それを見かけても誰も拾わない会社ではないのか、という点。会社の全体意識がそういう方向に向いているのではないか、ということです。ごみが落ちていたら拾う。当たり前のことのようですが、できないことです。自分がしたことではないから知らない、ではなく、気がついた人がフォローしていく、お互いがフォローしあっていく。そういう会社全体の意識、風土、社風を築いていくのが3Sの本質なのではないかと、改めて感じるところです。

社内ウオッチングの様子(倉庫編)

次回の例会は9月末の予定です。それまでの取り組みがどのように進めていくのか、今後チームのみなさんで具体的に検討してもらいます。今回の取り組みは、チームメンバーのみなさんが自主的に進めてくれており、推進の面では私としても非常に楽をさせてもらっています。だからこそ、メンバーが決めて、こうしたいと提案してくれたことは出来るだけ尊重したいし、決めたことは社長自らが率先してやる。そういういいサイクルをつくりながら、この取り組みが継続し、定着していくよう、取り組んで行きます。

2014
07.24

2014年6月3日(火)に開催された松江3S勉強会のキックオフ大会以降、メンバー各社において、第2回定例会に向けた準備が進められています。定例会では、参加メンバー各社を会場として、持ち回りで開催されます。そして、第2回目は、さっそく協和地建コンサルタントに来社頂くことになっています。第2回定例会を直前に控え、当社内での3S活動は予想以上の盛り上がりを見せつつあります。その要因となった事項について考えてみます。

3S着手前の社長デスク(定点観測用証拠写真)

1.身の回りの整理・整頓・清掃から始めることの意味

当社における3Sの取り組みは、キックオフ大会以降、社内の「生産性向上チーム」の4名が中心に計画を策定し、実施に向けて取り組んでくれています。

1年をかけて実施する計画のあらましは、キックオフとして身の回りの整理整頓からスタート、その後、事務室の共用スペースの3S、最後は倉庫の3Sに広げていく、というものです。私は当初、いかにも3Sらしさが感じられる、共通の書棚や物品や資機材のスペース等からスタートしてはどうかと考えていましたが、実際にやってみて、現在の取り組み順序はとてもいいステップだと感心しています。

私自身、この2年ぐらいの間に、机周り、周辺の書棚等の整理整頓がおろそかになって来ていると実感していました。そんな中で取り組みを決定した3S。まずは、自分自身がしっかりとその姿勢を実践で見せることが必要です。まずは身の回りから。そして、当社は地質調査やさく井工事の現場を持つ会社ですが、仕事の最終的なアウトプットは「報告書」の形態をとるため、執務室内にはありとあらゆる“紙”が溢れています。昨年度は特に仕事量が多かったこともあり、社員それぞれの机周りもかなり乱雑になっていました。そこからまず手をつけていこう、というのはむしろ自然な発想だったと思います。

また、中々全員一丸でスタートしにくいだろう、取り組みにムラがあるだろう、というのはチームメンバーとしても予想するところでありました。であれば、メンバーが先行して自分の机周りをキレイにすることで、机上・引き出しのモデルを作り、それを少しずつ社内に浸透させていこうという考えでした。その結果、周りの人がキレイになるので、まだ手を付けていない社員も、なんとなくやらざるを得ない状況が生まれ、一気に取り組みが広がる、という流れが出来ました。社員目線での着眼点のすばらしさを感じたところです。

2.毎日少しずつやることの意味

最初のキックオフ大会では、各社で「毎日の3S活動時間を設定する」、という指示があり、メンバーによる協議の結果、当社では、11時50分から12時までの10分間を毎日の3S活動時間と設定しました。

スタート当初は、どれだけのメンバーが協力してくれるのだろうかと不安もありましたが、1週間もすると、少なし社内で内業をしている社員は、仕事で手が離せない場合を除き、全員が参加してくれるようになりました。取り組みを一緒にスタートできるように、11時50分からアラームを鳴らすことにしました。よくあるデジタル時計のアラームです。10分後12時になるともう一度鳴るようになっています。ちなみに、現場作業に従事する社員は、現場で、或いは会社に帰ってから10分間の作業を行う、という決まりを作りました。

