2013
05.30

2013年5月23日(木)、中同協(中小企業家同友会全国協議会)の役員研修会が松江東急インで開催され、私も出席しました。今年度より、島根同友会の理事を仰せつかることになり、参加したものです。研修会は2日間にわたって開催されましたが、私は初日のみの参加となりました。初日は、中同協相談役幹事 赤石 義博氏による講義とグループ討議でした。赤石さんは、同友会歴50年のまさに同友会の“生き字引”とも言える方で、50年を超える同友会活動の歴史と理念について話をして頂きました。同友会の歴史から何を学び、今後にどう生かして行くべきなのか、また、そもそもなぜ我々は同友会に入会したのか、何の目的だったのか、原点に立ち戻らせて頂くための様々な示唆を頂きました。私なりの気づきをまとめておきます。

講演する赤石相談役

1.望ましい結果がでるような原因をつくり込むこと

今回の講義は、同友会の歴史から学ぶことがねらいの一つです。では、何のために同友会の歴史を学ぶのか、という根本について講義冒頭で指摘がありました。当初、私はそれほど意味がある事のように感じていませんでしたが、次の2つの指摘を受け、同友会の歴史を学ぶことの意義を改めて認識させて頂いたところです。

一つは、我々は何のために同友会に入ったのか、何のために勉強しているのか、を改めて考えてみる、ということです。そして赤石さんは、同友会を作った先輩方が、何のために同友会運動を実施してきたのか、ということも同じことだと説明されます。同友会が出来た頃の時代背景と現在の状況は異なる面も多々あるでしょうが、同友会が掲げる「人間尊重の経営」「国民や地域と共に歩む中小企業」といった理念は、今まさに注目され、見直されている考え方でもあります。それが意味することは、すなわち、経営を良くするための根本は時代を問わず不変であり、同友会の歴史からなぜそれが重要だったのかを学ぶことは、未来に向かって経営する我々にとっても大変意義深いことだと考えられる訳です。

もう一つは、「今見ているものは全て結果だ」という指摘です。結果が悪いのであれば、それは自分に原因がある。今すぐに、望ましい結果が出るような原因を作り込むことが必要だということです。その作り込みこそ、様々な実践活動ということになるでしょう。何もせずに結果だけを待っていてはいけない。改めて考えれば当然のことですが、日々の仕事に追われるうちに、今までどおりのことを今までどおりにやってしまうことがいかに多いか、身につまされます。同友会の歴史を学ぶというのは、同友会の先輩は、何を考えて新しい原因をつくろうとしたのか、すなわち、どういう結果が望ましいと考えたのか、を理解していくことに他なりません。このことも、今後、自社に置き換えて考えていく時に、大変重要になってくると感じたところです。

2.人間には可能性がある~題名の付いていないしぼんだ袋~

講演の中で、同友会活動の大きな柱でもある「人間尊重の経営」について時間を割いて話がありました。この考え方について、“この厳しい時代にどうなのか?という意見があるのも事実”と前置きされた上で、それでも、社員一人一人は自分の人生を会社に預けている、と指摘されます。そうであるならば、会社と社員とは、人間的な信頼関係に立って、“当てにし、当てにされる関係”でなければならない、と語られます。その関係性をいかにつくるのか。時間をかけて一つ一つ積み上げていく以外の近道はないでしょう。しかし、その前提として、経営者(会社)と労働者(社員)は利害が対立(相反)する関係であることは認めつつ、その職場・会社で最も深い関係を作らなければ、会社も社員もいい環境をつくれるはずがない。そういった相互理解がまずもって必要なのだと改めて感じるところです。

