人財塾

平成24年度「人財塾」(第6回) ~企業経営とは、会社に関わりのある人を永遠に幸せにするための活動~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

島根県商工労働部が主催する平成24年度「人財塾」に参加しています。昨年度に引き続き2年連続で参加させて頂きましたが、今回で最終回です。今年度は、計6回開催された企画のうち、第1回第5回、そして今回の第6回に参加しました。残りの3回は残念ながら都合が付かず、参加を見送りました。貴重な機会も数多くあったので残念でした。いずれにしても、県内外の優良企業の経営を学ぶ貴重な機会となりましたし、人財塾に参加された県内の様々な企業の経営者又はそれに準ずるみなさんと交流の機会を持てたのは、大変有意義でした。今回、最終回の内容とその関連企画について整理しておきます。

1.塾生全員による経営ビジョンの発表~自社の立ち位置の明確化~

平成24年度人財塾最終回の内容は、計26名の塾生が、今回の塾を通じて作成した「経営ビジョン」を全員で発表するというものです。ここでの“経営ビジョン”は、共通の様式に各社の既存の理念や方向性、さらに今後変えていく内容を比較して整理する形式です。発表時間は5分。限られた時間ですが、限られているからこそ、何を伝えるのかが重要です。そして、3人ずつ発表した後、質疑応答の時間を15分ずつとるというスタイル。いかんせん人数が多いので、一人あたりの時間が足りないという印象はありましたが、それでも、26名の経営者又はそれに準ずる方々の経営に対する考え方(理念、ビジョン、経営方針等)を一度に聴くという機会は中々ありません。各社各様のアプローチ、各社のおかれているステージ、方向性、戦略などとても興味深く聴かせて頂きました。

この発表会で何が得られたのか。私の捉え方は「自社(又は自分)立ち位置を明確にする」ということだと感じます。つい先日鳥取同友会の例会で聴いた話の受け売りになりますが、26名(社)それぞれの実情を、「経営ビジョン」という様式でまとめた資料で拝見し、さらに実情を率直に伺うことは、自らの経営の方向付けを考える、また検証するという作業に際して大変参考になります。先行して取組み、すでに明確なものを確立している方もあれば、緒に付いたばかりの方、試行錯誤・模索中の方、様々です。自社が今回のメンバー全体の中で、どのような立ち位置にあるのかということも良く分かります。それが分かるからこそ、今後どうしていくべきか、なにから手を付けていくべきか、考えるきっかけになりました。

これまで2カ年にわたって参加させて頂いた人財塾。塾の最終アウトプットは、この「経営ビジョン」なのですが、その割にはこの造り込みにかける時間があまり確保されていません。塾生の自主性にゆだねられています。経営者なのだから経営を考えるのは当たりではありますが、聴き比べれば、よく検討されたと感じるものがある一方、試行錯誤して上手くまとめられなかった、時間切れとなった、と見受けられるものもありました。次年度以降の塾の構成では、最終的なアウトプットとしての経営ビジョンにつながるような毎回の学びの設定、又は、経営ビジョンそのものをつくる時間(合宿的なものも面白いかもしれません)の確保、そういった配慮があれば、より素晴らしいものになるのではないかと感じたところです。

塾生全員による経営ビジョン発表

2.企業経営とは、会社に関わりのある人を永遠に幸せにするための活動

前述の経営ビジョンの発表の後、本塾の顧問として指導を頂いている、法政大学大学院の坂本光司先生の講評がありました。その中からいくつか整理しておきます。

一つ目は、「企業経営とはなんぞや?」という問いかけに対する回答です。坂本先生は、「会社に関わりのある人を永遠に幸せにするための活動」と明言されます。関わりのある人とは、社員、その家族、取引先、お客さま、株主、など会社に関わりのある方全てのことを指しています。そして“永遠に”というのは、会社に勤めている時だけでなく、退職した後でも幸せだったと感じられるような会社にしていくということ。そこまで出来れば本物だし、本気で社員を幸せにしようと考えれば、究極はそこに行きつくのだろうと感じたところです。