「毎日やる」ということが3Sの取り組みで重要だと聞いていましたが、実際はハードルが高いだろう予想していました。しかし、意外にも、みんなすんなり受け入れられたようです。一つのポイントとして、スタートにあたり、前述のとおり“身の回りの片づけ”からスタートするという計画にしたことがあります。10分でも不要な書類を捨てたり、引き出しの中の不要物を整理したり、だれでも容易に着手することができたのがよかったのではないかと考えています。

実際のところ、机周りの整理をし出すと10分というのはかなり短く感じ、もっと時間をかけないと進展がありません。しかし、ちょうど昼休みでもあり10分で切るようにしています。なんとなく物足りなさが残ります。しかし、それが大事なのではないかと考えています。一気にやり過ぎると、また少しずつ元に戻っていく。毎日少しずつ改善しているから継続する。3Sは直接的な生産活動ではありませんので、売上や粗利に直結している訳ではない。だからこそ、“やりすぎない”という視点も重要で、むしろ、少しずつ改善し、良好な状態を定常化する。習慣化とはそういうもので、毎日少しずつやる事の意義がまさにそこにあるのではないかと実感しています。

3.社員が自主的に取り組むことの意味と効果

前述のとおり、当社の3Sの計画と実行は、生産性向上チームのみなさんが中心に進めてくれています。計画策定に際しては、私はほとんど関わっていません。計画内容について報告を受ける程度です。毎月1回開催している全体会議の場で、会社として3Sに取り組むのだということのメッセージを全社員に伝えましたが、社長の役目はそこまでで、実際の3S活動においては、私も一メンバーとして活動に取り組んでいます。

私が社長に就任して以降、この活動ほど、社員のみなさんが自主的に取り組みを進め、さらに短期間で成果が目に見えて出はじめるようなものはなかったように感じます。なぜ、そうなったのか。色々理由はあると思いますが、やはり、キックオフ大会で特別講演会を一緒に聴き、その後のワークと意見交換を通じ、その必要性と、この3Sを通じて何かが変わるのではないか、という感触を推進メンバーがそれぞれに感じ取ったからではないかと考えています。社長だけが講習会や学びの場にでかけるのではなく、社員と一緒に学び、成長するということの重要さを改めて感じます。

もう一方で、いいタイミングに恵まれたということも確かだと考えています。今年度、4月以降は比較的仕事量が少なく(それはそれで心配事ですが)、新しい取り組みに着手する時間を取りやすかったことがあります。また、第2回目以降は、参加の各社を回って社内ウオッチングを実施する、というやり方になっています。当社は、年末・年度末に向うと仕事が忙しくなり中々時間が取れなくなる可能性が高まります。各社回りの初回に、来社して頂くよう手を上げました。そのことが、有形無形のプレッシャーとなり、メンバーを中心に、取り組みを加速化させたように感じています。

チームメンバーがこういう結果を最初から予想していたのかどうはともかく、社員が自主的に提案した取り組みを進めることで、いかにスムーズに、また、社長としてはとても楽に取り組みが進むものか、実感しているところです。

定例会前日の社長デスク(まだ道半ば)

当社の3Sはまだまだ始まったばかりで、たかだか机周りの整理を始めたに過ぎません。しかし、最初の一歩がなければゴールにも行きつきません。今後も紆余曲折があろうかと思いますが、この勉強会の節目となる1年後をどのような形で迎えられるのか、この調子で習慣化が進めば、展望が開けてくるように感じています。そして、定例会での会社ウオッチングではどんな意見や指摘を頂けるのか。その事に対する社員の受け止め、そしてそれを受けた次の一手をどうするか。大いに楽しみであり、期待をしているところです。