そしてもう一つは、“人間の可能性”ということ。人間には無限の可能性があると良く言われます。赤石さんはそれを例えて、「社員は“題名のついていないしぼんだ袋”。一人一人に最も得意なこと(題名)をさせる。そして、袋を膨らませていくのだ。」と話されます。そのことの気づきを持たせるのが、経営者の仕事であり、人間尊重の経営の実践の姿なのだろうと感じます。しかし、これは中々難しい事でもあります。私もそうですが、知らず知らずのうちに人を決めつけて型にはめてしまいます。“あの人はああいう人だ”、“あいつには言ってもだめだ”、“あの人は変わらない”、等々です。それは現時点では、一面の事実かもしれないが、今後ともずっとそうとは限らない。様々な出会い、結婚や子供の誕生などの人生の転機、昇進や昇給、仕事の変化など、これから起こる出来事によって、これまで見えてこなかったその人の可能性が花開くかもしれません。あきらめず、辛抱強く、探していくのが経営者の仕事なのでしょう。そしてその前提として、前述の“人間的な信頼関係”がある。それがあるから、経営者も可能性を探る努力を継続することができる。そう考えて経営に取り組むことが必要だと理解させて頂きました。

3.同友会に入ってから社員が育っているのか?

今回研修、グループ討議では、講師の赤石さんと同じテーブルで話をさせて頂きました。その中で、記憶に残る議論があります。赤石さんから、同友会に入ってからその効果が出ているかどうかを見るには、「同友会に入ってから社員が育っているのか?」を考えればいい、との指摘がありました。もし、社員が育っていないのであれば、それは経営者の勉強が出来ていないということ。同友会に入会した成果は、「社員の成長」という回答で分かる。非常に明快な指摘であり、また、売上や利益では無く、社員の成長という視点で評価するという考え方も、まさに同友会らしいと感じます。その時、思い起こされたのは、ある経営者の「業績とは影。社員が成長したという実態の影に過ぎない。」という言葉です。社員が成長するから業績が伸びる。業績は社員が成長した結果もたらされるもの。経営の根底にそのことを置きながら、事業を運営していくことの重要性を改めて感じるところです。

私は、会社を良くしたいと考えて同友会に入りました。それは、会社の状態がよくなかったからこそ、そう思いました。そして同友会活動を通じて、少しずつ会社は変わって来ているように感じています。今までは、“こういうことをすればいい”、“いい会社はこういうことをしている”という取り組みを真似て会社に取り入れてきました。今後とも、いいことは真似ていけばいいと考えています。それに加えて、なぜそのような取り組みが行われるのか、必要とされるのか、その背景を理解した上で実践することで、その浸透が早まり、より効果が高まる、それこそが、歴史を学ぶことの意義ではないかと考えています。そして、それに加えて、社員が成長しているのかどうかを肌で感じられるような職場づくりが求められると考えています。具体的には、仕事の中身や実態を把握する様々な仕組みもあるでしょうし、常に若い人材を登用し、教える側・教わる側、双方のレベルアップを通じて全員を成長させていく、という方向づけもあるでしょう。これについては、当社においてはまだまだこれからの課題です。しかし、その必要性に関する認識を新たにし、今後の経営に取り組みたいと考えています。

グループ討議の様子

今回の研修会を通じて感じるのは、“社員と会社との関係性”ということです。社員との関係をいかにつくるのか。社員を大事にする経営とはどういうものなのか。社員の成長をうながし、持てる力を発揮させるためにはどうすればいいのか。その根本について、改めて学ばせて頂きました。そして、赤石さんは、最後に「全ての経営資源をフルに活用するのが経営であり、その資源のうち、最も高いものは「人間力」である」、と断言されました。そのために社員の暮らしを保証する。社員に高い志気を持たせ、そのもとに自主性が発揮できる職場をつくる。会社の向う方向を定め、それぞれの人生を預かりながら、何を獲得するのかを示す。そして、その志、目的を共有するところまで持って行く。同友会で学ぶ経営者が目指すところを的確に表しています。私もそういった経営の実現を目指し、また明日から気持を新たに取り組んでいきたいと考えています。

2013
05.23

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

55箇所目は、島根県奥出雲町横田の斐乃上温泉「かたくりの里 民宿たなべ」です。訪問日は、2013年5月21日です。斐乃上温泉は、協和地建コンサルタントが初めて温泉開発を手掛けた案件で、現泉源は昭和62年から63年にかけて掘削されました。当社の温泉開発の歴史の発端となった、記念すべき温泉と言えます。その斐乃上温泉の「民宿たなべ」。その名のとおり民宿なので宿泊利用が中心です。船通山は、出雲神話においてスサノオノミコトが高天原から降隣された地と言われ、登山の傍ら、立ち寄られる方も多いそうです。船通山の登山道に向けて最も奥に位置する立地は、非日常感を掻き立てられますし、青々とした木々の中に隠れるような宿のたたずまいも大変魅力的です。

