温泉めぐりのブログも、この年末で通算69箇所に達しました。
と言いながら、2013年末では51箇所だったので、この1年では8箇所しか増えていません。2011年から2013年までの3年間は年間11箇所(たまたま同じ数字)のペースでしたが、今年はついに一ケタになってしまいました。島根県内の温泉は段々とネタが尽きてきて、気軽に行けるところが減ったのは確かですが、もう少し頑張らないといけません。このところ一年間の訪問数が少なすぎて“総括”にならないのですが、毎年最後のブログネタとしては継続したいと思い、この1年に廻った温泉の中から、「泉質」、「たたずまい」、「健康」、の3つの観点で1つずつ選んでみました。
1.源泉かけ流しで大地の恵みを受け取る黄金の湯~塩ヶ平温泉(まめなかセンター)~
“泉質”の温泉として取り上げるのは、「塩ヶ平温泉(まめなかセンター)」(島根県雲南市掛合町)です。
「まめなかセンター」という方言を上手く取り入れたネーミングに思わず癒されます。それはさておき、施設前にある看板には「黄金色の湯」と掲げられ、また、入口を入ると、「居ながらにして、日本の名湯 熱海温泉、片山津温泉と同じ浴用効果が楽しめる塩ヶ平温泉」というタイトルの説明書きがありました。それだけ成分的に特徴のある温泉としてアピールされています。
塩ヶ平温泉の泉質は、成分分析表によると、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉で、phは6.3と中性からやや酸性よりです。成分的には、塩素イオン、炭酸水素イオンの含有量が高いのが特徴で、成分総計は6.57g/kgと比較的濃い目の温泉と言えます。口に含むとかなりの塩気が感じられます。また、溶存ガスとして遊離二酸化炭素572mgが含有されているのも特筆すべき点です。“二酸化炭酸泉”は名乗れませんが、源泉かけ流しで供給されていることも相まって、血管拡張作用による血行の促進効果はかなり期待できると思います。さらには、塩化物泉の特性として、塩の“パック”効果で湯ざめしにくいこと、ナトリウム-炭酸水素塩泉の特性として、皮膚の表面を軟化させる作用があり、皮膚病や火傷、切り傷によいとされます。また、皮膚の油脂分泌物を乳化して洗い流すことにより、石鹸のように皮膚が洗浄されることが期待できます。泉質的には多様な効果が期待でき、まさに“地域自慢の名湯”と言って過言ではないと思います。
また、源泉温度は21.2℃と表示があります。この冷鉱泉を源泉かけ流しで供給しているようで、21℃ほどの冷泉を常に加温しながら補給し続けるのは中々大変だろうなと思います。しかし、これだけの泉質、特に遊離二酸化炭素の含有量が多い温泉であり、かけ流しで使ってこそ温泉の意味が出てくる(二酸化炭素のガスは直ぐに空気中に逸散する)ので、この運用が末長く続けられることを願いたいと思います。
インターネットを検索すると多くのブロガーがこの温泉について綴っています。それだけたくさんの温泉ファンの気持をつかむこの温泉、これを目的地にこの地域を訪れてもいいのではないかというぐらいです。
2.昔ながらの銭湯スタイルで楽しむ街ナカ入浴~日乃丸温泉~
温泉の雰囲気・たたずまい、という観点で取り上げるのは、“街に湯が湧く天然温泉”がキャッチコピーの日乃丸温泉(鳥取県鳥取市)です。
日乃丸温泉は、鳥取市の中心市街地内にある温泉で、昔ながらの銭湯のスタイルを残す温泉です。鳥取市中心部にはこの日乃丸温泉以外にもいくつかの温泉施設があります。明治時代に飲用の井戸を掘ったところ温泉が湧出したのがきっかけとされ、一時はかなりの数の施設があったようですが、現在では数軒にまで減少しています。県庁所在地の中心部に温泉が湧き出るというのは、貴重な環境と思います。そういったこともあり、インターネット上には様々な訪問記事があり、注目度が高いことが伺えます。