2014
07.17

2014年7月12日(土)、島根同友会の第14期経営指針成文化セミナーの第1回フォローアップセミナーが開催されました。既に、6月7日(土)~8日(日)にかけて経営指針成文化セミナーが開催され、7名の受講者が経営指針の素案を作成されました。その後、3回のフォローアップを経て、内容のブラッシュアップを図っていきます。このブラッシュアップを進める作業が、最初のセミナーで素案を作成することに勝るとも劣らず重要なステップになります。第1回では、経営指針のうち“経営理念”を対象にフォローアップを行ったのですが、受講生のみなさんとのやり取りを通じて、大いに考えさせられた3つのコメントについてまとめてみます。

フォローアップセミナーの様子(撮影は吉岡さん)

1.得意なのは「初めの仕事」…町の便利屋よろずやサービス・大谷和哉さん

大谷和哉さんは、「困った人を助ける、人に喜んでもらう、そうやって生きていきたい」と想い、便利業である「町の便利屋よろずやサービス」を起業されました。“法に触れる事、人を傷つける事以外は何でも対応できる”という「何でもやる」というのが一番の売りで、現在依頼が増えつづけているそうです。

大谷さんとの意見交換の中で、「“何でも出来る”と言われると逆にイメージが湧きにくいので、何か強みを打ち出してはどうか、何が一番得意なのか?」という質問が参加者からありました。その答えが「初めてのことが得意です」というものでした。初めての事だから色々頭を悩まさないといけないが、そのことに頭が慣れ出すとものすごく仕事が面白くなる。そうして誰もしたことのない仕事を積み重ねていると周りに敵が居なくなる、と話されます。

初めての仕事に取り組むのは、最初は億劫な面もあります。しかし、自分自身の経験として振り返ってみても、新しい仕事に取り組んだ時にこそ、それまで気が付かなかった様々な発見があり、自分自身の成長の機会になっていると感じます。そういう意味では、日々新しい仕事に取り組んでいる大谷さんの成長のスピードには著しいものがあるでしょうし、その経験をさらに高めることで、大いに飛躍することが期待されます。

「新しい事に取り組む」ことの重要性。理解しているようで、日々の仕事の中で意識から外れてしまいそうな大事な視点について改めて認識させて頂く、いい機会となりました。

2.元々「他社と比べる」という発想が無い…巴コーポレーション・工藤美穂子さん

飲食業を経営されている工藤美穂子さんは、すでに松江市内で3店舗を出店されています。また、経営理念については既にしっかりとした想いを形にしたものがあり、それを前提に、さらなる事業の発展を目指し、特に経営方針・経営計画を明確にしたいとの目的を持ってセミナーに参加されました。

このセミナーでは、経営理念を考えている際にいくつかの自問自答を行いますが、その中に「わが社の固有の役割は何か」という設問があります。他社では無く、自社でなければならない理由。それが経営方針においては他社との差別化につながっていくため、理念策定における重要な要素です。しかし、工藤さんは、「わが社の固有の役割と言われても思いつかない。元々他社と比較するという発想を持っていない」と話されます。

一般的な感覚では、同業他社が多い飲食業界だからこそ、他社との差別化を明確にすることが必要で、その部分を追求することはとても大事な作業だと思う訳ですが、そこにはあまり関心がない。同業者の動向に一喜一憂せず、自らが信じた方向に突き進む。理屈っぽい私としては、自らの信じた方向が明確かどうかを判断するためにも、同業他社との比較は重要なのではないかと感じる一方、そんなことは気にせず、自分が信じる道につき進めることへの憧れ、羨ましさも感じます。

そして、同業者には関心がないと言う一方で、従業員に対しては社員満足度の向上や負担軽減にかかわる配慮をとても重視されています。働く人にとって負荷の大きな飲食業であるからこそ特に配慮していると話されます。それは、外部環境はコントロールできないが、内部環境はコントロールできる。外部環境が激しく変わっても、社内がしっかりしていれば乗り切れる、という意味合いだと考えています。外部環境のせいにしない経営、それの工藤さんなにの表現が、“他社に興味が無い”ということではないかと理解しています。その工藤さんが、今後、経営方針・経営計画をどのように策定され、どんな方針を示されるのか、非常に楽しみにしています。