緑の中にたたずむ民宿たなべ

斐乃上温泉の泉質は、アルカリ性単純泉です。ph値が9.9と高いことが特徴で、入浴すると、アルカリ度が高い温泉特有のぬめり感を強く感じます。泉温は26。3℃と低めなので加温されていますが、民宿たなべでは、かけ流しで運用されています。常に新しいお湯が“さし湯”されていますので、新鮮な温泉を楽しむことができます。この斐乃上温泉は、「日本三大美肌の湯」の一つとしても有名です。中央温泉研究所(東京)と温泉旅行認定藤田聡博士によって認定されたということで、あとの二つは、栃木県「喜連川温泉」、佐賀県「嬉野温泉」、だということです。斐乃上温泉の“美肌効果”についてですが、アルカリ度が高いので、古い角質層の新陳代謝が強く促進され、くすみが取れたり肌がツルツルになる効果が大いに期待できます。しかし、個人差はありますが、アルカリ度がかなり高いので、風呂上がりの乾燥肌には注意が必要です。適度に保湿剤を活用する等、ご自身の肌と相談しながら、適切に利用されるとなお良いと思います。

内湯の様子

お風呂は、内湯と露天風呂から構成されています。内湯の浴槽はコンパクトな長方形、タイル張りで特別な設備はありません。まさに、こじんまりとした民宿のお風呂という風情です。このお風呂の良さは、露天風呂にあります。岩風呂風の造りで内湯よりやや大きめのサイズ。大きな屋根がかかっており、天候に係わらず露天風呂を楽しむことができます。周囲を奥出雲の雄大な山々に囲まれ、緑豊かな自然の中での入浴感は格別です。なお、さし湯の場所と量との関係なのか、場所によって温度差が出やすい(ぬるい場所があったりする)ようでした。

露天風呂(朝なのでお湯が抜かれている)

洗い場は2箇所のみ。内湯浴槽前の壁際に向かい合って設置されています。ボディソープとリンスインシャンプーが備え付けてありました。脱衣場にはロッカーはなく、籠のみがあります。貴重品はフロントに預けるスタイルですが、日帰りの入浴の場合は車の中などに貴重品を置いておけばよいので、さほど不都合はないかもしれません。洗面台は1箇所のみ、ドライヤーも1つのみ付いています。小さな民宿ですので、脱衣場もかなりコンパクトです。入浴が重なる場合は譲り合って着替えを済ますなどのマナーが大事です。

斐乃上温泉の湧出量は毎分800㍑を誇り、この豊富な湯量を活かすこともあってか、シャワー・カランにも温泉水が使われています。このため、シャワーで体を洗い流す時の感触もまた特徴的なものがあります。このような使い方は珍しいと思いますが、最近訪れた温泉では、美又温泉(国民保養センター)でも同じような使い方を経験しました。宿の方に聴くと、シャワー・カランに限らず、洗面、トイレなど厨房を除くほとんどの水回りで温泉水が使われているそうです。ある意味、大変贅沢な使い方です。民宿たなべでは、日帰り入浴も可能です。時間は、10時30分から19時まで。日帰り利用料金は、大人500円です。同じ斐乃上温泉の斐乃上荘が400円ですので、少し高いのですが、露天風呂があることを考慮すればどちらも捨てがたいところです。なお、斐乃上温泉は、この「かたくりの里民宿たなべ」のほか、斐乃上荘ブログはこちら)もあります。