湯船は石造りで長方形のシンプルな形状ですが、向かって右側が一部深くなっており、知らずに入ると最初はびっくりしますが、より深く肩までお湯に浸かる事が出来ます。シャワーはレバーを横に引くと適温のお湯が出る(温度調整なし)スタイルで、このシャワー水も温泉水が使われていました。レバーでお湯を出すという作業がノスタルジックで心地良いです。湯量が豊富で温度の高い温泉だからこそ、こういう使い方が出来ます。そして、休憩室内の冷蔵庫に並ぶコーヒー牛乳やフルーツ牛乳は、いかにも銭湯というレトロ感を際立たせており、なんだか懐かしい気分にさせてもらえます。
営業時間は朝6時から深夜12時までという長丁場で、朝風呂から深夜仕事帰りの入浴まで、かなり広範な利用が可能です。なお、道路一本挟んだ向かい側は夜の繁華街ですので、勢いで“〆に温泉”という利用を思い付きそうですが、飲酒した後の温泉入浴はやめましょう。飲酒後或いは飲酒しながらの入浴は、血行が急によくなったり血圧が急上昇したりするので危険です。さらに、言うまでもないことですが、泥酔しての入浴は事故の危険性もあるので絶対に避けましょう。
3.ホルミシス効果を最大限に享受する造り込みが魅力~三朝温泉(株湯)~
“健康”温泉として取り上げるのは、「三朝温泉(株湯)」(鳥取県三朝町)です。
三朝温泉は、開湯から850年を誇る鳥取県の名湯の一つです。「世界有数のラドン含有量」を誇り、古くから湯治場としても利用されていきています。現在、現在、大小24の宿泊施設が営業され、3箇所の公衆浴場があります。株湯は、三朝温泉の起源と言われる公衆浴場です。ここでは、放射能泉を最大限に活用している、“株湯”の施設の造りを中心に紹介します。
株湯の浴場内は、かなり密閉度が高く、入った瞬間、かなりの蒸気で満たされているのが感じられます。これは放射能泉を最大限に活用するために非常に重要です。ラドンとは、温泉中に含まれるラジウムが地上に出た際に分解されて生じる弱い放射線のことです。これを体に浴びたり、呼吸したりして体内に取り込むと、新陳代謝が活発になり、免疫力や自然治癒力が高まると言われています。その効果を「ホルミシス効果」と呼び、放射能泉の有する大きな特徴の一つです。
ラドンは、すぐに空気中に逸散してしまいますので、それを逃がさず体内に取り込めるような仕組みが必要となります。その効果を最大限に発揮させるため、コンパクトで密閉性の高い浴室に蒸気を満たすのが、一番理にかなっています。また、源泉かけ流しで運用されているのですが、新しいお湯は浴槽下から湧き出るような仕組み(足元湧出)になっています。この方法だと、源泉から新しいお湯を投入する際に、できるだけ空気に触れないようにしながら新鮮な源泉が浴槽に満たされます。ラドンの空気中への逸散を最小限に抑える意味で、有効な方法だと考えられます。地域の方が利用する公衆浴場だからこそ、健康維持のために最大限の配慮がされているのでしょう。
今年選んだ3つの温泉の中に鳥取県の温泉が2つあります。島根の温泉はかなり回ったので、最近はターゲットが近県に移っている面もあります。いずれにしても、温泉はその地域の地下から湧き出る貴重な資源です。地域によって多様に活用され、様々な形で地域の役に立っています。近年ではエネルギーの側面からも注目されていますが、鳥取県は島根県に比べると高温の温泉地が多く、より期待される地域です。総括では、限られた温泉の中からあえて3つ選んでいます。すべて私の主観ですので、ご承知置き下さい。少しでも、ご覧頂いている方の参考になれば幸いです。右肩下がりの年間訪問数をV字回復できるよう頑張っていきたいと思います。これからも温泉めぐりのブログ、そして協和地建コンサルタントをよろしくお願いします。
〔2014年温泉巡り一覧〕
69 霧島温泉 鹿児島県鹿児島市
68 はわい温泉(ハワイゆ~たうん) 鳥取県湯梨浜町
67 新千歳空港温泉 北海道千歳市
66 塩ヶ平温泉(まめなかセンター) 島根県雲南市掛合町
65 街に湯が湧く天然温泉「日乃丸温泉」 鳥取県鳥取市
64 東郷温泉(ゆアシス東郷龍鳳閣) 鳥取県湯梨浜町
63 湯屋温泉(リフレパークきんたの里) 島根県浜田市金城町
62 三朝温泉(株湯) 鳥取県三朝町