3.困っている人がいるから自分がやる…漢方桃李・引野里佳さん

薬剤師の資格を持つ引野里佳さんは、漢方薬専門の相談薬局を起業されました。西洋医学の足りないところを漢方によって救うことが出来ると考え、事業を興されました。元々薬剤師で、“経営”という観点での知識が少ないのでセミナーを受講されたとのことです。

現在、特に女性をターゲットとし、西洋医学では解決できない心や体の不調に対し、漢方薬を用いてフォローしていくことを目指されています。体の不調の原因は人それぞれであり、いわゆる西洋医学の処方では効果が表れにくい方がたくさんいることを、薬剤師として働いていた現場で実感されていたとのこと。引野さんは、そういった実態を見て、「漢方を使うことでその人らしく生きるための治療の選択肢を増やすことができる」と起業を決意されたという経緯があるそうです。

ご存じの方も多いかもしれませんが、「薬剤師」というのは非常に需要のある資格です。いわゆる調剤薬局をはじめ、その資格を活かして働ける場所であれば、安定した収入を得て生活することが可能です。しかし、その環境を選ばず、敢えて漢方相談薬局を開業されるのは、まさに前述の強い目的意識と使命感によるものでしかありません。「困っている人がいるから自分がやる」という志にはあらためて経緯を表しますし、ぜひ成功して頂きたい起業家の一人です。

事実、起業を思い立たれてから、実際にスタートにこぎつけるまで、かなりの年月を費やされたとのこと。他地域では類似の事業モデルがあるそうですが、島根県ではまだ事例のない事業です。様々な方からの反対もあったということです。それでも起業された。そういう方を支援するのが同友会の使命だろうし、そういった方と一緒に学び、成長していく機会が得られるのも同友会ならでは、と考えています。ぜひ、素晴らしい経営指針を策定され、世の中に役に立つ事業が展開されることを期待しています。

フォローアップの様子その2(撮影吉岡さん)

今回のフォローアップの中で、私の印象に残ったやりとりをまとめてみました。みなさんに共通するのは、「起業家」であるということです。起業家の持つ強い想い、すなわち「この事業をやりたい」という熱意に、後継経営者である私は大いに刺激を頂いています。この熱意の積み重なりが島根を動かし、変えていくのだと実感します。こういった気づきを得られるのも、島根同友会の経営労働委員会に所属させてもらっている役得です。今後とも、会員のみなさんの経営指針策定を支援しながら、自分自身の成長と自社の発展に向けて努力を続けたいと考えています。

2014
07.11

このたび、2014年9月18日(木)~19日(金)にかけて開催される、「第42回青年経営者全国交流会in奈良」(以下、「奈良青全交」と言います。)において、報告者を務めさせて頂くことになりました。同友会の全国大会での報告はもちろん初めてですし、島根同友会内でも一度しか報告した経験がない私を報告者に選定して頂き、大変感謝しています。また、分科会の座長には、同じ島根同友会の吉岡佳紀さん(農業生産法人いづも屋 代表取締役)にお願いすることになりました。現在、報告の取りまとめに向け、定期的にプレ報告(リハーサルのようなもの)を実施しています。報告内容の取りまとめに向け、プレ報告を通じて、現在感じていることをまとめてみます。

プレ報告の様子(撮影吉岡さん)

1.何を評価して頂いたか~経営指針があったからこそ出来た決断~

奈良青全校では、私が報告する分科会を含めて、計14の分科会が設定されます。私は、第8分科会「経営指針の実践」というセグメントで報告します。テーマは、「実践の決断は明るい未来を信じる気持から~なぜ経営指針で会社が変わるのか~」です。テーマに沿った報告ができるよう、しっかりと準備を進めたいと考えています。