宿の中は温かみのある雰囲気

民宿たなべは、その名のとおり民宿です。宿の中はとてもコンパクトでシンプルな造り。天井が高く明るく開放的な雰囲気の中で、木材の温かみを感じながら過ごすことで、日々の雑踏から離れ、心落ち着けて過ごすことができる、大変素晴らしい環境でした。今回は、島根経営品質研究会の会合にて宿泊利用させて頂きました。夕食はこの宿の名物、岩魚・山菜料理を頂きました。岩魚は焼き物もさることながら、刺身が格別でした。奥出雲産の山菜の煮付けやてんぷらなど、この地域らしい、素朴かつ温かみのある食事もこの宿の大きな魅力の一つでした。日帰り入浴も可能ですが、ぜひ、宿泊の機会を得て利用されることをお勧めしたいと感じる宿でした。

最後に、奥出雲町には、この斐乃上温泉のほか、亀嵩温泉ブログはこちら)、佐白温泉ブログはこちら)、という計3つの温泉があります。いずれもアルカリ性単純温泉で美肌効果が高いことから、「奥出雲美肌温泉郷」としてPRされているところです。そして、この3温泉は、すべて協和地建コンサルタントが開発(温泉源の調査・掘削)に携わらせて頂いております。そのことにあらためて感謝致します。3温泉すべてが貴重な地域資源として益々活用され、地域のみなさんの健康増進や交流促進と地域活性化に役立つことを願っております。

2013
05.16

2013年5月2日、5月7日と、島根県松江市の(有)樋野電機工業さんの工場見学をさせて頂きました。目的は、同社の工場における「3S(整理・整頓・清掃)」の実践状況を見学させて頂き、当社の機材倉庫の改善の参考にさせて頂くためです。5月2日にまず私が一人で見学させて頂き、続いて5月7日は、当社の現場業務を担当する職員全員を同行し、改めて工場を見学させて頂きました。お忙しい中、急なお願いにも関わらず丁寧に対応して頂いた、同社の松坂社長に改めてお礼を申し上げます。

元々、島根同友会松江支部の4月例会での松坂社長の報告を伺ったことがきっかけでした。今回、実際に現場を見せて頂くことで、私自身、さらに社員も大いに気づきを得られたと考えています。当社における取り組みは緒に付いたばかりですが、今回の見学をきっかけに、取り組みが加速することを期待しています。今回の見学とその後の社内の動き等から、感じたことをまとめてみます。

工場見学の様子

1.「守ることを決めて、決めたことを守る」ということ

私が当社の倉庫の3Sに取り組みたいと考えたのは、単純ですが、現状の倉庫がキレイではないからです。具体的な問題点としては、第一に、様々なモノ(道具、資材、備品等)が乱雑になっているという整理整頓の乱れです。そして、もう一つは、長年にわたって蓄積された“チリ”や土ぼこりなどが目につくという、清掃が行き届いていないという側面です。道具等の整理については、年度初めにある程度きれいになるのですが、仕事が重なってくると段々と乱雑になる、ということの繰り返しです。

社員もそのことには問題意識を持っており、この数年間で少しずつ改善が図られてきました。しかし、置き場所が決まっていない、決めたところにモノが戻らない、といった運用上の課題はまだまだ残っていました。もちろん、限られたスペースの中で、毎年様々な仕事で色々な資材が発生したり、新たな道具を準備したりする状況に対応する訳ですから、難しい面はありますし、忙しい中でお客様対応や工期・納期を優先すれば、掃除や片づけが後回しになりがちなのは分かります。しかし、それを言いだすと結局いつまでもきれいになりません。この現状はどこかで打破しなければならない、と感じていた時、同友会の例会で松坂社長のお話を聴き、地元の、ごく近くにいいお手本があることを教えて頂きました。大変いい機会を頂いたと感謝しています。

そして、3Sを実践しようと勉強する中で、3Sとは、単に職場をきれいにすることではない、ということを知り、ますます取り組みの重要性を感じています。よく言われていることのようですが、3Sとは、「守ることを決めて、決めたことを守る」という社風づくりだということ。その徹底を通じて効率的な生産活動が可能な組織ができてくる。職場の乱れとは、つまり、当社にそういった社風・風土が欠けていることの現れです。そして問題は、そのことによって、生産活動が少なからず非効率になっている。このことを認識し、また、3Sの実践を通じて何を目指すのか、それを経営者がしっかりと認識し、実際に取り組みを進める社員にしっかりと説明した上で、スタートさせることが大事だと考えています。