二つ目は、「なぜ会社に(業績の)格差がつくのか?」という問いかけに対する回答です。それは、まず目的の格差があるから。“なんのために”というところでまず差がついている。「会社に関わりのある人のために」という視点が無い会社はいい会社になれていないということでしょう。その次は、“浸透の格差”。いい理念があってもそれが浸透していないという点。この浸透度については、次の3つの指摘がありました。1)理念と戦略、行動指針とが整合をもっていなければならない(多くの場合整合性が不十分)、2)浸透のための様々な仕掛け(上から、下から、横から)、3)最も体現している人が社長と管理職でなければならない。3つめはとても身につまされる指摘です。自ら定めた理念に基づいて行動できているのかどうか。妥協していないか、怠けていないか、常に自分を律して、初心に帰ることを忘れないようにしたいと思います。この人財塾もそういった機会として、大変役に立っていると考えています。

法政大学大学院 坂本光司教授による講評

3.会社見学を通じて見えてくるもの~見学に来て頂けることへの感謝~

前述の人財塾最終回が終了した翌日、恒例の企画として塾生として参画している企業への会社訪問が企画されました。そして今回、協和地建コンサルタントに塾生のみなさんにお越し頂く機会をつくって頂きました。来社頂いたのは塾生11名、事務局3名という構成でした。訪問時間はわずか1時間でしたが、せっかく来社して頂くこの機会をぜひいいものにしたいと考え、出来る限りの対応をさせて頂きました。こういった機会を頂いたことに感謝したいと思います。

振り返れば、ほんの数年前までの当社は、とても社外から会社見学のお客様をお招きできる状況はありませんでした。見て頂くべきところも無かったでしょう。しかし、この半年、様々な方にお越しいただく機会があります。それは、一つは、地中熱ヒートポンプ空調システムの導入が契機となっています。それをさらに遡れば、経営指針を定めたことにたどり着きます。経営指針において、地熱・地中熱エネルギーの活用に取り組むという方向性を定めたことに始まります。経営の方向を定めるということが、それほど大きな変化をもたらすのだと、実感するところです。現在は、基本的に社長である私が対応、説明を引きうけていますが、いずれは、社員のみなさんに色々な説明や対応をして頂けるようにしていきたいと考えています。

また、もう一つきっかけとなったのは、島根経営品質研究会のベンチマーキングでした。会社に、取引先でもない企業の方々が集団で来られるのは初めてだったとおもいます。経験の無かった社内では、最初の訪問時はなにやらよそよそしい、「何が始まるんだ?」といった雰囲気での受け入れだったと思います。しかし、繰り返し訪問があるうちに、またそれも少しずつ日常に取り込まれている感があります。職場が、社外の方の目にさらされているという実感。それは、職場をきれいに保つ、恥ずかしくない状況に保つ、といった効果もあるし、なにより、他人が見学に来る会社、ということはやはり誇らしいものだと思います。そしてそれが、明日をよりよくする動機づけにつながる。ですので、訪問を依頼されれば、今後も出来る限り受けたいと考えています。それがきっと未来につながる、そう信じています。

協和地建コンサルタント会社訪問の様子

この「人財塾」という学びの場、島根県の商工労働部が企画されて3年目になります。来年度も引き続いて開催され、卒業生300社を目指すとのこと。この塾で学び、刺激を受け、坂本光司先生の「人を大切にする経営」を実践する企業がこの島根県にたくさん出現することで、島根が大きく変わってくるのではないかと感じます。また、島根県内で活動する経営を学ぶ様々な組織とも連携を図り、より多様な視点で、より多様な経営者が交わる、機会の創出を期待したいところです。この1年間の学びに感謝し、また次年度以降の新しい展開を期待して、人財塾を一先ず卒業させて頂きます。この一年間、本当にありがとうございました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*