そもそも、なぜ私が島根同友会代表として報告者に推薦して頂けたのか。理由は、テーマにあるとおり「経営指針を策定、実践している」という点を評価して頂けたからだと思います。私は同友会歴3年半ほどですが、入会1年半後の平成24年3月に経営指針を策定し、その前後から様々な施策の実践に取り組んでいます。会社は、少しずつ改善してきているのではないかと考えていますが、全国の会員のみなさんの本気の取り組み、実践に比べれば大したことではありません。それでも、私なりに取り組んだことの要点をまとめてみると、次のようなことが言えると考えています。

一つは、経営指針の策定によって、事業の新しい方向性を見出し、それに向けて具体的な取り組みに着手し、成果を上げつつあるからだと考えています。経営指針の策定をきっかけに「地熱・地中熱」というエネルギー分野への参画を方向づけ、地域のモデルケースとして本社屋への地中熱ヒートポンプ空調システムを導入したほか、地熱発電(温泉発電)に関する各種調査の実績を積み上げるなど、これは、経営指針で「地熱・地中熱をやる」と決めなければ実現していないことでした。経営指針は、そういった経営の方向付けと経営者の意思決定を促進する大きな役目を果たしていると思います。

もう一つは新卒採用です。平成24年度から取り組みをはじめ、現在3カ年目。計4名の新卒者を採用しました。当社は、私以下23名の会社ですので、現在ではそこそこの割合となっています。来年度も2名の新卒者を迎える予定です。これも、経営指針で「新卒採用を継続する」ことを決定しなければ実現できませんでした。人件費の計算から入れば慎重にならざるを得ません。でも、毎年1名以上は採用すると決めて実行する。その積み重ねが、会社に大きな変化を与えてくれると実感、確信しています。

いずれにしても、せっかくの機会を頂きますので、私なりの成果とその要因など、全国の同友会会員のみなさんに少しでもお役に立てるような報告ができるよう、準備を進めていきたいと考えています。

2.私にとって、現在の経営指針とは~社長のよりどころから社員のよりどころへ~

経営指針を策定し、まがりなりにもその指針に基づいた経営を進めて3年目。私にとっての経営指針とは何だったのか、総括してみる時期として適当なタイミングだと考えています。というのも、私自身、これまでの社会人生活を通じて「何事も3年やると見えてくる」という経験則を感じているからです。

現在の経営指針が完成したのも、経営者となって丸3年が過ぎた、平成24年の3月。経営者となって3年の学びと試行錯誤の総括として、経営指針を策定しました。それからまた3年。このタイミングで奈良青全交という発表の場を頂けたのも、巡り合わせであり、大きな転機を頂いたのではないかと考えています。

最初に経営指針策定した時、わずか3年の経験しかありませんでしたので、経営指針を策定したとはいえ、「経営とは何か」という究極の命題を理解した訳ではありません。それでも、振り返ると、経費削減に活路を求めた1年目、原価管理に取り組んだ2年目、職場の環境改善に取り組んだ3年目、とそれぞれの1年間の大きなテーマが見えてきます。特に、1年目の経費削減は社内に大きな反発をもたらしました。その影響は未だ社員の心の奥底に潜んでいると思います。最初がマイナスだったからこそ、その後の取り組みにも反発がありました。しかし、1年目の取り組みが無ければ2年目以降の改善が無かったことも事実ですし、評価はともかく、過去を変えることも出来ません。

そうして最初の3年を過ごし、その総括として、同友会の経営指針成文化セミナーという仕組みを活用させて頂き、取りまとめたのが、現在の経営指針です。そう言う意味では、経営者としてスタートした最初の3年で得られたもので構成されているのが現在の経営指針。であれば、その後の3年の取り組みを経て、次の3年の経営指針は次のステージにレベルアップしていく必要があると考えています。

決して、社員から尊敬され、認められる社長ではなかった私のよりどころとなっているのが、経営指針。現在の経営指針はあくまで私のよりどころです。これが社員全体のよりどころとなること。それが次のステップの大きな課題だと考えています。