2.全員で見学し、共有することの重要性~共通のベース~

今回、樋野電機工業さんの現場を見学させて頂いてよかったと思うのは、3Sの対象としている倉庫を主に使用している、当社「工務部のメンバー全員」で見学出来たことです。私は、当初、工務部を所管してもらっている常務と、あと数人行ける人が行けばいいと考えていました。しかし、常務から、見学に伺った当日の朝、「今日なら全員行けるから、今からお願いできないか樋野電機さんに頼んでみてもらえないか?」と提案されました。どうかとは思いましたが、松坂社長に急遽お願いし、対応して頂いた、という経緯があります。松坂社長には無理をお願いし、大変お手数をおかけ致しました。

しかし、この「全員で見学する」ということが、非常に重要なことだった訳です。それは、「同じ時間を共有した」ということです。同じ時に、同じものを見て、同じ話を聴く、ということは、後々、その時の話や見たものを参考に、自分達の取り組みを検討しようとするとき、共通のベースがあることを意味します。共通のベースがあるから、共通認識を持ちやすいし、考えが違ったとしても、なぜ違うのか、どこに着目したのか、といったことも良く分かります。結果的に、検討のための議論が活性化し、いい成果がまとまりやすくなるでしょう。なにより、見学先の取り組みを目標にしようとするとき、そのゴールが具体的なイメージとして描きやすい、ということが大きなメリットではないでしょうか。

そしてもう一つは、同じものを見ても感じ方は人それぞれだということ。見学終了後、質疑応答の時間をとって頂き、その最後に、お礼も兼ねて参加したメンバーそれぞれが最も興味を持った点・感心した点について発表しました。当たり前ですが、その着目点は人それぞれでした。当然、3Sの徹底した実践に関するものが多かったですが、それ以外でも安全管理面であったり、就業環境であったりします。そういう、様々な視点や感じ方があることを、お互いが認識し合えた、という点も大きな収穫では無かったかと考えています。また、小さな会社だからこそ、全員で見に行ける訳です。そういった中小企業ならではの特性も、上手く使って行くべきだと感じる機会になりました。

3.近くにいいお手本があるということ~切磋琢磨する仲間の重要性~

実際、この見学(午前中)を終えて社内に戻ってから、社内のあちこちで倉庫の改善について話をする姿がみられた(私が午後から不在にしていたので聞いた話です)そうです。これも、みんなで見学に行っているからこそでしょう。そして、先般、改善計画について部内で話し合いが行われ、具体的な取り組みに向けて動き出しました。社員のみなさんのスピード感ある対応に、感謝しています。まさに「百聞は一見にしかず」。実際に見て感じることの重要性を実感するところです。

このことについて、さらに突き詰めれば、“近くにいいお手本があった”ことがポイントだったと思います。車で10分ぐらいで行ける距離だったからこそ、全員で直ぐに行けた訳です。東京、大阪などであれば、そう簡単にはいきません。もちろん、県外の先進企業を視察する機会をつくることも大事なことですが、どうしても費用面や時間的制約は免れません。しかし、近くに同じような企業があれば、そのハードルは一気に下がります。

そう考えると、同じ目的に向って近くに切磋琢磨する仲間が近くにいる、ということが大変大事なことだということを、改めて感じます。事実、樋野電機工業さんも、3Sに取り組む地元数社でお互いの状況を見学し合ったりする活動をされているそうです。いい意味でお互いに競争し合うことで、お互いが伸びていく。そのことで、ひいては地域全体が良くなっていく。今回は、中小企業家同友会の例会をきっかけに見学の機会を得た訳ですが、そういった活動も同友会活動の趣旨に沿ったものであり、狙いとしているところなのでしょう。3Sだけでなく、様々な改善・改革に向けた取り組みを推進するにあたり、より幅広い示唆も頂けた見学となりました。

見学終了後、全員で質疑・意見交換(左:松坂社長)

