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松江工業高等学校インターンシップ受け入れ~仕事の説明を通じて、当社の必要性、存在意義を理解する~

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2011年11月8日から10日にかけて、松江工業高等学校のインターンシップの受け入れを行いました。

松江工業高校では、今年から2年生のほぼ全員が一斉にインターンシップを行うそうで、かつ、できるだけ専攻している学科の内容の仕事に近い会社に行く方針とのことで、当社も打診を頂き、受けることにしました。都市環境工学科(昔の土木科と建築科)の2年生1名が対象です。なお、昨年度は、松江工業高等専門学校の学生さんを受け入れたのですが(その様子はこちら、その1その2)、学生さんにはあまり馴染みの無い我々の業界を知ってもらえたことと、いまどきの学生の考えていることを知る機会となり、当社としてもそれなりに得られるものがあったと思っています。そのため、昨年に続いて受け入れを決めました。

松江工業高校から申し入れに対して早々に受け入れの回答をしたのですが、日程が固定されていることもあって中々研修向きのちょうどいい仕事(現場での実習作業のようなもの)を準備することができず、現場の見学が中心となりました。もっとも、現場見学も意義あることだと考えています。我々のような土木系の仕事は、同じ建設関連の仕事でも建物などを立てる建築の仕事に比べて地味な印象が否めません。大きなダムや橋などであれば分かりやすさもありますが、ボーリングで地下を掘る仕事は、完成後も表面的には変化が少ないので、大変地味に見えます。仕事の重要性は派手か地味かではありませんが、分かりにくいのは事実かと思います。こういう機会を利用して、当社及び我々の業界の仕事について少しでも理解が深まればと考えています。

今回、研修で回った現場を、一般の方向けの当社の仕事の紹介も兼ねて整理しておきます。

1.旭温泉の新泉源掘削工事(浜田市旭町)

浜田市旭町にある「旭温泉」において新泉源を掘削している現場です。

旭温泉を将来にわたって観光の拠点として維持していくために、湯量・湯温とも安定した新たな源泉の確保を目指すものです。2011年8月から掘削しており、予定深度1200m、見学時点では700m付近まで掘削が進んだ状態です。どのようにして地中深くまでの掘削が行われるのか、実際の機械や道具などを見ながら説明を聴いてもらいました。やぐらの高さが27mある、非常に大きなボーリング工事です。これだけの規模のボーリン工事の現場を見る機会は中々ありませんので、是非にと思い見てもらいました。

ところで、地中深くボーリングするとき、よく1000mの下の地下でボーリングの先端がうまく回転して土を掘れるものだと不思議な気がする方もいるかもしれません。私も、昔は、ボーリングの先端が土や岩との摩擦で動かなくなってしまわないのかと思っていました。それを可能にしているのが「泥水」と呼ばれる、粘土を溶かしたどろどろの液体です。潤滑油のようなものだと思って頂けばいいのですが、それを地中深くまで送ってボーリング孔内を循環させて膜をつくります。それが、土や岩との摩擦を軽減させ、地中深くでのボーリングを可能にしています。温泉ボーリングともなるとその泥水の循環設備も大規模なものになり、その仕組みと一緒に理解してもらういい機会となりました。

また、この現場は住宅に近いところで実施しているため、防音対策にも力を入れています。防音シートの中と外、どのくらい騒音が違うのか実際に体験してもらいました。細かいことですが、建設現場における周辺影響への配慮や安全対策といったものを知ってもらい、単にものをつくればいい、というものではないことも理解してもらえたのではないかと思っています。

大型ボーリング機械を見学

2.出雲第二期地区の地すべり対策工事(出雲市宇那手町)

出雲市の宇那手町というところで実施している、地すべり対策の工事現場です。

地すべりはその名のとおり地面が広範囲にわたって滑り落ちる土砂災害で、地面の中の“水”が滑りの原因となります。その対策手法の一つとして“水抜き工事”という対策があります。地面に横穴を掘り、そこから水を抜くことで地面の滑りを抑制するものです。通常ボーリングというと地面の下に向かって掘るのですが、この場合は横に掘ります。こういったものも当社の仕事の一つです。

土砂災害対策にも色々ありますが、コンクリートの堰堤のような見た目に分かりやすい対策と異なり、地味な工事です。一般にはあまり馴染みの無いですが、そういった対策もあるということを知ってもらうことも大事だと考えています。なお、この現場では施工後の管理用の測量の補助をして頂きました。現場を見るばかりでなく、現場での実習らしい仕事もしてもらえたので、よかったのではないかと思っています。

水抜きボーリング工事施工後の状況を見学

3.奥出雲町三成第二簡易水道の水源工事(奥出雲町三成)

奥出雲町の三成という地区の簡易水道の水源工事を行った現場です。

簡易水道とは供給対象者が100人から5,000人までの水道を言いますが、そのエリアは中山間地などに多く、その水源を井戸掘削によって確保することがよくあります。ここもそういった現場で、水源確保のための井戸工事を行ったものです。

見学時点では掘削が完了し、揚水試験という試験を行っていました。揚水試験とは、井戸掘削が終わり、ケーシングやスクリーンと呼ばれるパイプの設置が完了した後に、その井戸からどのくらいの水量を汲み上げることができるかなど、井戸の能力や特性を把握するために行う試験です。実際に水を汲みながら、データを取って井戸の特性を調べます。その様子に立ち会ってもらいました。

井戸工事は、単に井戸の孔を掘って終わりでは無く、その井戸がどの最大で程度の能力を持っているのか、どの程度の能力で使うのが適正なのか、といったことを調べて成果としてとりまとめ、初めて仕事が完了するということを知ってもらえたかと思います。

井戸からくみ上げた水をポリバケツで汲んでみる

今回のインターンシップは3日間ほどでしたが、前述の3現場を全て私が連れて回りました。その際、現場の説明は担当者にしてもらうのですが、その事前のレクチャーとして、私から、「その現場はどういう仕事なのか」、「なんのために実施されているのか」、ということを高校生に対して説明します。工業高校で学んでいるとはいえ、あくまで一般の人である高校生に出来るだけ分かりやすく説明しようと考えた時、実は、これは当社の存在意義、当社の提供する価値について考えることと一緒なのではないかと感じました。

ほとんど予備知識の無い高校生に、なぜこの仕事があるのか、なぜ必要なのかを明確に説明できるのか。もし説明出来ないとなると、極端に言えば、それは世の中においてさして必要性が無い仕事で、ひいては当社の存在も必ずしも必要ない、ということになりかねません。

もちろん、当社が実施している仕事の必要性、そして当社の存在意義、といった説明をした訳ですが、しかし、これは高校生に説明するのではなく、社内に対して、また世の中に対してすべきことではないかと感じました。当社の仕事の必要性、存在価値といったものを、自信を持って説明できるようにしていくことが経営者の仕事であり、今後の当社の存続・発展を確かなものにしていくのではないかと、このインターンシップの受け入れという機会を経て感じたところです。

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