3.経営指針策定後、自分自身がどう変わったのか

経営指針を策定後、自分自身がどう変わったのか。これも今回の報告を取りまとめる上での大きなテーマになると考えています。

今回振り返ってみて、良くも悪くも“自分らしさがなくなった”と感じています。経営指針策定時に“経営理念”も初めて成文化しました。その中には、「ご縁を大切に」「感謝の気持ちを持つ」「謙虚な姿勢」「お互いを尊重する」など、経営指針の策定を通じ、私自身に欠けていたと認識した要素を理念として盛り込みました。本来の私は、「ご縁じゃなくてたまたまだろ」「お金をもらっていれば当たり前」「オレがやった、オレの実力」「なんでこんなことが分からないんだろう」というタイプで、人間的な感情に乏しく、自分が一番大事で自信過剰、という側面が強い人間だと思います。

しかし、理念策定以降は、自分自身がその経営理念に示すような人間にならなければならないと言い聞かせ、襟を正そうと振舞ってきたように思います。なぜそう思ったかと言えば、同友会をはじめとた学びの場では、経営者の人間的、人格的成長こそ会社の発展につながると教えられるからです。そうすれば会社がよくなるなら、そうしなければならない。会社がつぶれては元も子もない。そこが出発点です。

その結果、自分自身が創った理念に沿う人間になれたのか。その答えは、誤解を恐れず言えば「表面上は近づいている」と考えています。そういう発言や振る舞いを心がけているから。しかし、心の奥底にある私本来の姿から、目指すべき姿、人間として尊敬される姿に変わることが出来たのかと言えば、道半ばです。そして、問題は、そのこと、すなわち「社長は本当は変わっていない、経営理念に示すようには想っていない」ということを、社員も気が付いているだろうということです。

しかし、会社は少しずつ良くなっていると思います。私の心の大きく変わらなくても、結果が伴えばいいのかもしれません。一方、無理していい人、いい社長として振舞おうとしている私は、何か無理しているし、本来の自分らしさが失われている。でもそれはいいことなのだから、それでいいのかもしれない。だから、今のままでいいのか、或いは今後どう変えていけばいくのか、今後の私自身の課題であり、今回の報告をまとめる作業を通じて、見出せたらと考えています。

奈良青全交パンフレットも完成

8月5日(火)には、島根同友会松江支部・青年部会合同例会として、奈良青全交に向けた壮行例会として、松江で報告をさせて頂く予定としています。この時の内容は、概ね本番での内容に近いものになるはずです。現在、当面の目標をこの8月の例会において、これまでの経営の棚卸し、振り返りをさせて頂いています。座長を務めて頂く吉岡さんは、同じ期に経営指針を策定した同期でもあります。その吉岡さんと二人三脚で、また、支援して下さっている島根同友会のみなさんと一緒になって、島根同友会を代表して報告するという栄誉に恥じないよう、頑張っていきます。

2014
07.04

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

66箇所目は、島根県雲南市掛合町の塩ヶ平温泉です。訪問日は、2014年7月2日です。

塩ヶ平温泉(まめなかセンター)外観

塩ヶ平温泉は、島根県雲南市の国道54号沿いにある温泉施設で、地域のコミュニティーセンターとしての色合いを持つ施設です。施設名称は「まめなかセンター」。方言を上手く取り入れたネーミングに思わず癒されます。施設前にある看板には「黄金色の湯」と掲げられており、このエリアにいくつかみられる濁り湯の温泉であることが伺われます。入口を入ると、「居ながらにして、日本の名湯 熱海温泉、片山津温泉と同じ浴用効果が楽しめる塩ヶ平温泉」というタイトルの説明書きがありました。詳しい成分的な検証はともかく、それだけ成分的に特徴のある温泉としてアピールされているようです。

浴室の様子(誰も居なかったので撮影)