今回、改めて感じたのは、社長だけが学ぶステップから、会社全体で学んでいくステップに少しずつ軸足を移していくことが必要だということです。もちろん、経営者が学びを止めてはなりませんし、むしろ、さらに深めていかなければなりません。しかし、社長だけが学んで頭でっかちになるのではなく、社員一人一人が自分の知らない世界を見て、聴いて、自分の仕事に活かしていく。そういう場面を準備していくことも経営者の大事な仕事の一つだと感じます。実際のところ、当社においても、すぐに劇的な改善がなされることを期待している訳ではありません。樋野電機工業さんでもおよそ15年をかけて、現在の状況に達しているとのことです。当社においても時間はかかるでしょう。しかし、先行して取り組まれている事例を実際に見せてもらうことで、その時間を短縮することはできる。それが今回の一番の気づきだと考えています。今後も、身近な会社の素晴らしい取組みを、社員と一緒に学ばせてもらう場をつくって行きたいと考えています。

2013
05.08

社長の温泉めぐり54 たかの温泉(神之瀬の湯) 広島県庄原市高野町

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

54箇所目は、広島県庄原市高野町の、たかの温泉「神之瀬の湯」です。訪問日は、2013年5月6日です。たかの温泉「神之瀬の湯」は、平成16年にオープンした施設です。高野町福祉保健センターに隣接していますが、同施設の入口からやや奥に入った分かりにくい立地なので注意が必要です。外観は木造平屋で、田舎のちょっとした集会所、という雰囲気です。受付で聞いたところ、元々、隣接する福祉保健センターに供給されていた温泉(夕方から一般開放していたそうですが)を、一般利用者向けの施設として新たに整備したのが、「神之瀬の湯」なのだそうです。

たかの温泉神之瀬の湯 施設外観

たかの温泉の泉質は、ナトリウム‐炭酸水素塩泉です。湧出時の温度は35℃。お湯は、成分分析書上は無色透明となっていますが、浴槽の湯はややくすんだように見えます。成分総計は3.73g/kgと中々の含有量です。ナトリウム‐炭酸水素塩泉は、典型的な“美肌の湯”とされ、皮膚の表面を軟化させる効果があり、皮膚病や火傷、切り傷にいいとされます。また、皮膚の脂肪や分泌物を乳化させて洗い流すため、石鹸で皮膚を洗浄したような効果を得られます。その結果、皮膚表面からの水分の発散が盛んになって体温が下がり、清涼感を得られることから「清涼の湯」とも言われます。入浴すると、すぐに体全体に強いぬめりを感じます。phの高いアルカリ性単純泉と同じような感覚ですが、この温泉のphは6.9とほぼ中性です。それでも、ナトリウムイオンと炭酸水素イオンの働きで、同じような効果が得られるというのは面白いところです。

お風呂は、内湯と露天風呂の構成です。内湯は、円弧と直線を組み合わせた縦長の形状。床は石板張りで天井は木の梁が見えるようにしており、田舎の風情を感じられる落ち着いた造りです。露天風呂は庭園風の広めのスペースに岩風呂風の造りで配置してあり、浴槽部分には屋根がかかっています。こちらも垣根の間から空を見上げてゆっくり浸かれるように工夫されています。この温泉は、加温・循環式(加水はしていない)なのですが、内湯、露天風呂とも浴槽の角からさし湯が注がれています。このさし湯の温度が低めに設定されており、さし湯の出口付近ではややお湯がぬるくなっています。風呂上りに受付で聞いてみると、このさし湯は、源泉をそのまま継ぎ足しているそうですが、一旦タンクに溜めたお湯をつかっているそうで、温度が低くなっているそうです。成分分析表によると口元で35℃ですので、それよりも少し下がった(30℃程度か?)お湯が注がれているのではないかと思います。より新鮮な温泉に浸かろうと思えば、さし湯が出ている浴槽の角付近で入浴してみるのもいいかもしれません。

内湯の様子(ガラスの向こうが露天風呂)

洗い場は4箇所のみで、リンスインシャンプーとボディソープが備わっています。洗い場の間隔はやや狭目ですが、仕切りが付いているタイプです。脱衣場には、鍵付きのロッカーが18個。ロッカーの上には籠もあり、貴重品を持たない方はそちらでもいいかもしれません。洗面台は2箇所、ドライヤーは1つだけ設置されていました。利用料金は、大人350円とリーズナブルな価格設定です。1回分お得な回数券の販売についても掲示がありました。また、営業時間も午前10時から午後9時(入浴受付は8時30分)までとなっており、比較的遅い時間まで利用できるのは地元の方にとっても、旅行者にとっても使いやすくていいと思います。

この施設は、温泉入浴に特化した、とてもシンプルな造りが特徴です。風呂以外の機能は一切ありません。こういった施設には、みやげ物売り場、集会所としてのスペース、軽食・お食事処、といったものが付帯することが多いですが、ここは本当に入浴のみです。温泉以外のものとしては、自動販売機とマッサージ機があるのみ。休憩スペースはありますが、あくまで休憩するだけのスペースで会合などには向きません。この割り切りの良さは、他の施設との役割分担という面では一つの考え方です。

施設内部の様子(広々とした休憩スペース)

たかの温泉は、2013年3月に開通した尾道松江線(松江道)高野ICから3kmほどの場所にあり、車で数分の距離です。私も、ゴールデンウィークで広島から松江への移動の途中に立ち寄りました。高速道路の開通により、山陽、山陰、それぞれの地域からも利用しやすくなりました。元々は地元の方向けの施設で、観光客向けではありませんが、無料区間のICから利用できることもあり、高速道路の移動中、ちょっとした休憩がてら立ち寄ってみるのもいいかもしれません。高速道路の開通により、山陰・山陽間の移動も大きく様変わりしてきています。高速道路から近い温泉地の利用動向も変わってくるような気がします。いずれにしても、地域に潜在する良質な温泉の認知度が高まり、有効活用され、地域の活性化に貢献することを期待したいと思います。

2013
05.02

私はさほど風呂好き・温泉好きではありませんが、温泉開発を行う会社の社長として、温泉に詳しくなければ説得力がありません。そこで、仕事や私用で出かけた先で温泉を巡り、少しずつ記事にしていくことにしました。温泉ソムリエらしいコメントにも配慮したいと思います。

53箇所目は、島根県松江市の松江しんじ湖温泉の「松江ニューアーバンホテル」です。訪問日は、2012年4月30日です。

松江ニューアーバンホテル(別館)

松江しんじ湖温泉は、その名のとおり、島根県松江市の宍道湖北側の湖畔に広がる温泉地です。かつては「松江温泉」と称されていましたが、2001年に現在の名称に変更されました。松江しんじ湖温泉には、2つの泉源があります。第一泉源の源泉温度は76.5℃、湧出量は200㍑/分、第二泉源は、源泉温度82.3℃、湧出量200㍑/分、の能力(いずれも源泉地の成分分析表による)を誇り、島根県内で最も湧出温度の高い温泉です。それぞれ温泉街の中にあり、2つの泉源の距離は800mほどです。この近い距離にある泉源で、かつ自噴泉。合計で約400㍑/分を湧出するのは、中々優秀な温泉井戸といえます。現在は、第一泉源が各温泉施設への給湯用に使用されており、第二泉源では温泉スタンドでお湯を汲むことが出来ます。

松江しんじ湖温泉の泉質は、ナトリウム・カルシウム‐硫酸塩・塩化物泉です。お湯は無色透明です。浴室に掲示されている成分分析表(第一泉源の分析表が採用されています)によると、成分総計は1.93g/kgとほどほどの含有量ですが、源泉の温度が高いため加水されています。また、この施設では、循環式が採用されています。いずれにしても、成分的には濃過ぎず、かつ適度な成分量を有する、入りやすいバランスのとれた温泉と言えます。泉質の特徴としては、硫酸塩泉が有する「傷の湯」の効果と、塩化物泉の有する「温まりの湯」の2つの特性を有します。特に、成分的には硫酸イオンの濃度が高いので、打身、切傷、火傷、捻挫などへの効果、皮膚の湿疹、ニキビ、かゆみ、などにも効果が期待できます。美肌の湯としてみると、ナトリウム-硫酸塩泉は、皮膚に皮膜をつくるしっとり肌効果、カルシウム-硫酸塩泉は、肌の弾力回復や引き締め効果、が高いとされており、その両方の特性を有しています。この点については、島根県東部の主要な温泉、松江しんじ湖温泉、玉造温泉、鷺の湯温泉、いずれにも共通する特性と言えます。