塩ヶ平温泉の泉質は、成分分析表によると、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉で、phは6.3と中性からやや酸性よりです。成分的には、塩素イオン、炭酸水素イオンの含有量が高いのが特徴で、成分総計は6.57g/kgと比較的濃い目の温泉と言えます。口に含むとかなりの塩気が感じられます。また、溶存ガスとして遊離二酸化炭素572mgが含有されているのも特筆すべき点です。“二酸化炭酸泉”は名乗れませんが、源泉かけ流しで供給されていることも相まって、血管拡張作用による血行の促進効果はかなり期待できると思います。さらには、塩化物泉の特性として、塩の“パック”効果で湯ざめしにくいこと、ナトリウム-炭酸水素塩泉の特性として、皮膚の表面を軟化させる作用があり、皮膚病や火傷、切り傷によいとされます。また、皮膚の油脂分泌物を乳化して洗い流すことにより、石鹸のように皮膚が洗浄されることが期待できます。泉質的には多様な効果が期待でき、まさに“地域自慢の名湯”と言って過言ではないと思います。

また、源泉温度は21.2℃と表示があります。この冷鉱泉を源泉かけ流しで供給しているようで、21℃ほどの冷泉を常に加温しながら補給し続けるのは中々大変だろうなと思います。しかし、これだけの泉質、特に遊離二酸化炭素の含有量が多い温泉であり、かけ流しで使ってこそ温泉の意味が出てくるので、この運用が末長く続けられることを願いたいと思います。

湯船はタイル張りと思われるシンプルな造りです。“思われる”と言うのは、浴槽表面は、『黄金の湯』と称されるとおり茶褐色の成分結晶で覆い尽くされており、その下が何で出来ているのか分からないぐらいです。同じ雲南市の加田の湯と同じような状態です。大きさも2メートル四方ほどで、4人も入れば目いっぱいです。浴槽奥にある蛇口から常に源泉が補給されているだけというシンプル運用で好感が持てます。露天風呂もジェットバスもありませんが、泉質だけで入浴の価値がある温泉とは、本来このようなものなのかもしれません。

洗い場は3箇所。仕切りはありませんが比較的間隔は空いています。シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、さらに石鹸が備えてあります。ロッカーは、鍵付きのものが6箇所、扉のないスペースが下段に6箇所あります。洗面台は2箇所で、ドライヤーも2つ据え置きがありました。夕刻など、利用者が集中する時間帯には少し狭いかもしれませんが、この浴室の規模感からすれば妥当な数量、スペースだと思います。浴室内同様、シンプルですが、脱衣場内がとても清潔に保たれている印象です。

営業時間は昼の12時から20時までという時間設定です。朝風呂には入れませんが、源泉かけ流しの加温コストもかさむのでしょうから、中山間地の施設ではこういう割り切った時間設定もいいと思います。利用料金は、大人300円。成26年4月からの消費増税でも変更は無いようです。シンプルな施設ですが、この泉質であれば非常にリーズナブルだと思います。この施設は温泉だけでなく、会議室(洋室、和室)、コミュニケーションホール、トレーニング室などの地域コミュニティ施設としての役割を担っています。私が訪問したのは平日の夕刻で、最初はお風呂の利用者は誰もいなくて貸し切りだったのですが、その後、次々と利用者が訪れ、これから賑わいが増しそうな印象でした。

トレーニング室からの眺めは中々のもの

この塩ヶ平温泉、施設の見た目はまるっきり地区の公民館のようになっています。川沿いにあることから、浴室は一段下がった場所にあり、川辺の景観を楽しめるのかと思いきや、窓の外はついたてでした(笑)。一方、浴室同じ並びとなるトレーニング室からの眺めと開放感は中々のものでした。平成25年3月に松江自動車道が開通して以降、並走する国道54号を利用する機会が激減しました。以前は、広島への移動中等にこの塩ヶ平温泉の看板を目にすることもありましたが、最近ではほとんどありません。そんな中、改めて訪れる機会がありましたが、シンプルながら素晴らしい泉質の温泉です。インターネットを検索すると多くのブロガーがこの温泉について綴っています。それだけたくさんの温泉ファンの気持をつかむこの温泉、これを目的地にこの地域を訪れてもいいのではないかというぐらいです。