浴室の様子(右手から宍道湖を眺望できる)

お風呂は、内湯のみの構成ですが、「展望温泉」とホテルの前面にも看板が掲示されていますが、ホテルの3階、宍道湖の前面に浴室を配置し、宍道湖の眺望を楽しみながら入浴できるのが売りの一つとなっています。浴室内は、濃い茶系のタイル張りで構成され、落ち着いた雰囲気です。風呂も大浴槽のみのシンプルな造りで、宍道湖側に横長の浴槽を配し、反対側に洗い場が配置されています。浴槽は、長方形で一部に曲線を使った形状で、洗い場側にずっと段がつけてあります。この段に腰掛けて、前面の宍道湖を眺める、という趣向です。女湯はどうかわかりませんが、男湯については、ホテルの建物の柱の関係で、眺望の良いゾーンが浴槽の2/3程度に限られてしまっているのが、やや残念ではありました。訪問したのは日中だったので、夜はまた違った景色が楽しめるのではないかと思います。

洗い場は7箇所、シャンプー、コンディショナー、ボディソープが備わっています。仕切りは無いタイプですが、洗い場の間隔はゆとりがあり、使いにくさはありません。脱衣場には、鍵付きのロッカーは無く、籠に衣類を入れておく形式です。貴重品用は専用のロッカーを利用するタイプです。基本的にホテルの宿泊客の方々の利用を前提としているので、これはこれでいいかと思います。洗面台は3箇所、ドライヤーは2つ設置されていました。ちなみに、この脱衣場も宍道湖を眺望できる位置にあるのですが、目隠しの為、窓は擦りガラスとなっています。添付の写真は少し窓を開けて間から撮影したものです。せっかくの眺望ですので、脱衣場の窓もクリアにして(もちろん外からは見えないタイプで)、湯上りにも眺望を楽しめるようにすれば、もっと魅力が増すのではないかと感じたところです。

利用料金ですが、日帰り入浴の場合は大人1000円です。“温泉のみの利用”と考えると割高感は否めませんが、館内のレストラン等を利用する場合は、150円で入浴できるとホームページに記載があります。宿泊の場合はもちろん無料です。ですので、日帰り利用の場合は、昼食など食事とセットで活用するのがお得な使い方と言えそうです。あくまでビジネスホテルですので、敷居も高くありません。昼食がてら温泉にも入ってリフレッシュ。地元の方も、出張の方も、肩ひじ張らず、気軽に使える雰囲気が魅力と言えます。

宍道湖の眺望(脱衣場からの眺望)

松江しんじ湖温泉では、8つの旅館・ホテルが温泉街で営業(松江しんじ湖温泉組合)しています。各宿がその特徴を活かし、宍道湖の北側湖岸に位置し、宍道湖や大橋川の眺望や四季折々の変化を楽しみながら温泉を楽しむことが出来ます。また、島根県市町村職員共済組合宿泊所(ホテル白鳥)も2012年12月にリニューアルし、入浴施設も新しくなったようです。さらに、温泉街エリアでの再開発ビルが計画されており、そこにも新しい温浴施設が計画されているようです。また、一畑電気鉄道の松江しんじ湖温泉駅前には、足湯も整備され、日頃からたくさんの利用者で賑わっています。

当社も松江市に立地する会社です。そのお膝元の温泉地ながら、これまで温泉めぐりで取り上げる機会がありませんでした。今回、遅ればせながら取り上げることができましたので、今後、他の施設も順次回ってみたいと思います。島根県の県都松江の温泉地。前述のとおり、今後大きく変化していきそうな松江しんじ湖温泉。今後が楽しみな温泉地です。松江ニューアーバンホテルは、その中では最もビジネスユース寄りの宿泊施設と言えます。日頃のビジネス利用だけでなく、手頃な価格設定もあってか観光シーズンには多くの観光利用もあるようです。様々なタイプの温泉宿がさらに、発展されることを期待したいと思います。